27.婚約式
婚約式の舞台は、王城の中にある聖堂だった。
音が綺麗に響くように高く作られた天井にはたくさんの装飾が施され、光を採り入れ荘厳に輝くステンドグラス、壁にびっしり這うようなパイプオルガンは流石、王城の中にある神殿に相応しい豪華さだ。
久しく神殿を離れていたエヴァにはどこか懐かしく、しかし故郷の神殿とは造りが異なるらしく、どこか所在の無い心地がした。
今からエヴァとアンナリーナは、対となる衣装を着て、神殿長の待つ祭壇まで手を繋ぎ歩く。
祭壇に向かって二人でお祈りをし、神殿長に祝福の言葉をもらうことで、婚約が成るのだ。
アンナリーナは、裾の長い紺に金糸の刺繍の施されたドレスに、同じ色合いのレースで編まれた引き摺るようなベールを着けている。いつもツインテールにしてある髪は下ろされ、ハーフアップの形に複雑に編み込まれている。その頭にはティアラが輝く。
エヴァは同じ色合いの紺に金糸の刺繍が入った軍服のような衣装を着せられた。額が見えるように髪をセットされている。
エヴァには厳かなこの空間がただただ恐ろしかった。
けれどもう、止められない。始まってしまったから。
エヴァは、震える手でアンナリーナの手を掴む。
アンナリーナは言葉なく綺麗に笑ってエヴァの手をとる。
祝福のファンファーレが高らかに鳴った。
◆
その日、騎士団の入団規則の文言が書き換えられた。
――――見習いになるものは、一定の剣術の経験があれば、その年齢を不問とす。
一章完結です。
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