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【改稿版】守護者の乙女  作者: 胡暖
2章 騎士団の見習い
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17.攻撃2

 エヴァが目を覚ました時、周りには誰もいなかった。


 独特の薬品の香りがする。恐らく、城の医務室に寝かされているのだろう。

 イテテ、と声を上げながら起き上がると、エヴァは自分の体を点検した。アザだらけの体には丁寧に包帯が巻かれていた。

 エヴァは目を細めて、その包帯に指で触れながら、小さな声でラタを呼ぶ。


『ちちち、災難だったな、エヴァ』


 ラタは窓からひょこりと顔をだし、素早くエヴァの肩の上に乗ってきた。エヴァは肩の上で笑う小リスを()でながら、全くだと嘆息(たんそく)した。


「助かったよ、ラタ。アンナを呼んできてくれてありがとう」

『大変だったのだぞ!』


 アンナリーナの部屋で何かを伝えようと必死に身振り手振りを動かすラタを見て、ポンと手を打ったベルタが、単音の文字を一覧にした紙を用意してくれた。ラタはその紙の上で走り回ることで、何とかアンナリーナにエヴァの危機を伝えたらしい。

 エヴァは苦笑する。


「それは大変だったね。ありがとう」


 外からざわざわと音がした。エヴァは肩の上のラタをそっと窓の外へ(うなが)す。

 エヴァがドアの方に向くのと、ガチャとドアが開くのは同時だった。


「お、起きてるな」


 入ってきたのは、団長のランバルドと副団長のウルリク、そして、ルーカスだった。


「エディ、体は大丈夫か?」

「はい、団長。ご心配お掛けしてすみません」


 ルーカスが横から茶化すように笑って言う。


「お前を連れて行ったはずのニコライが、真っ青な顔で飛んで帰ってきたからビックリしたんだぞ。まさか王女が来られるとはな」

「ルーカスも助けてくれてありがとう。王女は、たまたま僕に用があって来てたみたいだ」

「へぇ、仲良くやってるんだな」


 ここで、ランバルドが表情を改めた。


「アンナリーナ王女から書状をいただき、これまでの嫌がらせについて知った。今日の私闘(しとう)の事もある。オリヤンとエリアスとパトリックは処罰(しょばつ)することになる。……ただし、騎士団は仲良し集団ではない。ある程度は自分で対処できることが求められる。よって、今回の嫌がらせ程度では、そこまで重い処分を下すことはできない。今回の処分は、謹慎1ヶ月だ」


 ここで一度ランバルドは言葉を切った。

 気遣わしげにエヴァを見ながら、再度話し出す。


「処分されたことで、1ヶ月(謹慎の)後に相手がさらに過激化する事も考えられる……大丈夫か?」


 ルーカスも、包帯だらけのエヴァのことを心配そうに見ている。

 エヴァは、こくりと頷いた。


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