終わり〜加奈目線〜
何でこんなタイミングで言ったんだろう。知華が困って苦しんでいる時にこんな事言うなんて最低だ…。
知華の言葉を最後まで聞くことができずに走り去ってしまった加奈は、公園のベンチに座って 遊んでいる子供達を眺めていた。
さっきまでのことを思い出して、嫌われてしまったかも…なんて考えていると涙が溢れてきて、思わずぽつりと呟いた。
「ごめんね…。」
「…はぁ、はぁ…加奈、何で謝るの…?」
「…っ、知華…?」
そこには 息を切らして立っている知華がいた。反射的に逃げようとすると、腕を強く掴まれて 後ろから抱きしめられた。
「ちょ…っ、離して…?」
「…嫌われちゃったかな、って思ってるでしょ?思い伝えなきゃよかった、って思ってない?……私は嫌ってなんかいないし、伝えてくれて嬉しいんだからね?」
「知華…ありがとう、でも…答えはいらないから。あたしは知華とずっと仲良くいられたらいいな、って思ってるんだから…ね?」
「…うん、ごめんね、ありがとう。」
そう言うと、知華はゆっくりと腕をほどいてくれた。あたしより少し背が低い知華を見つめて、その額にそっとキスを落とした。
「か、加奈?えっ?」
「これで最後だから。明日からは親友だからね?」
「…わかった。」
俯きながら頷く知華を見て、ほっとした。嫌っていないということ、伝えてもよかったんだということがわかって嬉しかった。それを伝える為だけに走って追いかけてきてくれた知華が可愛くて愛しくて。
私の初恋は今日で そっと幕を閉じた。
叶うことのない苦しいものだったけど、知華のことを好きになってよかった。
…好きだったよ、ありがとう 知華。