04 友達
鷹崎さんが病室を後、少ししてドアが乱雑に開けられた。その方に目をやるとそこには 久遠 蒼汰が立っていた。
「よっ、死んだかと思ってひやひやしたぜ」
「死んでねーよ、ばーか」
「でも、ありがとな、来てくれて」
「気にすんなよ、幼馴染のよしみだろ」
そう、蒼汰とは小学校からの友達でよく一緒に遊びに行くいわゆる幼馴染というやつだ。
「そういえば、お前足のけがは大丈夫なのか、おばさんからは右足骨折したって聞いたんだけど」
「しばらくは動かせないみたいだけど別に今は痛いかいうのもないからそこまで気にしなくていいぞ。というより、今は足が痛いというより自由に動けないって方がめんどくさいかもな」
「いいじゃねえか、お前前からベッドと親友になるって言ってたから願ったりだろ」
「確かに前はそう思ってたけど、いざこう何日もベッドの上にいるとやることがどんどんなくなっていくんだよな、おかげでもうやることがなさ過ぎて一日中暇でしょうがない」
「なら、そんなお前にいい話がある。最近出たゲームなんだけどな」
「その話はもう何度も聞いたし、やらないって言っただろ」
「いやいや、このゲームこの前は言ってなかったけど複数人でプレイできるから一緒にやろうぜ」
「それがいやって言ってるんだよ、お前の場合どうせ通話つなげてやろうって言ってバカでかい声でしゃべるじゃねえか、うるさいからお前とはゲームはもうやらないって決めたんだよ」
「なんだよ、つれねえな」
「別のことについては基本的に聞いてやるけどゲームのことだけは聞かないって決めたんだよ」
「まあ、ほかのことを聞いてくれるってなら今回のことは不問にしといてやるよ」
「おまえ、追い出すぞ」
「ほう、出来るもんならやってみろよ」
そういわれた僕はスマホを操作して蒼汰にその画面を見せた。
「これをされたくなかったら大人しくしとけ」
スマホに出されたのは『誠子さん』と書かれたメッセージ画面だった。
「わかった、わかった、悪かったからその画面を一刻も早く閉じてくれ」
「仕方ない、今回だけだぞ」
僕が出したのは蒼汰のお母さんである誠子さんとのトーク画面だった。基本的に誠子さんは穏やかでとてもやさしい人なのだが、自分の子供が迷惑をかけた時は、いつもとは考えられないくらい怖くなる。おそらくこいつが学校での素行がある程度いいのはそのせいだろう。
「そういえば、さっきここ来るとき病院で氷姫見かけたんだけど、なんか知らないかって、でも病室から出ないお前じゃわかるわけないか」
「すれ違ったんだ、さっきまでここにいたぞ」
そういうと蒼汰は五秒ぐらい固まった後
「は?」
と、短くしゃべった後再びフリーズした。
「で、どうゆうことなのか詳しく説明しろ」
僕は今蒼汰にすごい勢いで迫られていた。こういう時の顔の圧は誠子さん譲りのものなのだろう。
「話すから、とりあえず離れろ、近い」
「わりぃわりぃ」
「単純に鷹崎さんを助けて今ここにいるからノート見せに来てくれてるんだよ」
「いや、さすがにわからんて」
「今から話すから黙って聞いてろ」
そうして僕は僕と鷹崎さんの関係を蒼汰に話した。
「お前、それほかの誰にも言うなよ」
「え、ダメなの?」
「当たり前だろ、氷姫だぞ氷姫、学校であんなに誰とも話さないあの氷姫がお前なんかと話してるのが学校の奴らにばれてみろ、多分お前死ぬぞ」
「そんなに?」
「普通に考えてそうだろ、最近はなくなってきたけど、一日に一回は告られてるやつだぞ、周りの奴に知られたらどうなるかわからんぞ」
「まじか、甘く見てたわ、まあでもそうだよな、この学年だけでも三分の一くらいは告ってるって聞くし、言われてみればその通りだよな」
最初に言ったのが蒼汰でよかった。もし鷹崎さんに告白してたやつに言ってたらそれこそどうなってたわからんな。蒼汰に彼女がいてよかったと初めて思った。蒼汰には中学からの彼女がいる。顔がいいから普通に中学の時から結構モテてたし高校でも彼女いることを知らない人からは結構アプローチされてるらしい。
「だからほかのやつには言うなよ、特に男子には絶対な、確実に無事では済まないからな」
「わかった、忠告ありがとな」
すると急に蒼汰が急に神妙な面持ちになった。
「でも一つ聞きたいんだけど、さっきの氷姫すげえ顔怖かったぞ、お前変な脅しでもしてんのか」
「脅しはしてない、たださっき鷹崎さんにひどいこと言っちゃって、それでだと思う」
「というと?」
「何か事情があるかもしれないのに何も考えずに友達作ればって言っちゃったんだよな」
「なるほどな、それは完全にアウトだな、後で謝っとけよ」
「そうするつもりだけど、連絡先持ってないし明日も来てくれるかもわかんないんだよな」
「そうか?俺は意外と明日も来ると思うぞ、最近氷姫ぼーっとしてること多いし、多分だけどお前の席たまに見てるんだよな、なんかここ数日で雰囲気変わったと思ったらそういうことだったのか」
「そうなのかな、でも、お前が言うなら信じるわ」
「まあただ、友達云々に関しては禁句だったかもな、うわさで聞いただけだから確実かはわからんけど氷姫のおそらく唯一の友達が言ってたんだよな」
「何をだ?」
「氷姫が中学でなんかあったから人と関わるのをやめたっぽいぞ。詳しくは知らないけど、まあとにかく中学の時になんかあって人との関わりを得意としてないっぽいから気を付けろよ。ただ、これもその友達に直接聞いたわけではないからそれは本人に直接聞いてみないとこればっかりはわからんな」
「そうだな、聞けるかどうかはわからないけどできることはやってみるわ」
「俺もいろんな人に聞いて回ってみるわ、なんかあったらそん時に伝えてやるよ」
「助かるよ、でもお前、あてはあるのか?」
そう聞いてみると、蒼汰は得意げに答えた。
「彼女が氷姫の友達と何回か遊んだことがあるんだよ、だから聞こうと思えば何とかなるかもしれんからな」
「そうなのか、じゃあ頼むわ」
「てか、そろそろ行くわ、塾いかないと」
「りょーかい、今日はありがとな」
「おう、じゃあな」
それだけ言って蒼汰は帰っていった。
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