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ため息ついたらゴスロリ魔神が降臨した 〜追放された僕ですが、パパの魔力を戻すついでに世界最強を目指します〜  作者: はまゆう


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7/20

第7話:初めてのSランク依頼(※お買い物ついでに魔王軍を撃退)

金ピカのSランクカードを手に入れた翌日。

 僕がやりたかったのは、薬草採取のような地味で安全な仕事だった。……けれど。

「ねぇカンちゃん! この街で一番高い服屋さんはどこ!? アタシ、今のドレスも気に入ってるけど、もっとフリルが爆盛りなやつが欲しいわ!」

「主殿、娘の願いは私の願い。軍資金(ギルドからの支度金)もたっぷりありますし、まずは景気よく買い物といきましょう」

 ……現実は非情だ。僕は二人の「お買い物エスコート役」として、昼下がりの公道を歩かされていた。

 その時だった。

 突如として、空が不気味な紫色の雲に覆われた。

「ヒャーッハッハッハ! 愚かな人間どもめ! 今日がこの街の最後の日だ!」

 立ち込める暗雲の中から、巨大な蝙蝠の翼を生やした男――魔王軍の幹部を名乗る『虐殺のゼノン』が、数千のガーゴイルを引き連れて降臨した。

 街中の人々が悲鳴を上げて逃げ惑う。

「……はぁ。なんでお買い物の日に魔王軍が来るんだよ。ねぇアビィ、今日は帰ろ――」

「ちょっと、アンタ!!」

 アビィが、空中のゼノンを指差して絶叫した。その怒りは、魔王軍への正義感……ではなく。

「アタシが今から入ろうとしてたお店の看板を、アンタの部下が踏んだわね!? 泥がついたじゃない! どうしてくれるのよ!」

「……ええい、うるさい小娘だ! 貴様らから血祭りにあげてくれるわ!」

 ゼノンが凶悪な魔力の塊を練り上げる。

 だが、アビィの怒りはすでに沸点を超えていた。

「カンちゃん! あいつ、今すぐブチのめしなさい! アタシのフリルへの情熱を邪魔する奴は万死に値するわ!」

「えぇ……僕がやるの?」

「主殿、修行の成果を見せる時です。……さあ、あのお喋りな蝙蝠を黙らせてしまいなさい」

 パパが僕の背中を、優しく(物理的には壁を壊すくらいの強さで)叩く。

 一気に魔力の回路が開き、全身に力が満ちる。僕は深く息を吸い、ゆったりと腰を落とした。

 太極拳のような円の動きで、ゼノンの放った漆黒の雷撃を受け流し、掌へと凝縮する。

「……はぁぁぁぁぁぁ…………っ!!」

 渾身のため息と共に、僕は叫んだ。

「『どん底ため息砲ハピネス・バスター』!!」

 ドズゥゥゥゥゥゥン!!

 僕の掌から放たれた透明な衝撃波は、ゼノンの雷撃を飲み込み、そのまま彼を雲の彼方まで消し飛ばした。

 ついでに、付き添いのガーゴイルたちも衝撃の余波で、空中でバラバラに分解されていく。

「な、なに……!? この私があんな無名のガキにぃぃぃ……(キラリッ)」

 空に星となって消えていくゼノン。

 一瞬で静まり返る街。逃げていた住民たちが、恐る恐る物陰から僕を見つめている。

「ふん、当然の結果ね! さあカンちゃん、看板が直るまで次のお店に行くわよ!」

「……主殿、今の『ハピネス・バスター』のキレ、なかなかでしたぞ」

「……はぁぁ。もう、勇者とか魔王とかどうでもいいから、普通に買い物をさせてくれ……」

 僕は頭を抱えて、本日何度目かのため息をついた。

 すると、僕のため息をたっぷり吸ったアビィが、満足げに鼻歌を歌いながら、新しいブティックの扉を蹴り開けるのだった。

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