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きらきらの取扱説明書

作者:聖稲
雪の町ルミネでは、街灯も広場の鏡灯(かがみとう)も弱く、朝の鐘が鳴っても町が起きない。見回り役ヤスパー、氷菓子の配達人カーティス、寡黙なリトビノフ、磨き布を手放さないクラグルの四人は、空から落ちてきた冊子『きらきらの取扱説明書』を拾う。最初の手順は「だれかの良いところを3つ言う」。パン屋で店主を褒めると、しぼんでいたパンが焼け、焦げ目が星形に光り、店の明かりも外の街灯も少し白くなる。次は「目を合わせて、短い言葉」。見本の一行「君だけを見つめてた」に戸惑いながらも、四人が町の人へ向けて短い言葉を投げるたび、冊子の余白に光の粒が集まり、街角の灯りが増えていく。だが鏡灯だけは曇ったまま。台座の刻印は「鏡は、磨かれるほど、誰かを貼りつけたがる」。注意書きどおり、磨くことに慣れたクラグルは鏡灯に吸い寄せられ、指が離れなくなる。残された三人は鏡面を布で覆い、鏡ではなく「クラグル」という名前を呼び続け、「帰ろう」「止まっていい」と短く温度のある言葉を重ねる。最後に四人の間で一行を言い直した瞬間、クラグルの手が外へ伸び、息が戻る。鏡灯は雪を銀に染める光を取り戻し、冊子には「最後の手順:ほどく」と増える。
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