妖精と紙飛行機
ある6月の日。
雨上がりの下校中に、どこからか子供の泣き声が聞こえた。
辺りを探すと、アジサイの葉っぱの上で1人の妖精が体育座りで泣いていた。
金髪の巻き毛をしていて、白い羽が生えていて、身長は10センチぐらいの小さな女の子だ。
「ねぇ、どうして泣いてるの?」
「羽が濡れて、飛べなくなったの…これじゃお家に帰れないよう…」
かわいそうに。
確かに今日は雨降ってたからなぁ…。
「大丈夫、いい考えがあるから」
そう言いながら、僕は鞄から1枚の紙を取り出して紙飛行機を折り、そこに妖精を乗せた。
「しっかり掴まっててね」
「え?」
紙飛行機を飛ばすと、見事に風に乗って空へ飛んでいった。
「ありがとう! これでお家に帰れる!」
妖精は満面の笑みでお礼を言って帰ったのだった。