別れの朝
…来て欲しくなかった、別れの日。
ついにやってきてしまった。…マリーがアメリカに帰る日。
『土曜日、時間まで一緒にいられない?よかったら朝、9:30に学校前で。』
そんなメールを受け取ってしまっては、行かないわけにはいかない。いつもより少し可愛い服を着て、いつもはしないメイクをして。
…最後の時くらい、いいよね。
そんな言い訳みたいなことを心の中で呟き、遅れないように急いでいたら約束の時間の30分前に着いてしまった。
「早かったかな…。」
「知華っ!きてくれたのね、嬉しい!」
「ひゃあっ!なっ、何?マリー、驚かせないで…。」
「いつもの知華より可愛いわ。似合ってる♪」
「あ、ありがと…。」
後ろから飛びついてきたマリーに驚いたけど、可愛いって言ってもらえて照れてしまった。
そういうマリーも少しメイクをしているみたいだし、それにいつもよりすっごく可愛い。
考える事は一緒なのかな、なんて思ってしまって、少し嬉しくなった。
「どこへ行く?」
「そうね…じゃあ、ショッピングモールがいいわ!ゆっくりいろんなお店を見ましょう♪」
私達はのんびりとショッピングモールへの道を歩いた。マリーの横顔がとても綺麗で見惚れていたら、たまたま振り向いたマリーに怒られてしまった。
照れながら怒っていたから迫力は全然なかった。こんなこと言ったらまた怒られるだろうけど 怒った顔も可愛くて、いつまでもこんな時間が続けばいいのに、と願った。