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卒業式
周りは泣きじゃくる生徒で溢れていた。校長の長い話が終わり、送辞、答辞…と、卒業式はシナリオ通りに進められていく。
みんなと過ごしたこの高校生活で、1番残っているのはやっぱりマリーと過ごした日々。
(振られるとばかり思っていたから、泣きながら告白していたらびっくりされたんだっけ…。こんな私を受け入れてくれて、好きだって言ってくれて。こんな幸せな日々は今までになかった。)
「…そう考えたら、高校が一番楽しかったな。」
「知華?何をぼーっとしているの?」
「マリー…。あ、もう時間だよね、行かないとだっけ。」
「うん…。ねぇ、最近どうしたの?ずっとぼーっとしてるじゃない。今だって卒業式終わったばっかりなのに。」
「…なんでもないの。気にしないで?」
「嘘ばっかり。知華がそういう時、絶対嘘ついてる時じゃない。」
「…ごめんね。」
そういう彼女の顔を見れないまま、私はずっと俯いていた。
こんな時まで後悔ばかり。あれ言っておけばよかった、こうすればよかった。そんなことばかりで、何も手に付かなくなっていた。