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荒野のグレンツェ  作者: レザレナ
プロローグ
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プロローグ

 見渡す限り、炎が町を覆っていた。見慣れた道には人が焼け死んでいたり、無残な姿になっている。近所も家も跡形もなく焼けていた。俺と村長の娘、カリーネはただこの光景を涙ぐんで眺めることしか出来なかった。泣き崩れたいのに脳の制御装置が作動しているかのように、これ以上の悲しむ行為が許されなかった。俺はもう一度、今までのことを振り返った。

 狩りの練習をしているときに、黒く大きな浮遊物がこの町に向かってどんどんと大きく近づいてきた。教会とほぼ同じ大きさの生き物が建物を壊しながら着地した。そしてその生き物が口から炎を吐いてきた。怪物だ。俺はそう認識すると怖くなって逃げた。周りは恐怖と悲鳴の声であふれかえっている。立ち向かうものたちもいた。何故逃げたか? 絶対に勝てない、殺されると思ったからだ。何度もなんどもこけそうになった足を無我に動かしていた。目の前で死んでいく人たちもたくさんいた。体を引きちぎられて殺されたやつがいた。俺は必死で逃げた、逃げた。村長が目の焦点が合わないのに、俺の方を向いてカリーネを渡していた。そして俺は二人で逃げた。そして…黒い生き物の上には人が…いた。そして…両親が…。

 振り返るのをやめると俺は怒りに満ち溢れていた。連れて行かれた親、独り身となったカリーネ。俺は…力なくここで倒れるわけには行かないと思った。まだ火が移っていない遠くの厩舎には馬が二頭いた。二頭のむなしい鳴き声が、町中に響いた。


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