「じゃあね。」〜マリー目線〜
知華が何か言いたそうにしているのを、私は察していた。
でも それを聞くと決心が鈍ってしまいそうで、言い出すことができなかった。
結局、私は最後まで臆病者だった。
出発の日の朝、最後の時は知華と過ごしたくて学校前に呼び出した。
桜はまだ満開ではなかったけど、初めて会った時にそっくりだった。知華は気付いていたかしら。
いつもは着ないふわふわの服を着ている彼女はとても可愛くて 思わず抱きついて驚かせてしまったのは少し後悔してるけど、反応が可愛かったから満足だったわ。
ショッピングモールで色んなお店を見たけど、知華が見せる色々な表情の方に惹かれていた。笑ったり、拗ねたり、ちょっと怒ったような振りをしたり。可愛くて仕方がなかった。
空港に向かう途中で寄り道したのは、前からペアのものが欲しかったから。実はずっと前から考えていたけど言い出せなくて、なかなか買いに行けなかったんだっけ。
文字が刻印できるって聞いて 英語を選択したら、知華ったら私に任せっきりにしちゃって…まぁ、いいのだけど。
ちなみに、こっそり写真を撮っていたのも気がついていた。少しだけカメラの方を向いていたのに気づいたかしら?その時の反応、見たかったわ。
指輪をはめあって。泣き顔も可愛いって思ってしまったのは胸の奥にしまっておくの。
最後のキスも、絶対に忘れないようにするためにしっかり記憶に焼き付けた。
空港では可愛くない私が出ちゃった。素直に、さみしいって言いたかった。
きっと、それは知華も同じだったんでしょうね。
最後まで言い出せない臆病者でごめんなさい。大好きよ、知華。私が日本で初めて愛した、日本人の可愛い女の子。