第7話「墓作り(前編)」
「あ! そうだ!」
「? どうしたガルナ?」
が、何かを思い出したのかガルナは立ち止まる。先頭を歩いていたダリアスもガルナの声に歩みを止めて振り返った。
「忘れものをしたの! ここで少し待ってて!」
「あ、ああ……」
それだけ言い残すとガルナは村の中へと走っていった。
そんなガルナの気迫に押されてダリアスは弱々しくも頷いて見送る。
「何か……妙だな」
ダリアスはガルナが走り去った方を見つめながら訝しげにポツリと呟いた。
「みんな……本当に死んでしまったんだ……」
村の中心へガルナはやってきた。
付近には井戸がある。
子持ちの女性たちが井戸端会議を行われてる様をガルナは今まで見てきた。たまにその現場を通りかかろうものならすかさず声をかけられて井戸端会議の議題に上げられてしまう。
「でも……もういない……」
そんな井戸端会議の幻を見てしまうがすぐに虚しく消えていく。その命のどれも、この世にはいない。もしくはこの村のどこかを彷徨っているかもしれない。
「……お墓は、たしかこっちにーー」
ガルナは頭を軽く横に振り、思考を巡らせて思い出す。
それはこの村の教会近くに以前から存在する墓場だった。
「あった……お墓作りからはじめなきゃ……」
墓場は幸いか荒らされた形跡はなかった。魔族と言えども死人には興味がなかったのかもしれない。
そのことにガルナは安堵する。
「ここは聖域なんだ……死者たちのーーみんなの聖域……」
ガルナは墓場内の何もない位置を掘り始める。死んでしまった墓を作るためだ。
ダリアスを待たせてるという焦りもあったが、それで墓が稚拙なものに仕上がっては意味がない。
だからガルナはゆっくりと丁寧に思い込めて地面を掘っていく。村人たちを想いながら。
「みんなを弔ってやらないと……きっと、死んでも死に切れない……」
「その弔い、オレにも手伝わせてくれないか?」
「……え?」
ガルナが村人たちに想いを馳せながら掘っているとそこに現れたのは村人たちの遺体を担いだダリアスだった。




