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道に咲く華 作者:おの はるか

第零章 プロローグ

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プロローグ

 視界を果てしないほどの木々が覆う。その薄暗い森の中、魔物の気配が徘徊する。どこに逃げても吐きそうなほどの血の匂いと魔物からは逃げられず、休憩する時間など全く与えられない。

 私達はわずかな荷物と使える武器だけを手にもって全力で駆ける。

「ソルト! あっちに逃げるよ!」
「ま、待ってよ~」

 弟も懸命に走ってくれる。だが、状況は最悪だろう。

 精神はともかく、私の体は成長期も迎えていない七歳、弟もまだ六歳。

 道もあるかどうかもわからないような獣道。しかも止まればすぐに魔物が襲われる。

 おまけに今も周りから不気味な遠吠えが聞こえてくるし、追いかけられたせいでどこを走っているのかも分からない。

「ごめんね。でも頑張って! 早くしないと追いつかれるの!」
「じゃあ後どれくらい走るの?」

 だが、私の「早く逃げなければ」という気持ちに反し、そんな言葉と共に走るのをやめてしまう弟。精神的に限界が来たのかもしれない。その時だった。

「ぐるるる!」

 足を止めた瞬間、右からうなり声が聞こえてくる。慌てて振り向くと2匹の魔物が木の影から飛び出し、私目掛けて飛びかかってきた。私の魔法の詠唱では間に合わない。が、

「お姉ちゃん!」

 そんな声と共に2匹まとめて刀でなぎ払ってくれた我が弟。二匹の魔物は元居た草むらに吹き飛ばされる。あなた、まだ6歳よね……。流石あの人たちの子供ね……。

「ソーちゃん、ありがとう」

 お礼もほどほどに私達は再び走り始める。この魔物が溢れ、薄汚れた森を切り抜けるために……。

 だが、このとき私は自分の体力も弟の体力も理解していた。確かに、まだまだ私も弟も走れるだろう。だが、私達の体力が尽きたとき、この森を抜けられているとは限らない。

 そして、同時にこの状況を打破するにはどうしたらいいかも理解していた。

 その行動を即座に決定できなかったのは私のエゴだ。神様がせっかくくれた二度目の生。それを捨てる勇気が持てなかった。

 もっと彼と一緒にいたい、一緒に生きていたい。そんな願いを捨てることが出来なかった……。
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