散りゆく花びら
「…ねぇ、もう卒業ね。」
彼女は放課後の教室で そう呟いた。
あと少しで私たち3年生は卒業だ。私はやりたい事がなかったのもあるけど、少し興味のあった専門学校に進学することになっている。
アメリカからの留学生 マリーは高校を卒業したらアメリカに帰ると言っていたから、もう少しで離れ離れになってしまう。
「そうだね…。マリーはアメリカに戻るんだっけ?」
「そうよ。知華は通訳の学校へ行くのよね?」
「うん。…さみしくなるね。」
「らしくないわ、知華。いつものあなたならそんな事気にしないのに。」
「…どうしても、ね。マリーと離れるのがさみしくて…。」
「……。…ねぇ、知華。」
「なぁに?深刻そうな顔して…。」
「…私達、別れましょう。」
聞き間違いかと思った。マリーから別れ話が出るなんて、思っていなかった。…いや、少し覚悟はしていたのだ。マリーが時々さみしそうな顔をしながら考え事をすることが増えてきたから、何かあるのかと思ってはいた。このタイミングで切り出されるとは思ってもいなかったから、私は言葉を失った。
マリーと私は付き合っていた。
女の子同士、なんて思われるかもしれないけど、私達にとっては本気の恋だった。
帰り道には手を繋いで帰ったり、お互いのことが本当に大好きで、いつも一緒にいた。
物事をはっきり言うマリーと思いを隠してしまう私は喧嘩もしたけど、それでも仲直りしていつも笑顔で過ごしていた。
「……うん。マリーが言うなら私は、」
「…ありがとう。ごめんね、知華。ごめんね…っ」
俯いていた顔を上げ マリーは 泣きながら抱きついてきた。私も泣きそうになりながら 震えているマリーをいつまでも抱きしめていた。




