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OVA02「アウトブレイク コンビニー」その2

それから早速、大通りのど真ん中という立地条件の良い場所を提供してもらった。


「よくこんな一等地が空いてましたね。」

「一等地だからこそじゃ。競争が激しいので、よほど上手く店を回さねばすぐに寂れてしまう。」

「ラーメン屋がいつの間にか中古ゲーム屋になって、さらにレンタルビデオ屋を経て、携帯ショップになり…。

 どこの世界でも似たようなモンなんだなぁ…。」

「やきにくていしょく、ってやつっすねー。」

「…先に言われた。くやしい。」


あー、『弱肉強食』な。


「しかし、父上も人が悪いのう。この一等地で成功するか否か、主を試そうという気じゃな。」

「それは考え過ぎじゃないか?…あ、いや、そうなのかもなぁ。まぁ、良い場所には違いないけど。」

「ケインさん、私達で周りのお店と張り合えるでしょうか?」

「いや、張り合う必要は無い。」

「それでだいじょーぶなんすか?」

「元々、経営の仕組みが専門店とは違うからな。…それよりも未知の文化を立ち上げるワケだから、宣伝が重要になるな。」

「チラシを撒いたり、とかですか?」

「んー、もっとお客さんが積極的に来たくなる『何か』が必要だなぁ。むしろその『何か』目当てで来てもらって、

 コンビニにはついでに入ってみようかと思わせる位が、最初は敷居も低くて丁度良いかも知れない。」


ほら、アレだ。住宅展示場で縁日やヒーローショー催したりする様な。

でも食べ物も売るコンビニで、縁日のわたあめや焼きそば無料配布はネタが被るし、ヒーローショーはノウハウも人員も無いし。

そもそも冒険者というリアル戦闘する職業が沢山いるこの世界では、特撮ヒーローという文化そのものが存在しないからなぁ。


「その様な都合の良いモノがあるのかのう?」

「…ある。」


おぉっ!?マーシャが断言した!


「…みんなで歌って踊る。」

「「「「はぁああああああ~~~~~~っ!????」」」」


ちょっと、コレは大胆な意見が出ましたよ! マーシャはなおも続ける。


「…プリスもパトルもデヴィルラも、そしてマーシャも普通にカワイイ。

 みんなで歌って踊ってアピールすれば、幼女好きの人達が大勢集まって来るハズ。」

「こやつ、何気にさらりと自分もカワイイと言うたな。」

「そ、そんな、大勢の前で歌うなんて恥ずかしいですよぉ!」

「それでうまくいくっすかー?」

「…大丈夫。人間も魔族も関係無い。幼女好きは種族の壁をも超える。」


ロリコンみな兄弟!ってワケかよ!!(汗)

―いや、確かにウチの4人はカワイイ。凄くカワイイ。ヤバイ程にカワイイ。

この4人がフリフリのコスチューム着て萌え萌えで歌えば、今までその属性が全然無かった一般人でさえ

『俺、もうロリコンでいいや』『まったく、幼女は最高だぜ!』となるコト請け合いだろう。

しかし、みんなを客寄せパンダにするとか、これはいくら何でも…。


「…マーシャはマスターの為ならひと肌もふた肌も脱げる。ここで全裸にもなれる。」

「いや、脱ぐな!脱がないでくれ!俺の二つ名をこれ以上進化させるな!」

「オイラ、うたったりおどったりはすきっすけど…うーん。」

「…パトル、今スキって言った。言質取った。」

「やっべ!、しまったっす!」

「…これで2人決定ー。」


マーシャはパトルの手を取ってバンザイしている。

それを今まで黙ったまま傍で見ていたデヴィルラが口を開く。


「よかろう!余もその企てに乗ろうではないか!」

「なななななな、何を言い出すんですか!?デヴィルラまで!?」


プリスたんは顔を真赤にしながら、デヴィルラに猛抗議。そりゃあ、ここで2対2が3対1になったら勝ち目無いからなぁ。


「この企画、決して失敗させるワケにはいかぬ。主と我が国のメンツが掛かっておるのだ。ならば余が粉骨砕身せずに何とする。

 どうせ主の奴隷となったこの身、どんな辱めも成功のためならば甘んじて受けようではないか!!」

「し、しかしですね、不特定多数の人前で歌って踊るだなんて…。」

「んん~?プリスよ、お主の主への忠義心はその程度か?」

「―あ゛!?」


ひえっ!プリスたんのマジ顔、マジ怖ぇええええ!!!!


「もう一度言ってみて下さい。デヴィルラさん。」


プリスたんの『さん』付け、ムッチャ怖ぇえよぉおおお!!(泣)


「聞こえなんだか?ならば何度でも言うてやるわ。そんなしみったれた献身度と愛情では、主の正妻の座はやれぬと言っておるのだ。」

「私のケインさんへの献身度を侮辱する気ですか!?」

「いやいや、度合いと言うモノは人それぞれじゃ。お主は最大限のつもりでも、絶対値がこの通りと言うだけのコトじゃろうて。

 のう、パトルにマーシャ。お主達はこの程度の辱め、苦でも無いであろう?」

「うぅ…もうオイラ、はらきめたっす!にるなりやくなりすきにするっす!!」

「…マスターへの私の愛情度は53万です。」

「馬鹿な…!!」


完全アウェーのプリスたん、危うし!

デヴィルラはすっっっごく煽ったカンジのイヤらしい目つきで、ニタニタとプリスを見据えている。


「まぁ、出来ぬ者にやれと言ったトコロで叶わぬモノよのう~。」

「わっ、私だって・・・、」

「あぁ~?聞こえんなぁ~?」

「私だって、ケインさんのためなら何でもします!!」


あっ、プリスたん!そのセリフはいけない!!


「ん?」

「んんっす?」

「…今、何でもするって言ったよね?」


はい!負けた!プリスたん、今負けたよ!!


「あっ……。」


勝ち誇ったかの様なデヴィルラのムカツク良い表情。


「これで全員快く賛成じゃな。主のためにも店を盛り上げようぞ!」

「おぉーっす!」

「…がんばるー。」

「ぉ-……。」


―いや、俺、ひと言も『やろう』って言ってないからね?




それからは目まぐるしい日々だった。

俺が書いた大雑把なコンビニのイラストと説明文を元に、コンビニ『魔族の国・第1号店』が作られていく。

店名もみんなで色々出しあったのだが、良く良く考えてみれば、この世界にコンビニが1つだけなら

どんな名前を付けようが『コンビニ』と呼ばれるであろうコトは必至であり、まずはコンビニというシステムを

知ってもらうためにも、今はまだ特定の店名を付けなくて良いんじゃないか、という結論に達した。


店員に関しては、魔王様がお城から直々にお触れを出して、国の魔族達を募集してくれた。

24時間、自分の好きな時間で働けるとあって、応募はなかなかの数になった。

その中から面接で合格した魔族達に、お客への応対と作業内容をレクチャーする。


ちなみに、レクチャー係は俺だ。(苦笑)

コンビニを知っているのが俺しかいないんだから、仕方無いっちゃ仕方無いんだが。

それすら、俺が店に行った時に見た店員さんの仕事っぷりや、TVや雑誌で聞きかじった知識の受け売りだけどな。


給料は時給。普通コンビニは深夜の方が時給が高いのだが、ココではどの時間でも均一だ。

理由は簡単。昼にしか活動出来ない種族と、夜にしか活動出来ない種族を差別しないためだ。

つーか、夜間活動の種族にとってはそのライフサイクルが当たり前で、

俺の元いた世界の様に、深夜という時間帯が誰にとっても特別というワケでは無いのだ。


で、そうこうしてたら、俺はいつの間にか店舗監督の立場に収まっていた。(汗)

コレもまぁ、仕方無いかなぁ…。


4人の衣装も着々と製作中だ。俺は衣装のコトは詳しくないが、こういう時に、

―いや、こういう時にだけ、やたら有能なヤツが知り合いにいる。


「こっ、こんなデザインは如何でござるか?こりぇは、そっ、某の会心の作でござる故。ムフゥ。」


―そう。あの武器屋のニート息子だ。

適材適所とはよく言ったモノだ。こういうオタッキーなコトに関しては、天才的なスキルを見せるんだよコイツ。

この世界でサブカルチャーが普及でもしたら、間違い無くオタク文化の伝道師になりそうだ。


「良いカンジじゃないか。可愛いカワイイ。」

「可愛いですけど…スカートの丈が短過ぎませんか?」

「こんなもんじゃないっすかねー。」

「余からすると、いつもよりも布面積が大きいのう。」

「…動きやすくて良いと思う。」

「3人はそうでしょうけど…。」


プリスたんがデザイン画のミニスカートを見て戸惑っている。いつも着ている僧侶の長いローブからしたら、これは過激だよなぁ。

そう考えていると、デヴィルラが俺に私雪崩れかかりながら恥ずかしがるプリスに向かって言う。


「プリスよ。主はこの衣装を可愛いとのたもうた。

 ならば、これを着た可愛い自分の姿を呈するコトが、主への期待に応えるコトにならんかのう?」

「おい!俺をダシに使うなよ!」

「主も見たいであろう?このフリフリの衣装を着て、歌い踊るプリスの姿を。」

「うん、見たい。」


やべ、食い気味に即答しちゃったよ。俺の本能の馬鹿!


「け、ケインさんは…私の…こういう格好…見たい、ですか?」


うおっ!!伏せた表情から横目でチラリ、そして頬をピンクのブラシで染めてキラキラの上目遣いでじっと見つめるこの表情!!

凶器だ!!これは萌えの凶器だ!! 毎日彼女と一緒にいる俺でさえ、可愛さが眩し過ぎて耐えられない!!

横を見ると、武器屋のニート息子はこの可愛さオーラで既に床に倒れ、大破していた。


「そ、某…、少しは…役に…立てたのか…にゃ…ぐふっ!」


あ、轟沈だ。

プリスはまだ俺のコトをジーっと見ている。


「そ、そうだな、普段のプリスも良いけれど、俺は色んなプリスも見てみたい…と思ったりするかも知れない的な…、」

「!! そ、そうですか。だったら私、頑張ります!!」

「うわー、ちょろいっす。」


良かった。あと少しあのオーラに当てられていたら、身体が光子に変換されて光になるトコロだった…。(汗)

―ん?デヴィルラ達がこっちをジト目で見てる。どうした?


「ふーむ、主とこういう会話が出来るのであれば、今後は余も少しゴネてみるとするかのう。」

「ちょっと、かちにげされたきぶんっすねー。」

「…マスターはこの角度からのおねだりに弱い。マーシャ覚えた。」


マーシャが早速さっきのプリスのポーズを真似して、胸の前に拳をあてている。

いや、そういうのは覚えなくていいから。

て言うか、格闘家のマーシャがやると、今にも殴りかかって来るボクサーにしか見えんぞ。

脇がビシッと締まってるし…。

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