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胸に秘める思い
あの日から数日経って、私達はいつも通り過ごしていた。
まるで、付き合っていたことなんてなかったかのように。あの夜、キスしたこともなかったかのように。
別れても今までと変わらなくて、手を繋いだりお喋りしたりして。
少しだけ変わったのは、付き合っていた時より一緒にいなくなったということ。普通に話していても、笑顔があまり見れなかった。
そんなマリーを見るたびに、胸が締め付けられるような思いをした。
もし別れていなかったら、マリーにあんな顔させないのに。しつこくしてくる周りの男子も私が追い払うのに。あの可愛くて綺麗な顔を曇らせたりしないのに。
もし一緒にいられたら、絶対に笑顔にするのに。
もう元には戻れない。再び手を繋いで笑いあって、また触れるだけでもいいからマリーとキスをしたい。触れ合っていたい。
そんな事無理だって知っているのに、私は心のどこかで期待していた。
そんな事を考えてばかりで、どんどんマリーとの時間が減って行った。
時は思っているより早く流れ、ついに卒業式がやってきた。