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聖魔の勇者〜やがて伝説となる聖女~  作者: 朝霧直刃


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第1話「勇者の生まれ変わり(前編)」

「勇者の生まれ変わりはどこだー!?」


 魔族の怒号が鳴り響く。村には炎が燃え広がり、建物は焼け焦げて朽ちていく。村人は勇敢に立ち向かい戦う者もいれば、泣き叫び逃げ惑う者もいるが、魔族に斬られ、焼き払われて命を落とす光景が当然のように繰り広げられていた。

 まるでそれが魔族たちの日常のように宴のように軽やかで楽しげだった。

 それは絶望の色を表情で露わにする村人たちとは対象的に見えた。


「勇者の生まれ変わりなど! この村にはいません! だからどうかお引き取りを!」


「とぼけるな! この村は貧しい村でありながら活気に満ちていた。生きる活気にな!」


「…………」


 勇敢にも修道服を身に纏った老齢の女性は魔族のリーダーらしき魔族のオーガの前に出た。

 その瞳はまっすぐにオーガを見据えていた。オーガは三メートルを越える巨体に全身が赤色の肌をしており頭には二本のツノを生やし、その目付きは鋭く、牙が口の中に収まることなく、剥き出しになっており、その手には巨大な大木槌を片手に持っている。


「それに既に調べはついておる! ここに波動を感じる! 貴様らニンゲンどもが勇者と祀り上げる! 憎っくきアルケイドの魂の波動をな!」


「そんな……勇者アルケイドが生きていたのは五百年以上も前の話ではありませんか! それなのに勇者アルケイドのような高尚な方がこんなちっぽけな寂れた村に誕生して、暮らしてるはずもないじゃありませんか!」


「ガハハハ! たしかに一理ありえるな。しかしーー《《この村で誕生していなかったとしたらどうだァ?》》」


「っ!? そ、それは……」


 オーガは老齢のシスターの言葉に可笑しそうに笑う。ひとしきり大声で笑うとニヤリと不敵な笑みを浮かべながら老齢のシスターを見据えながら言った。

 その言葉に老齢のシスターはわずかに顔をこわばらせた。それは彼女にただひとり思い当たる節があったからだ。

 十五歳を迎えたばかりの少女だ。少女はその若さで天使の奇跡ーー癒やしの呪文を扱える。その力で村の人々を癒やしてきた。

 その少女はここ、アース村の生まれではなく、アース村の近くの山中に赤子の頃に置き去りにされていた捨て子なのだ。

 そんな赤子を拾って今日まで育ててきたのは老齢のシスター自身だった。



「どうした? まさか心当たりでもあるのか?」


「そ、そんな心当たりなんてありません!」


 老齢のシスターは少し狼狽える。少女が勇者アルケイドの生まれ変わりのはずはないと。少女は奇跡の力こそあれど心優しい普通の女の子で。何より、自分が我が娘のように育ててきた少女を老齢のシスターは勇者アルケイドの生まれ変わりだとは思いたくなかった。

 もしも勇者アルケイドの生まれ変わりだったならば、少女は魔王を倒す鍵になり、戦争の道具として国を越えて利用されるのは確実なのだから。


「ふむ……語らぬならまあいい。語らぬニンゲンに用はない! 死ねええええ!」


「っ!?」


 しびれを切らした老齢のシスターに向かって大木槌を振り上げる。

 老齢のシスターに戦闘経験はない。ただのこころ清く優しいシスターだった。

 だから回避はおろか逃げることすら恐怖で体が震えてできるはずもなく大木槌の攻撃が頭からクリーンヒットし、その剛力からシスターの体は吹き飛ばされて何度も何度も殴り飛ばされた。


「ふん……死におったか。所詮は威勢だけのニンゲンだったか。それにしてもーー勇者の生まれ変わりはまだ見つからんのか!?」


「は、はいぃ……くまなく探してはいるのですが……」


「言い訳はいらん! さっさと探せ! 逃げられれば厄介だ!」


 しかしオーガ率いる魔王軍が勇者の生まれ変わりを見つけることはなかった。

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