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それは親切心からだと言うけれど

掲載日:2026/05/16

「ええっ、アイツってそんな奴なの?親切でやってやったのに?」


「そうなんだよ。僕は直してあげようと思って色々やったんだけど…結局直せなかったんだ。なのに、ワザとやったみたいに言われて。」


「なんだよそれっ!あったまきた!任しとけ、お前は悪くないってみんなに言っといてやるから!」


単純な奴ってほんと助かる。これであいつはお気に入りの万年筆を壊された上に、親切な級友にいちゃもんを付けた悪い奴になる。


直してやろうとした?ああそうだな。


折られたペン先を直してやるって言ったよ。

……折れたペン先の代わりになる部品がいるから、ペン軸に付いていた飾りを無理やり引っ剥がして代わりにできないか試してやったんだ。

で、やっぱり無理だったからそのまま投げて返しただけだよ。


あ、無理だったわー


って。笑うのは一応堪えたんだよ?だってあいつ泣きそうなんだもん、こっちだって堪えるの必死だよ。でもさ、


"壊れたのを直そうとして無理だったので返した"


って事に間違い無いだろ?

まあそもそもさあ、最初にペン先壊したのは俺が面白そうって言ったのを間に受けた奴がやったんだけどさ。

俺、空気読む天才だから。申し訳なさそうに


「壊しちゃったんだけど、許してくれないんだよ。」


って言えば大体みんな味方なわけ。世の中ちょろい奴ばっかりでつまんないよなぁ。






「ええ、タッキィミ・ドゥーイー君に確認したんですが親切のつもりだったそうで。壊れたペン先を直してあげようと思って」


「壊れたペン先を直すために、飾りをもぎ取ってペン先の代わりにしようと?」


「はい。ですから彼は本当に善意から」


「なるほど、彼は善意でね。」


「そうなんです、アグバージェ侯爵。その善意をゲイル君に受け取ってもらえない、許して貰えないと落ち込んでいるのです。」


私がなるほど、と言った事で気が大きくなったのだろう。その教師は我が息子ゲイルの事を言外に非難する様子を見せた。


「そうか、ならば善意には善意で返さねばならぬだろう。ドゥーイー子爵令息を呼んでくれるか。」


「はい、ゲイル君も呼んでお互いに謝れば仲直りですね!」


「お互いに?」


「はい、ゲイル君にも親切心には素直に感謝する心を持って貰いたいのです!」


子爵家だけで良いかと思ったが、コイツもついでに片付けるか。

この状況で善意を振りかざす事の悪辣さが見抜けぬ者に、この学園の教師など務まるまい。



※※※※※※




「先生!失礼します!」


礼儀正しくにこやかに。先生の話だとあいつの親父ももう俺の言葉を信用してるんだろ?

後はいつまでも許して貰えないって悲しそうな顔をしていれば良いだけだ。


「ドゥーイー君こちらがゲイル君のお父上、アグバージェ侯爵だ。」


ぺこりと礼をする。まあ、この先は親切心を仇で返された俺が謝罪される立場だ、この程度の礼で良いだろう。


「ふむ。子爵家では礼法には力を入れておらぬのか?それとも。」


「そこまで金が回らぬのか、はたまた噂通り…」


「ご両親は弟君の方に肩入れなさっていて君にまで手が回らないのかな。」


……は?


「侯爵!今回はお互いに謝罪を!」


「お互いにとは言うが、話を聞いている限り、そちらの子爵令息殿はまだ一度も謝罪などしておられぬようだが。」


謝罪だって?だから、何度も言ってるのに。侯爵だなんだと威張りくさってるが頭が鈍いんじゃ無いか?


「いえっ!僕は本当に親切心で!壊れたペン先を直してあげようとして上手くできなくて。なのに許して貰えなくて。」


「ふむ、確か壊れたペン先を直すために飾りを引き剥がして代用しようとして上手くいかなかったとか?」


やっと理解したのか。あいつの親だけあって鈍い事この上ないな。これだけ下手に出てやっているのに。


「はい、そうなんです!直してあげたかったんですが、どうしても上手くいかなくて!な、なのに許してくれないんです!」



侯爵は俺を無視して先生に話しかけた。


「して先生。今の言葉の中にひとつでも謝罪の言葉はありましたかな?」


「へ?いや彼は直してあげようと…。」


「ごめん、と言う言葉はあったか?と聞いておる。それに…この短時間で"許してくれない"だとかいう息子を非難する発言の方が多いと思うのだが。」


「……いえ、ありませんでした。だけど、彼はっ親切心でっ!」


リランパーゴ先生の苛立ちをあっさりと交わし別の話が始まる。


「我が息子と同い年だったか?それとも飛び級か何かでもっと幼いのか?確かに少し小柄なようだが。」


「は?いえ同い年です、それがどうかしましたか?」


「いや、よもや同い年とは思えなくてな。だって。」


"ペン先の代わりに飾りを引き剥がして代用しようとした"


「なんて息子が言ったらまず最初に医師を呼ぶからな、我が家なら。」


「えっ、それはどういう…?」


「えっ、君こそ分からないのか?彼はもう10歳だろう?その年頃の子が、何の道具もない状態で全く違う形の飾りを加工してペン先にしようとしたんだろう?」


「できる事かできない事か、その年齢で判断出来ないんだぞ?我が家ならまず、」


侯爵はギロリと俺を睨んだ。


「息子の今後のためにどういうサポートをするべきか、医師を招いて相談するだろうなと思ったのだが。」


そこまで言われて初めて先生は理解したのか顔色を真っ青にした。


俺は、俺は!


「侯爵様、ぼ、僕は本当に親切心で!そんな、なんでそんな風に!」


「ん、ああ。これはな、君が言うところの」


子供と同い年の子が目を潤ませて抗議していると言うのに、全く動じない侯爵が続けた。


「君が言うところの"親切心"だよ。私は心配してあげているんだよ。」


後ろに控えていた執事らしき人から書類を受け取り続ける。


「まず"あいつのいっつも大事にしてるペン取り上げて壊したら面白いと思わない?"だったか?周囲を唆して自ら手を汚さないことに驚いたね。」


「その次は直してやると言って余計に壊した万年筆を"あー無理だったわー"と言って投げつけたんだったか。それを親切心だと思うとは、家庭環境に問題があるのか?と心配したよ。」


「そして、君がそこら中で言いふらしているうちの息子が許してくれないと言う言葉も。」


「"ごめん"の一言もないのに何をどう許せば良いのだろう?と私も息子も悩んだよ。」


先生の顔色はどんどん悪くなっていく。


「なのにいつの間にか教師まで言いくるめられて息子が狭量という話にすり替わっている。謝罪もない、弁償の話もない、にも関わらずだ。心配にもなるだろう?これじゃあまるで熟練のペテン師だ。」


先生はもうあてにならないな。ちっ、あいつも丸め込みやすい奴だったのに!親まで引っ張り出すなんて反則じゃないか!

だが俺は諦めない。


「そ、そんな話!ご自分の息子さんを信じたい気持ちは分かります!でも僕は親切心で!」


そうだよ、どうせあいつの証言だけだろう?所詮良いとこの坊ちゃんが万年筆が壊れて親に泣きついただけじゃないか。


なのに!またもや俺の事は無視で先生に話しかける。


「先生、君はどこの家の出だ?」


「へ、あ、あ……イレアリテ子爵家です。」


侯爵の顔が驚愕に染まる。


「子爵家!?なんと!何故子爵家の出身で、しかも教師までしておって!事の重大さを理解していないのだ!」


「確かに、侯爵子息の持ち物が壊された事は重大ですが、ここは学園です!生まれによって差別されてはならないのです!」


目を見開いた後、諦めたように侯爵が言った。


「確か、学内にリリアローズ・ベルサリテ嬢がいるはずだが。すぐに呼んでこい。」


「ベルサリテ嬢?彼女は今年入ったばかりの教師ですよ!いくら侯爵令嬢とは言え私より適任とは思えません!」


「もういい。カプリッシユ、呼んできてくれるか?」


執事が礼をして出ていった。


「先生、最後に一度だけ聞いてやる。君は万年筆をきちんと見たか?」


「はい!ちゃんと見ました!」


「…では見たにも関わらず、か。」


はあ、とため息を吐いたきり侯爵は黙ってしまった。




※※※※※※


「遅くなってしまい申し訳ありません。」


挨拶と共にベルサリテ先生が入ってきた。コイツは融通の効かない面倒な教師だからちょくちょく嫌がらせをしている。まあ、俺は直接手を下してはいないが。


「ベルサリテ嬢、呼び出してすまない。この子爵家出身の教師では事の重大さが全く伝わらないのでな。」


「そうでしたか。ただ、わたくしは何も聞いておりませんで。生徒間のトラブルでしょうか。」


チラリと俺を見た。


「ああ、大トラブルなんだがな。当の本人も教師も全く理解してくれなくてな。……最近の子爵家は礼節も褒賞についても何も教えないらしい。」


「教師になると言う事は三男以降でしょうから。子爵位あたりだとあまり詳しく教える家はないのかもしれませんよ。……それよりもおじさま、話を進めていただけませんか?」


小馬鹿にされていることがわかった先生と俺はベルサリテ先生を睨みつけたが、侯爵をおじさま呼びした事で慌てて目を逸らした。


「ああ、これを見れば凡その重大性は分かるだろう?」


訝しげな顔をして、例の万年筆を見たベルサリテ先生は何かに気づくと真っ青になった。


「お、おじさま!なんて事を!」


「良かったよ、やっと理解できる者が来てくれて。」


そして俺が説明した事、その後に侯爵があいつから聞き取った事を話した。


「それで……リランパーゴ先生までゲイル君の事を狭量な人間呼ばわりしたと?」


「ああそうだ。」


「リランパーゴ先生、貴方に対処は無理です。この万年筆を見ても何も思わないのでしょう?……すぐに学園長を呼んできてください。」


呼ばれた学園長は万年筆を見るなり気を失った。

動揺するリランパーゴ先生と俺にベルサリテ先生が説明してくれた。



「貴方たちは褒賞って言葉を知っている?王家から様々な活躍をした人たちに与えられるものよ。色んな事が褒賞の対象になるんだけど、共通している事があってね。」


「記念品が贈られるの。()()()よ。そしてね、その万年筆には飾りがついているのだけど。」


いや、あの万年筆についていた飾りは褒賞のものではなかった。一度親戚のおじさんに見せてもらった事があるが、獅子の飾りが付いていた。


「褒賞の内容によっては飾りは違うの。この飾りはね。」


ベルサリテ先生は俺がペン先に加工してやる、と言って曲げたり折ったりした飾りを手で撫でながら続けた。


「王族を命に関わる危機から救った時に与えられるの。」


おう…ぞく…


「これはね、彼が5歳の時にカーベナーゴ王女が溺れていたのを助けた事で賜ったの。」


「なっ、何故そんな大切なものを学園なんかに!大事にしまっておかないから!」


リランパーゴ先生はそう口走ったが、ベルサリテ先生は違う違う、と言うように首を振った。


「逆よ。常に身に付けておかなければならないの。褒賞された者は周囲から常に敬意を持って接してもらうべきものなの。だから分かりやすく身に付けられるものを贈っているのよ。」


「まあもちろん、獅子や薔薇なんかのよくある褒賞だったらたくさんの人が持っているから、平民や低位貴族の方の中には記念に大切にしまい込んでる、なんて人もいるでしょうね。でも彼の場合は。」


「白鳩にアイリス。どう言う事か分かる?」


「王女殿下の紋章…。」


「王女殿下の命の危機なんてそう何度もないわ。だからこの紋章の万年筆を持っているのは今のところ彼ただ1人なの。それがね。」


俺に向かってボロボロになった飾りを見せる。


「壊されて、さらに紋章まで傷つけられたの。しかも遊び半分でね。」


な、なんだよ!でもでも!


「お、俺そんなこと知らなかったし!そもそも!壊したのは俺じゃないし!俺は直してやろうとしただけなのに!あいつがなんて言ったか知らないけど!俺は親切心で!」



「ふざけるなっ!」


部屋中に響き渡る大きな声で侯爵が怒鳴った。


「こっちはもう調査済みだ!」


誰が誰をそそのかして

誰が何を言ったのか


「それがさっきの書類だ。直接壊した犯人と、その後君が"親切心で"直してやろうと取り上げた際の詳細なやり取りも。」


「そんなの!()()()()()()()()で決めつけるなんて!」


まだ押し切れる、そう思って出た言葉が。


「そうだな、()()()()()()()()で我が息子は褒賞に賜った万年筆を壊された上に!それを許さない狭量な人間というレッテルまで貼られたな。確かに。」


侯爵の最後の情けも蹴散らしてしまった。


「それならば私は我が息子のために、()()()()()()()()で貶められた息子の名誉をひとつ残らず説明して回復せねばならないな。いや、本当に君の言うとおりだ。」


俺は今まであんなに冷たい目で見られた事はない。


「あまりに君たちにとって不名誉だろうからと手打ちできるラインを考えていたが、止めることにするよ。ああ、リランパーゴ先生、君の挙動も対象だから。」


凄みのある笑顔の侯爵を見て、リランパーゴ先生はとうとう意識を手放した。

俺は…




※※※※※※


「ねえ、ご存知?アグバージェ侯爵家のご子息、学園で大変な目に遭ったらしいわよ。」


「ええ。なんでも昔賜った褒賞の万年筆を壊されたんですって。」


「えっ?アグバージェ家のご子息が賜った褒賞の万年筆って!」


「そうなのよ、あの王女殿下をお助けになった時の万年筆らしいわよ。」


「なんでも同級生のお子さんに面白半分に壊された挙句、直してやる、なんて言って付いていた飾りを引き剥がして折ったり曲げたりされてボロボロになったそうよ。」



「えええっ!ついていた飾りってもしかして?」

「そう!そのもしかして、よ。白鳩とアイリスだったそうよ。」

「やだその子気が付かなかったの?紋章を見れば普通わかるでしょう?もしかして平民のお子さんだったの?」

「いえ、それがね子爵家のご子息らしくて…」


私と目が合った瞬間それまでのひそひそ話を止めて不自然に移動し始めた。


ここのところとても気分が悪い。夜会でも茶会でもいつもこの調子だ。もう頭に来た!

わたくしは噂話をしていた夫人たちの元に乗り込み、その無責任な噂話を()()()()()した。


「あのっ!皆さま最近わたくしの息子がイジメをしているかのような事を仰ってますけど!」


ぎょっとして逃げようとする夫人たちを捕まえる。


「訂正してください!わたくしの息子は親切心で!そもそも最初に万年筆を壊したのはラベン・プロムヘキシ子爵子息なんです!その壊された万年筆を直してあげようとした優しい子なんです!なのに嫌がらせをしたみたいに曲解されて!」


「ミォーン・ドゥーイー子爵夫人、ごきげんよう。そして親子揃って我が家の悪口を言いふらしてくれてありがとう。」


「悪口って!息子はただ、壊された万年筆を!」


「……貴方たち親子は本当に似たもの同士ね。先に言っておくわね。この話を振ったのは貴方ですからね。」


人の親切を無碍にしておいて脅してくるなんて!きっと睨み返したが、すぐに後悔した。


「まず、万年筆を壊したプロムヘキシ子爵子息だけど。」


"あいつのいっつも大事にしてるペン取り上げて壊したら面白いと思わない?"


「って貴方のご子息に唆されたらしいわ。お母様はそれをお聞きになって、唆されたとは言えあまりの事にご子息を連れて領地に下がられたそうよ。」


「そんなこと!わたくしの子が言うはずありません!」


「…あらそう。言った言わないで揉めるつもりはないからどうでもいいわ。あと、貴方達親子が主張する"直してあげようとした"だけど。」


「わたくしには理解できないから良かったら説明してくださる?わざと折られたペン先を直すのに、軸についている飾りをむしり取ったとして、その後素手でどうやって加工なさるおつもりだったのかしら。」


「そっ、それは…」


またヒソヒソが始まる。


「えっ、素手で?」

「飾りの紋章なんかどうやったって素手でペン先に加工なんかできないでしょうに。」


「夫も貴方の息子さんに聞いたそうよ。それで答えが返ってこなかったから。夫もあなたの息子さんに倣って親切心を発揮したの。」


「その年齢にもなって、そのくらいのことが可能かどうか分からないのなら医師に相談した方が生き易くなるんじゃないか?ってアドバイスして差し上げたそうよ。」


「ついでだから私の親切心も発揮しておくわね。」


にっこり笑って告げられた。


「お医者様のあてがないなら紹介して差し上げても良くてよ。まああなた達の場合…」


「のどかな領地で静養なさるのが一番な気がするけど。」




※※※※※※


「父上、母上。この度は色々とありがとうございました。学園のことは自力で解決したかったのですが…」


「いや、今回は親が介入して正解だった。じゃないと。」


じゃないと、僕が褒賞品を破損した事にされていたか。うん、あいつらならなんの躊躇もなく擦りつけるな。


あの後、ラベン・プロムヘキシは両親と共に謝罪に訪れた。事態を把握した母親が何をおいてもまず謝罪、と連れてきたのだが。

顔がボコボコに腫れていた。どうやらお父上の逆鱗に触れたらしい。本人は何がダメだったかも含めてものすごく反省していたので、我が家からのペナルティはなかった。だが。


「アレ、王家からの褒賞だからね?最終的な処分は王家とやりとりして。」


と言う事になって彼は即刻退学、領地に引っ込む事になった。子爵家の嫡男の座は弟に譲り、領地で弟の補佐官となるべく修行中だそうだ。


そして大問題のドゥーイー家だが。

なんと、自ら謝罪に足を運ぶことはなかった。だから王家から


「どっちか選ばせてやる」


と罰を選べと言われたんだ。そして一見軽く見える罰の方を選んだ。


「なんで分からないのかしら。片方が"降爵の上、僻地に領地変更"なのに、もう一方が"被害者に直接謝罪"のみなんて。わたくしならどんな罠があるのかと恐ろしくて選べませんわ。」


「彼らにとっちゃ直接頭を下げるなんてのは屈辱で降爵より厳しい罰だと思ったんだろう?」


いや、違うと思う。だって。王家から派遣された管理官同席で謝罪を受けた翌日。


「お前にせっかくの好意を無駄にされのは残念だけど、あんなに大事にされたら俺らが謝るしかないからな。」


って言われたもん。反省なんかしちゃいないと思う。

母上は母上で


「爵位が上だからって王族まで味方につけるなんて!」


って言われたらしいから。


「まあ彼らへの罰はこれからが本番だからな。」


そう。目に見える形での罰則がほとんどない場合、()()が始まるのだ。

夜会には誘われない、領地の特産物の買い手がいなくなる、生活必需品の売り渋りが始まる。

今日明日にどうにかなることはないだろうけど。


「5年後、男爵としてでも残っていられたら御の字だろうな」


褒賞品を壊したことも大きかったし、それに何より!白鳩とアイリスの紋章を見てもピンと来ない人間が次期後継者なんて!付き合いを控えたくなるのは仕方がないよね。

それでも彼は学園に来ている。遠巻きにされながらもしっかりと。そして未だに。


「親切にしても仇で返されるからなぁ、上位貴族はホントに怖いよ。」


なんてボヤいている。誰も聞いちゃいないけど。

見ていて懲りないなあ、と呆れてはいるが。

彼の一家はまもなく現当主の弟一家と入れ替わることになったそうだから。あと2ヶ月、貴族気分を味わってくれたらいいかな?と静観している。





〜〜リランパーゴ先生のその後〜〜


「お、お前はなんとバカな事を!」

「で、でも!褒賞品のことを教えてくださらなかったのは父上ではないですか!」


バゴーン!

お母上による扇攻撃!

「何回も教えとるわ!どアホ!教師になるからそんな知識は要らん言うて聞かんかったはどこのどいつじゃ!!」




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