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ファンタジーな世界だけどラブコメしません?  作者: 夢愛
第一章 パラレルワールド
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異世界人と出会ったぞい

プロットなんて無いよ。


12月30日追記。

プロットは7月あたりに作りました。作るの苦手なだけです。

是非最後までお楽しみください。


2020/07/11──必要皆無だと判断した前後書きを削除することにしました。

 満開の桜が降り注ぐ春の景色。

 何もない、いつも通りの毎日だけど、今日は少しだけ特別な日。


 俺が、異世界に辿り着いて一年が経った日なんだ──。




「ちょっと、少しくらい手伝いなさいよ」


「やなこった。手伝って欲しけりゃそれなりの誠意を見せるんだな」


「それなりの誠意って何よ……」


 たった一つだ。たった一つの段ボールを運ぶのを手伝ってと言ってきたんだこの女は。

 先生に頼まれて段ボール(空)を運ぶのを了解したのは何を隠そうお前じゃないか。


 俺は愛するラノベを読みながら椅子に腰掛け優雅に高貴に寛ぐ。

 だけど彼女の視線が痛い。ま、気にしないがな。


「あんたさ、可愛い幼馴染みが苦労してるのに助けてあげようとか思わないの?」


 何やら愚問が聞こえた気もするが、それに対する答えが欲しいのならくれてやろう。

 俺に()()()幼馴染みなど居やしない。居るのは傲慢で決めた事を最後までやり切る事の出来ない偉そうな女だ。

 ラノベに出て来る女の子とは偉い違いだな。嘆かわしい。


「あんた……日に日に気持ち悪くなっていくわね」


「失礼な奴だな。日に日に偉そうになっている、と日に日にラノベ愛が増していってると言え」


「はい、キモいです」



 やはり現実の幼馴染みは日本語すらまともに聞き取れないようだ。又は理解出来ていないのか。

 それにしても哀れなもんだな。


 現実と離れて、何処か遠く……遥か遠くの異世界にでも行けたら喜ばしいんだがな。


 まあ、そんな事出来るのならこの現実に残る人間は殆ど居なくなり世界は滅び、人々はそれぞれ満足のいく世界で幸せな生涯を終えるんだろうな。

 とても羨ましい。そんな事にはまだならないが。

いや多分永久にそんな事は起こらないだろうがな。


「せっかく一緒に居られると思ったのに……」


「ん? 何か言ったか明日波(あすは)


「別に何でもないけど!?」


 急にキレ始めたか今度は。本当に忙しない女だな。

 ラノベにもそういうキャラは居るが、萌えるかどうかと言われたら100%萌えないな。可愛気が無い。


 これが現実と言うものか。悲しい。


「仕方ないな、ほら」


「え、何よ急に」


「持ち辛そうだから俺が運んでおいてやる。職員室で良いんだよな?」


「え、あ、うん。ありがと……」


 目の前で何度も何度も転げそうになっていたら流石に見捨てられない。

 それにしても段ボールが床に当たるものか? どれだけ背が低いんだコイツは。153だったような気がするな。


 俺は186でかなり高い方らしいが。


 それにいくら文句ばかり言っていて可愛気が無くとも、明日波は幼馴染み。そして女子だ。

 あと俺が好きなポニーテールだ。それが真紅なのが特に気に入っている。

 転げて汚れたらまずいからな。


喜音(きおん)、今日一緒に帰らない? 久しぶりにさ」


「つい3日前に一緒に帰っただろう。構わないが」


 何やら顔が赤らんでいるので心配だしな。

 もしかしたら風邪を引いてるかも知れん。



 そう言えば、明日波とは出会って17年目になるな。

 現在17歳の俺達だが、要するに産まれた時から一緒に居る訳だ。親達が仲良くてな。


 だが明日波の親達は数年前に事故死してしまっている。だから俺が心の拠り所なんだろう、常についてくる。

 友達も早いところ作って欲しいものだ。17年と言う時点でもう早くはないがな。


 俺の家は変わり映え無く親も居る。唯一変わったとしたら、明日波が共に暮らす事になったくらいだ。

 ラノベなら一つ屋根の下幼馴染みと過ごしていたら何かしら有るものだが現実は違う。

 俺はそんなもの明日波に期待はしないし興味も無いからな。


 帰り道には線路が在る。

 堂々と街の中心を横断する線路だ。正直なところ邪魔だ。


「あ、電車来るみたいだね」


「何?」


 おかしいぞ、この時間は電車は通らない筈だ。俺はここを通過する電車とその時刻はきっちり覚えているから間違いはない筈。

 今は通る時間じゃない。


「明日波、おかしいぞ。この時間は電車が無い筈なんだ」


「は? いちいちそんな事覚えてるの? 凄いな……」


「一旦退がれ、何かあるかも知れん」


「何かって何よ」


 溜息を吐く幼馴染みの肩を掴み後退していく。

 だが一向に電車が来る気配は無い。それもおかしい。電車がこんな遅い筈がないんだ。


「あ……」


 明日波が電車が来る反対方向を向いて小さく声を出した──一体何が……


「汽車?」


 反対側の線路からやって来たのは、蒸気を上げない汽車だった。

 なぜ汽車がこんな所に……ほら、明日波も口を開けて固まっているじゃないか。


「明日波、ここら辺に汽車なんてあったか?」


「し、知らないわよそんな事。見たのは初めてだけど」


 それもその筈だ。ここら辺に汽車など存在しない。過去に通った事すら無い筈なんだ。

 それよりもおかしいのは、()()()()()ってところだ。


 先程まで音も聞こえなかったのに、ふと振り向いたら踏切の辺りで止まっているのだ。

 明らかに変だ。時間も来た物も何もかもが……。


「扉が……」


 開いたのは恐らく運転、操縦席だろう。

 中から小さく声が聞こえる。話し声だ、2人居るらしい。

 どちらも女声で、乗車しているのも女性だという事がすぐに分かった。


 俺も明日波も、入り口を睨みつけたまま立ち尽くす。


「あれ? ここ何処です? え? 何ここ」


 中から顔だけを出したのはやはり女性で、夕焼けに染まるはとても長い銀髪。

 角度的に見ると腰あたりまでは伸びているんじゃないだろうか。


 そして外見が露わになると、俺の心の奥は少しだけ高鳴った。


 ラノベにも出て来るような異世界の住人みたいな奇抜なファッション。

 魔女の様なローブに煌びやかな髪飾りが目立つ。

 そして見た事も無い様な美少女であった。少なくとも、明日波よりは美人であろう。


「およ? 貴方達誰?」


「いやあんたこそ何者よ!?」


 突然話しかけられた俺は感動のあまりか声が出なかったが、代わりに明日波が答えてくれた。

 この女性は、もしかしたらもしかするかも知れない……と、そんな事を他人に言ったら『ラノベの読み過ぎだ』と言われるかも知れない。

 いや、間違ってはいないが。


 もしかしたら、異世界の住人なんじゃないか? と思ってしまったのだ。


 何故なら、奇抜な服装に突然の出現、現実ではあまり見ない銀髪。まあ隣に赤髪の女も居るが。

 奇想天外な出会いに興奮してしまっているのか、脳を休めよう。


「私はモトニス・オールブックだけど? 貴方達は?」


「喜音だ」


「普通に名乗るの!? わ、私は明日波だけど」


「ほえ、面白い名前」


「なんですって全ての本」


 何やら名前でピリピリして来たがまあ放っておこう。

 何故なら車内から人の足音が聞こえて来てるからな、恐らくもう一人が出て来るだろう。


「ん? モトニス、その方々は?」


「気温とアスパラだってさ」


「ほう、面白い名だね」


「「違う」」


 それは本当に面白いと言うか変な名前だ。人の名前をバカにするんじゃない、と少し苛立ったぞ。

 モトニスの方。

 アスパラなんて言われたから明日波がキレかけてるじゃないか。まあキレても怖くは無いんだが。


 出て来て笑顔で面白い名と言ってきたのもやはり女性で、クールな瞳をしたショートで藍色の髪をしている。癖っ毛が目立つが。

 身長は明日波と大して変わらない程度だろうか。


 胸も小さめだ。可哀想に。


「お前達は何だ? この汽車は何処からやって来たんだ?」


「まずここ何処?」


 質問に質問で返されたが、やはり彼女達はこの町の住人でない事が明らかになった。

 ここの住人ならばそんな質問は絶対にしない筈だからな。


「ここは祭武町だ。で、お前達は何処から……」


「何故こんな所に来てしまったんだろう」


 質問を遮られた。

 何故こんな所に来たのかと言われても、俺達がお前達の事情など知る訳が無いだろう。

 この二人組みは少々脳が足らないらしいな。


 何という事だ、低脳達に囲まれている。


「で、何だって?」


「あんた達は何なのって言ってんのよ!!」


 ケロッと聞き返して来た藍色の方に向かってとうとう明日波が怒鳴り上げた。

 まあそうなるな。質問してたのは俺なんだが。


 二人組みはお互いを見合うと頷き、藍色の方は車内に戻って行った。何だ。


「私達多分、異世界に迷い込んじゃったらしいのよね」


「本当か!!」


「興奮すんな!」


 興奮するなと言われても、異世界から来たと知れて興奮しない人間がラノベ好きに居るものか。

 特にファンタジー系異世界系が好きな人間はな。

 恋愛系の物が好きな人間はまあ別に憧れないのかも知れないがな。


 だとしてもこのパターン、ラノベで言うと異世界に連れて行ってもらえるんじゃないか!?


 俺が興奮している中、明日波は少し後ずさっていた。

 何やら怯えているようにも警戒しているようにも見えるが、異世界に行けるかもしれないのが嫌なのか?  不思議な女だな。


 俺は今から楽しみだぞ。


「ダメだ。やっぱ故障してるかも知れない」


「マジかー」


 戻って来た藍色の方は瞼を閉じて首を振る。

 故障したって言ったか今? こんな線路のド真ん中で汽車が故障したとでも言うのか? とんでも無い大惨事になる事間違いないぞ。


 楽しみから一変、恐怖に心が染まって行く。


 これじゃ異世界に行けない……そしてこの二人は戻れないんじゃないのか? 大丈夫なのか?


 二人組みは腕組みをしながら話をしているが、たったの1メートル程先に居るのに会話が聞き取れない。 これも異世界の技術とかが関係しているのだろうか。


「ねえ、君達の家に泊まらせてくれないかな? 汽車直るまでで良いからさ」


「「は?」」


 何と異世界へ行くパターンでは無くお泊りさせるパターンだった。進行方向をどうにかこうにか変えてくれないだろうか。

 だが汽車が直れば異世界に行けるんじゃないだろうか? そう思った直後には言葉が出ていた。


「構わん」


「構うわ!! 親に何も伝えてないでしょ!?」


「ありがとう、助かるよ」


「いえいえ〜、じゃないわよ!」


 沈む明日波と喜ぶ異世界の住人達。どちらが優先されるかなど、考えればすぐに分かる事だろう。

 勿論異世界だ。それ以外に考えられん。

 親にも色々理屈をつけとけば大丈夫な筈だ。問題は部屋の数が一つ足りない事だが。


 まあそれはすぐに解決するだろう。


「それより汽車はどうするんだ?」


「一回しまっとく」


 モトニスが汽車に手を翳し、次の瞬間にはもう汽車は消えていた。

 別の角度から見ていた俺でさえ何があったのか分からない程自然に。やはり異世界は凄いな。


 それより、もう一人の名前をまだ教えられていないが、俺達四人の共同生活が始まりを告げた。


 恐らく、この三人が役に立つ事は無いだろうけどな。



1話目縮めたよ

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