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改変童話集  作者: 桐谷 小秋
griever ~哀しみの狼~
2/13

1.

「狼や。お前は優しいからねぇ」


 ミミズクの声が響く夜、ベッドに腰かけたおばあさんは言いました。その足元には狼がいて、深めの皿に張られた水をピチャピチャとなめています。


 おばあさんは愛おしそうに目を細め、狼の頭をなでてやります。すると、狼は水から顔をはなして、夜のような漆黒の瞳でおばあさんを見上げました。その視線に微笑みでこたえたおばあさんは、ベッドから降り、病気のためにすっかりやせてしまった手で狼の背中に触れます。狼もおばあさん同様にやせているので、2枚の皮を隔てて骨が触れ合っているようでした。


「だからと言って、お前が食事をしないのは駄目だろう? ……こんなにやせてしまって」


 狼の胸にはアバラ骨が浮かび、心なしか躯を覆う毛までもやつれて見えます。おばあさんが病気で長くない以上に、狼には死の色が濃く出ていました。


 おばあさんは悲しくなって、狼を抱きしめます。しかし、細い躯から発せられる弱々しい鼓動に悲しみが増すばかりでした。


 ふと、おばあさんの頭に狼と過ごした記憶が蘇りました。

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