第3章 女子校に仮住まい
第3章 女子校に仮住まい
帰りのトレーラーはお通夜会場のような雰囲気だった。
無理もない。
今日は民間人の犠牲者が二桁を超えた。
過少な戦闘員では、全ての範囲をカバーしきれなかったのだ。
「みんな暗いよ!もっと元気出して行こうぜ~。大好きなあの子のことを思い出すとかしてさ」
羽田連理がハンドルを握りながら軽口を叩く。
「…私はどうする?」
「おお?式神なら大好きなあの人のことを、だな。…部隊長のことだろ?」
「ば、馬鹿もの!お前は何を言っている!」
そうだったのか。
恵美那と羽田のやりとりを聞いていて、初めて知った。
当の想われ人たる水天宮部隊長は無反応で座していて、<蜉蝣>のメットすら脱いでいない。
いつもならのってきそうな城ですら、疲労か悔恨によるものか、押し黙ったままだ。
「我らが城に到着~!ゆっくり休んでちょうだい」
羽田が努めて明るく帰還を告げた。
***
「まだやってるのか?もういい加減帰って休め。3日連戦だろう」
錦雁之助が背後から寄ってきた。
おれは整備詰所に残って<蜉蝣>の微調整を続けていた。
日付が変わって、さすがに藍沢渚は無理矢理帰寮させた。
「もうちょっとなんです。照準の振動補正」
錦が缶コーヒーを放って寄越す。
「…ならお前はテストに専念しろ。俺が調整を代わる」
「すみません、親父さん」
男2人で黙々と作業した。
1時間程で納得のいく数字が出せ、今夜の整備を完了とした。
***
部隊長室に呼ばれたおれに告げられたのは、隣のエリアの女子校への臨時駐屯命令であった。
デスクワークの途中らしき東山紅緒も手を止めてこちらを窺っていた。
「楽翠女子高校…ですか?」
「そうだ。先だって大戦を経験して、40%以上の損害を出したとのことだ」
水天宮部隊長が書類に目を落として言う。
シバリスがあと2日で戻るので、それまでの辛抱かとは思うが、残された第301生徒部隊が心配になる。
式神恵美那は大丈夫だろうか。
「了解しました。行ってきます」
***
命令を受け、軽く挨拶をして回った。
「いつ戻るんだ?」
葛西幸尚は巨体で圧殺せんばかりにすがり付いてきたが、おれにも答えはわからなかった。
藍沢渚はおれに同行するため、整備道具一式を抱えて校門で待ち構えていた。
一通り挨拶を済ませて玄関を出る。
梶ケ谷三春や仙太郎も、葛西について玄関まで出てきてくれた。
「あの校門で待ってるのがパートナーなんだ?私の方が可愛いわね。あの子、髪が青いし」
「金髪と青い髪のニ択か…どうなんだろうね」
梶ケ谷の発言を受けて仙太郎が呟いた。
「仙太郎…あんた、どっちの味方よ?」
「…あ、ほらっ。黒髪登場」
梶ケ谷に首を絞められながら、仙太郎が指を差した。
釣られて指の先を見やると、校舎2階の窓から式神恵美那と城竜二が顔を出していた。
特に激励などはなかったが、手を振ると両者とも応じてくれた。
「じゃあ、しばらく行ってくるよ」
葛西ら3人に言って、おれは藍沢の元へと歩を進めた。
***
迎えの軍用ジープで乗り付けた先が、楽翠女子高校だった。
校舎は四海高校と比べて外装が綺麗で、建設から比較的新しいように見えた。
校舎裏に整備テントが張られていて、<蜉蝣>などの荷をそちらに搬入してから部隊長室へと向かった。
楽翠女子高校第1185生徒部隊の来島冴子少尉は開口一番にこう言った。
「歓迎します。柩無無に藍沢渚。<国士無双>を受けたペアに、情けなくもこの部隊の命運を預けさせてください」
女子高生だけで編成された部隊は、水天宮中尉から聞かされていた以上に深刻な状況であった。
戦闘員は1年生が2名で、おれを入れて総員3名。
オペレーターは整備士長が兼ねていて、彼女を入れて整備士は5名プラス藍沢渚。
事務員はジープの運転手を含めて6名の、部隊総勢で隊長以下16名という小所帯だ。
四海高校第301生徒部隊の半分以下という陣容の薄さである。
臨時駐屯は長引くかもしれないな、と感想を抱いた。
***
楽翠女子高校の周辺領域は著しく<厄魔>に侵食されているようで、臨時駐屯以後、1週間で3度目の戦闘状況にあった。
前の2戦で冷や汗をかいた経験から、2名の1年女子をペアで動かすことにした。
その分おれがバーニアを全開にして戦域を縦横に移動する必要に迫られ、予備の燃料を片手に持つという奇策を採用していた。
ライフルのみで<厄魔>を狩ること自体は難しくはなかったが、一度に相手をできる数が限られた。
理想を言えば念のために前衛を1人起きたかったが、ないものねだりをしても始まらなかった。
『ターゲット008、ロスト!』
オペレーター兼整備士長の結城ユウ(ゆうき・ゆう)が声の調子を上げた。
「索敵範囲の外に出たのか?」
言いながら、中距離で蛇型の<厄魔>を撃ち抜いた。
『はい。H11632CWエリアから北西へ移動したのが確認されています』
おれは該当ポイントへと急行し、008に狙いを定めて引き金を引いた。
<厄魔>の頭部が弾け飛んだ。
***
藍沢渚と整備に励んでいると、あちこちの整備士が質問に訪れた。
<蜉蝣>の駆動回りと銃器の照準に関して、彼女らの理解が低いとすぐにわかった。
この部隊は人員不足から、練度の低下が凄まじいのだ。
それもこれも、おれたちが来る直前の歴史的大敗に端を発するらしい。
「ええと…ここは微妙な調整がいるので、戦闘員の方に逐一尋ねながら少しずつ巻かないとダメです」
満更でもない様子で、藍沢が結城整備士長にレクチャーしていた。
とは言え彼女もドジながらきっちりした性格上、オーバーワークになっている点は否めない。
7割程度で妥協して、深夜作業の切り上げを宣言するのは決まっておれの役目であった。
「藍沢さん、大丈夫かい?」
「はい。有り難うございます」
そう言って、重量のあるレンチを足の甲に落としてしまい、苦悶の表情を見せた。
「ここは、このままだと、いけないな」
「…はい」
藍沢渚も深刻さをわかっているようだ。
部隊の練度を上げる方法を、早急に考える必要があった。
***
「休暇…ですか?」
「はい、来島少尉。現場にはリフレッシュが必要との判断です。今日は1日部隊員の授業と仕事を免除して、バーベキュー大会を開催することを提案します」
「…部隊の休暇は、この戦況では管区司令部が許さないでしょう」
「管区司令部には臨時武装演習と申請するのが宜しいかと。私が企画したと、この通りにご申請いただければ」
おれは武装演習と銘打った企画立案書を差し出した。
来島冴子少尉はペーパーをパラパラとめくり、「でも、バーベキューの物資が…」と申し訳なさそうに眉根を寄せた。
「それなら第301部隊に融通を打診済みです。すぐにでも新鮮な肉や野菜が届くでしょう」
これは一部脚色していて、部隊にではなく式神恵美那に手を回してもらっていた。
バーベキュー道具に関しては、藍沢渚らが突貫で製作している。
部隊員たちへは朝方にあらかた承諾を取り付けていたので、おれは来島少尉への説得を続けた。
***
軍は兵士たちの心身のケアに心を砕くものである。
ストレスを過大に受けている中ではパフォーマンスが発揮できないと実証されているし、士気が低ければ反乱とて起こりうるのだ。
第1185生徒部隊は明らかに追い込まれており、悲壮感を払拭する必要があった。
柄ではないが、そのためにおれが道化になるのもやむを得ない。
「柩先輩…私たち、大丈夫なんでしょうか」
串を手に持ったまま棒立ちになっている女生徒に声を掛けたところ、こんなことを言った。
おれは焼いた肉をどんどん渡して、「おれはこれでも<国士無双>を受賞してるんだけど」と根拠の薄い自信を示した。
次々に食材を焼いて、<国士無双>を盾に部隊員たちを励ましていく。
恵美那の手配してくれた食材はさすがに良品で、みなだんだんと箸が進み始めた。
川原に黄色い声が充満した。
結城ユウ整備士長が隣に立っておれを見上げた。
「柩さん、ありがとう。みんな、久しぶりに笑ってるわ。…地獄を見てからこっち、本当に生きた心地がしてなかったから」
おれは静かに頷いた。
そして、明日からは彼女らを厳しく鍛えねばと誓った。
***
戦闘員の2人には今までの1.5倍の訓練メニューを与え、おれは進捗を確認しながら己の課程をこなした。
藍沢渚には、<蜉蝣>整備の力を平均的に底上げするよう、結城ユウ整備士長とタッグでことに当たれと依頼してあった。
来島冴子部隊長とも会話し、戦闘時にはおれを前面に出して、しばらくは2人を支援役に固定するよう要望を出した。
翌週に2度の出撃があり、あわせて20超の<厄魔>を撃破したので、当面の戦況は心配なくなった。
そして、7月も終わりを迎えようとしていた。
***
「部品か…」
「はい。スペアがギリギリの状況で、不意の連戦には耐えられる保証がありません」
藍沢渚がしんみりとした感じで言う。
結城整備士長は「うちの青大将は気が弱くて…」と頭を抱えていた。
第301部隊の有栖川鏡子事務長の姿が脳裏に浮かぶ。
彼女や葛西幸尚なら、こんな事態にはならないのだろう。
調達に関しては一朝一夕でどうにかなるものではなく、あれこれと考えを巡らせていたところで、校内放送で部隊長室に呼び出された。
来島冴子少尉が言うには、急遽管区司令部から部隊査察が入るそうで、おれの同席を要求されていた。
整備士長と事務長も合流して、1時間程で査察の一行が到着した。
管区司令部の副司令は聖と名乗り、制服胸の階級章は学兵の最高位である大尉を示していた。
清廉な感じを受ける、実に頭の良さそうな顔をした士官だ。
そして聖の隣には、見知ったのっぽの眼鏡が軍服姿で直立していた。
他には聖の部下と思しき女性士官が2人、後ろに控えている。
「聖副司令。私は彼に用がある。査察は始めてくれて構わない」
「はっ。了解です、六郎丸少佐」
聖が六郎丸に向けて敬礼する。
来島冴子らは、おれと六郎丸を代わる代わる眺めていた。
六郎丸はその服装の通りに軍人で、知っている限りでは軍本部で参謀を務めていた。
おれは六郎丸が導くままに部屋を出て、人気のない廊下で彼と向かい合った。
「久しいですね。…ええと、ここでは柩と名乗っていましたか」
「…案外早かったな。もう半年くらいはいけるかと思ったんだが」
「<国士無双>賞、獲るべきではありませんでしたね。いくら軍が無能者の集まりでも、三人寄れば…です。すぐに山の手から連絡がありましたよ」
眼鏡の奥で目を細めて、六郎丸は低い声で言った。
「…銃殺刑か?」
「敵前逃亡に身分偽造。建造物侵入に銃刀法違反、危険行為に軍事機密保護法違反…その他もろもろ。これで極刑にならなかったら、この国の法律を心配したくなるというものです」
「まあそうだろうな」
おれはふうと息をひとつ吐いた。
一度捨てた命、惜しいということはなかった。
しかしまだ、式神恵美那を生かすための役には立っていない。
こうなってはこの男をここで殺して、軍と敵対して地下に潜ってでも目的遂行のため動く他になかった。
「怖い目をしないでください。今のはあくまで一般論です。今あなたと事を構える気はないのです。私も、軍も。痩せても枯れても、あなたがスペシャルだという事実は変わらない。同じ武蔵野を甘く見る程、私は愚かではありませんからね」
言って、六郎丸は口元に笑みを浮かべて続けた。
「取り敢えず、あなたを少尉に昇進させますから。元の階級より下ですし、昇進という表現が適当かどうかは分かりかねますが」
「…どういうつもりだ?」
六郎丸を睨み付けるも、柳に風と受け流されてしまう。
「泳がせておけば、あなたは内陸の治安を護ってくれるのでしょう?それは軍にとって有意義には違いない。もちろん、あなたの抜けた穴を埋めることは容易ではありませんが。まあ、そこはお人形さんにでもやらせておきますよ。…というわけで、昇進したあなたは、大手を振って学兵を教導してくれれば宜しい」
「そうしているうちは、生かしておいてくれるわけだ」
「せいぜい化け物どもを派手に狩り続けていただきたい。…今日はそんなところです」
六郎丸は回れ右をして来た道を引き返して行った。
相変わらず掴み所のない男で、あれでおれと同じ24歳だというのには恐れ入る。
まあいい。
軍にお目こぼしをいただけたようなので、もうしばらく勝手をさせてもらうことにした。
***
監査翌日にその事件は勃発した。
おれに下着泥棒の嫌疑ががかけられたのだ。
「ここには男性はあなたしかいないのです…柩さん」
結城ユウ整備士長が冷たい声音で追撃する。
「大人しく白状してください。我々はみなあなたに恩を感じています。決して悪いようにはしません」
「柩先輩…」
あろうことか、青い髪の少女までもが目を潤ませて、おれを疑う輪の中に収まっていた。
放課後の出勤早々に整備テントで周りを取り囲まれ、下着泥棒の烙印を押されかかっていた。
「おれはやっていない。被害の状況は?何より、おれが容疑者だという証拠はあるのかな?」
「…証拠はありませんが、状況的に、犯人は男性としか考えられません。女子寮で干していた洗濯物のうち、下着だけが全て綺麗に盗み去られていたのですから…」
結城ユウが主張した。
奇っ怪な話だが、全く心当たりがなかった。
「取り敢えず、整備士長の権限で拘束いたします。釈明は部隊長室にてお願いします」
何とそのまま連行されてしまった。
式神恵美那や城竜二の耳に入ったら、何を言われるか知れたものではない。
来島冴子部隊長は、はじめはぽかんとして結城ユウの告発を聞いていて、やがてふんじばられたおれの顔を見て吹き出した。
「あははははは。…結城さん、柩さんを無罪放免とします」
「そんな!部隊長?」
来島冴子に告発を却下され、結城ユウが食い下がった。
そうまでしておれを下着泥棒にしたいのか。
「もしかして、あなたの下着は盗まれなかったのではなくて?」
来島冴子の指摘に結城ユウが凍りつく。
「あなたのプライドを傷付けたいのではありません。現に私も被害にはあっていないのですから」
来島冴子がひとつの噂を語りだした。
管区司令部の査察が入った高校の寮では、「2年生まで」の女子生徒の下着が多々盗まれるのだという。
…なんだそれは。
「うちの寮もやられたということでしょう。…柩さんが欲しいと言うなら、私は差し上げてもいいですし」
「部隊長?」
おれと結城ユウの声がぴたりと合わさって響いた。
***
モニターに映る敵の動きは明らかに陽動を思わせ、敢えて2人をそちらに向かわせた。
伏兵が狙うとすれば、住人の避難が未完了な高台のポイントだ。
『柩少尉。2人が所定の位置まで追跡しました』
結城ユウが報告を寄越す。
8月の1日付でおれに少尉の辞令が交付されていた。
「深追いはするなよ。もし反転攻勢に出てきたら、しばらくは後退するんだ」
言って、おれは高台を目指してバーニアを全開に噴かした。
藍沢渚の整備によって、おれの<蜉蝣>の性能は当初より格段に高まっていた。
『敵性反応!F37784JJエリア。柩少尉、あと20秒で接触予定です』
ドンピシャだ。
眼前に出現し始めた巨大な芋虫状の<厄魔>を、片端から2丁のライフルで貫いていく。
それと動きをあわせて、陽動役を務めていた<厄魔>どもがとって返してきたのがわかる。
こちらの敵を殲滅した後2人と合流する旨を通信した。
***
「2人とも、だいぶ動きがシャープになってきたね」
整備テントで必死に調整を行っている2名の戦闘員、睦月と笹原を労った。
2人とも破顔して喜んだ。
動きが良くなっているのは事実で、それは基礎体力と<蜉蝣>整備力の向上、武器の扱い方や体運びの上達といった各要因が少しずつ作用してきたためだ。
戦況が徐々に好転しつつあり、出撃頻度が下がっているのも心理的に好影響なのだろう。
「ここはどうすればいいんだっけ…?藍沢さんに聞いてこよ」
笹原が立ち上がって藍沢渚の元へと駆け寄って行った。
テントの奥では、結城ユウが武器のメンテナンスに精を出している。
おれは顔を出した来島冴子部隊長に状況を報告した。
いまのところ、不満点は不足しがちな軍需物資だけだ。
「そうですね…事務長にはうまくやるよう言っているのだけれど。弱小部隊だからか優先順位を下にされてしまうみたいで」
「武器弾薬については最悪<蜉蝣>の肉弾戦があります。しかし、<蜉蝣>それ自体のパーツが無ければ戦いにはなりません」
「わかりました。私が直接掛け合います」
来島冴子が弱々しく微笑んだ。
***
いつも通りに部隊員たちと相席で、校内のランチルームで昼食としていた。
広い部屋ではあったが、視界には女子しか見当たらない。
そんな光景も、一月半を過ごせば慣れもする。
8月も半ばになり、臨時駐屯で着任した第1185生徒部隊の任期が、所属元の第301生徒部隊よりも長くなっていた。
「柩先輩、これあげます!」
「あ、私のも食べてください~」
「私はお弁当作ってきました!どうぞ、先輩」
カレーライスを平らげたところなのだが、色々とお裾分けを貰ってしまう。
青みがかった瞳で、向かいに座る藍沢渚がじっとそれを窺っていた。
弁当以外を腹に収めたところで、息急き切って入室してくる来島冴子が目に留まった。
急停止で制服のスカートが捲れて、白い綺麗な足が露になる。
「なに見てるんです?」
藍沢渚が白い目をしてたしなめてきた。
「柩少尉、大変なの!」
来島冴子はおれの隣に陣取り、ハアハアと息を弾ませながら耳打ちしてきた。
「うちの部隊と第301生徒部隊が合流して、新部隊を結成するらしいの」
内容よりも来島冴子の甘い吐息が首筋に当たる方が気にはなったが、おれは軽く頷いて見せた。
***
先月に続いて、またも管区司令部からズラズラと役付きが訪れた。
部隊合流の下慣らしのようで、本拠地をここ楽翠女子高校に置くそうだ。
監視塔の設備が最新だというのが理由のようだが、校舎や寮もこちらの方が綺麗だ。
整備テントが手狭になるので、管区司令部の手配で巨大なプレハブを増設して整備棟とするという。
一般生徒の転校も順次行われるらしく、秋も深まる頃には旧四海高校は廃校となる予定だ。
「旧」とつけたのは、存続するのが四海高校に決まったため、何とこちらが名称を転じて四海高校第301生徒部隊となるからだった。
「私、部隊長ではなくなってしまいますね」
プレハブの建設予定地を眺めながら、来島冴子が言った。
「今後ともよろしく。副部隊長殿」
2人して笑っていると、結城ユウが注進にやって来た。
「来島部隊長!寮の下着が、また…!」




