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ため息に変化

「今日も馳せ参じますか?」


「ハイ…奴は私を雌豚に貶めて満足して今日は姿を現さない可能性を捨てきれません…私はマリボのご飯の為に1週間頑張っています…」


「榊原康政の悪口に乗せられ、あの秀吉ですら怒り心頭し局地戦で負けたといわれています。冷静さを欠いてはなりませんよ。」


「ご忠告痛み入ります…肝に銘じます…」


「いざ、鏑矢をうち放たん!」


「合戦とかしないですから…普通に一人でお昼食べられる事を祈ってね…てか三田さん戦国時代もイケるんですね…」


「嗜む程度に。」







よし、居ない…





訳なかったか…


「エトランゼさん!お待ちしておりました!」


ニコニコしてる…良かったな…なんか楽しそうで…


「さあ、食べましょう!」


と、前回と同じ流れでマリボのメニュー全種類が公園のテーブルに置いてあった。


これはいつまで続くんだろう…


でもこの美味しいご飯に何の罪も無い。

ただ一言私が「ブウ」て鳴けばコイツは満足するんだろう。

よし、こうなったら今日はサービスで「ブウブウ」て2連続して鳴いてやるか。


「前回に引き続き、有難う御座います。では遠慮なく頂きます…」


腐った魚の様な目をしてお礼を言った。


しかし、やっぱりご飯は今日も凄く美味しくて、終いにはご機嫌で結局夢中で食べていた。単純だな私。


その様子をツヨシさんはニコニコしながら眺めていた。


食後にまたコーヒーを買ってくれた。

多分普通なら優しい!嬉しい!となるんだろうが、もう餌付けされてる家畜の気分だ…


今日は何もトッピングせずに飲んでいた。

やっぱり不味かったのだろうか?


「僕、実はコーヒーは甘すぎるの得意じゃ無いんだよね」


アレはそれだけの味じゃ無かったと思うけど…

やっぱり味覚がおかしい疑惑は拭えなかった。


一息ついた所で…


何だかワクワク期待する目で此方を見ている…

ハイハイ


「また言いますか。」


「えっとねー!今日はねー!『フウ』って言って!」


ん?何か濁音が無いぞ。

まあ豚の鳴き声からため息になった。

多少此方の方がダメージ少ないや。





「フウ」




「わあい!可愛い!ありがとう!嬉しい!」


なんか知らんがまた喜んでる

特殊な癖の一種なんかな?

凡人の私には分からん。


「そう言えば…ツヨシさん、バイト順調ですか?」


「あー!アレはもう辞めましたよ!」


「んん!?話聞いて1週間しか経ってませんが…」


「今は某テーマパークで密林クルーズの船長さんしてますよ!」


「なんですと!?」


アレってあそこで働く人にとってはかなり人気ありそうな職種だと思うけど…


「アレって…昔乗った事ありますが、相当難易度高くないですか!?めっちゃアドリブ入れて笑わせて来たり…」


「んー。そうだなあ。まあ何とか。僕説明とか一回聞いたら覚えるし、後は成り行き?」


成る程…天才と何とかは紙一重ってのは本当らしい…

そう言う所もやっぱり三田さんっぽいな。

この人実は三田さんのきょうだいだったりするのかな?


苗字がツヨシとかまずおかしい。

でも苗字が津吉とか…全く有り得なくも無いし…

でも津吉家に生まれた男にツヨシなんて名付けるか?

いや、このツヨシさんが爆誕した津吉家はやっぱ普通じゃ無いのかも…

謎だ。


何だかツヨシしか頭の中で連呼してない事に気付いたので少し違う話題を振ろう。


「じゃあ卒業後は普通に会社員にはならない感じですか?」


「うーん、もう決まっててね。会社員かな」


「何と…そうでしたか。」


思い出作りに色々チャレンジしてるのかな?

それとも決まった人生のレールに反抗した深夜校舎の窓ガラス割る的な自分探しかな?


「エトランゼさんはどうなんですか?医学部ならあと3年有りましたっけ?」


「そうですね。でも私も大体進路は決めています。」


「やっぱりお医者さんですか?」


「いえ。私は研究者になって医療を裏から支えたいと思っています。」


「へえ!どうしてそう思ったんですか?」


「はい。私の父は病気で早くに亡くなりました。数年後にその病気の治療薬が出たんです。もう少し早くに出ていれば…と言う悔しい思いもあり、医師になって治療する事よりも治療法や薬などをいち早く世に出せる手助けがしたいと思い目指しました。」


「成る程…ご自身も辛い思いをされたでしょうにご立派なお考えです。」


「やはり私みたいな思いをする人が世の中から少しでも減って欲しいです。」


「いやあ…僕も色々考えさせられました。今日は大変有意義なお話聞かせて頂き有難うございました。」


「いえいえ、此方こそ、この度もご馳走様でした。私はそろそろ戻ります。」



「授業頑張ってね!」



そう言ってツヨシさんはまたこの間と同じ様に笑顔で手を振っていた。



来週も居るんだろうか…


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