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友情と愛情の間

男女の友情は成立するか?の問いかけに私は「成立する」と答えるだろう。

今でもきっと。


私には男友達のアキがいる。

アキには秘密がある。

「俺、みんなには秘密にしてるんだけど、ゲイなんだ。」

何故、私にだけ秘密を教えてくれたのだろうか?

アキと私は友達。みんなよりは少し親しくしているかなくらいの友達。


たまにアキの友達と私の友達でファミレスにごはんを食べに行くことがあった。

みんなワイワイ楽しそう。

男3人、女3人と合コンのような人数だけど誰も恋人を求めていない。


男を男として見ていない女と、女を女として見ていない男の組み合わせの友情は成立するんだなと思った。


ある時から「最近、アキと過ごす日多くない?付き合ってるの?」とよく聞かれるようになった。

アキの秘密を知ってからは、2人でドライブやショッピングにたまに行くようになった。


ただの友達なのに。少し意識してしまう。


アキに好きな人いるかこっそり確認したら、みんなには内緒の恋人カレシがいると言っていた。


恋バナに花を咲かせるアキはカワイイなと思いつつ、複雑な気持ちになった。

ただの友達なのに。


友情と愛情は違うと思う。


私は怖くなった。アキのそばにいると意識して、気持ちが不安定になる。

どうしてだろうか?

アキのことを友達に相談したいが、アキの秘密がバレるのは怖かった。

私はアキを大切に想っている。


私は友達の紹介で、私のことが好きと言う名前も知らない男の人に告白され、付き合うことにした。


何に焦っているのだろうか。私は。


名前も知らない男の人と付き合って、少しずつ私はその人のことを好きになった。

安心した。


メッセージを重ねて、唇を重ねて、体を重ねて、好きを重ねて。

安心した。


半年後、私の愛は重く、フラれた。

何もかも重ね過ぎたのか。


アキとは全然会っていない。

男の人と付き合ってわかった。

付き合うと異性の友達とは疎遠になる。

ただもう友情と愛情の間に溺れて苦しくなることはないだろう。


私はアキから静かに離れていった。

そのまま、ずっと。

ただアキが大切にしていた秘密は秘密のままにしようと思った。

アキは私の大切な友達だから。



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― 新着の感想 ―
最後まで読んで「あっ!」とか「ほー!」とか「うーん」という言葉にならない色々な感想を持ちました。 最後まで読むと三行目が「きっと」な意味が分かる構成が見事だし、「アキが友達であること」が現在形で書か…
静かで切なく、誠実な一編でした。 友情は「相手を大切にし、相手の自由を尊重する関係」。 愛情は「相手を特別に求め、相手を独占したくなる関係」。 ただし両者は重なり合い、境目はあいまいで…… 想像です…
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