表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/25

隙はお好き?3

 金時さんとのデートあと、私は彼らについた。


 もちろん、本気でデートの申し出があったとは思っていない。ただ、彼らが自分と接触したがっていることは分かった。私を呼び出す理由はなんだろう。彼らの狙いを探りたくて、話に乗ってみようと思ったのだ。


 金時さんから指定されたのは、街中のよくあるコーヒーチェーン店だった。

「こんなお店だもの。本気のデートではないわね。」


 自動扉がするりと空き、人もまばらな店内を見回す。金髪頭を探していると、金時さんは手をひらひらさせて私を呼んだ。

 コーヒーを買って金時さんの目の前に着席すると、彼はおもむろにこう言った。

「今日はデートありがとねー。おねーさんとデートできて幸せ!」

 手を組みひじを合わせて左右に振りながら、からだをくねくねくねらせる彼に、私は本題を切り出した。

 「私から何を聞きたいんでしょうか?」

 彼は金色の髪をくるくる巻きながら口をとんがらせた。

「えー、ウキウキで来てくれたと思ってたのにー。」


「コーヒー一杯さえ払ってくれる気なんてないのでしょう?そんなデートってありますか?」

 紙のカップをつまみ上げながら答える。


「えー、秘書ちゃんてば、男が全部払わないと嫌なタイプなのー?」

「そういうのはいいです。要件は何ですか?」


 やれやれというように手を広げて、金時さんは背もたれに深く体を預けた。

「俺ねー。許せない奴がいるのー。だからねー、人を憎んでる奴の顔がすぐわかるのー。秘書のおねーさんはさー、こっち側の人間だよねー。」

 そう言って、私の顔をまっすぐ指さした。目を細め笑っている。


うまくあしらおうとしたとき、金時さんは真顔になってつぶやいた。

「自分一人で社長の寝こみを襲うのは難しくない?手を組んだほうが楽だよ。」

と。

「あんた、社長を恨んでんだろ。」


 この時、私はどんな顔をしていたんだろう。少なくとも無表情ではなかったとは思う。

今まで必死で能面女を装っているというのに。


「俺たちに手を貸してくれたら、俺たちも手を貸せる。」


 すぐには堪えられず、コーヒーを一口だけ飲んだ。

どうせばれたのなら、こっちに乗ってみようか。

私にはもう守るものは何もないんだもの。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ