第13話「滅ぼされた村の来訪者は――」
「行くん……だよね?」
「あぁ……誰であろうとも見殺しにはできん」
「私も行く……」
ガルナはダリアスが用意していた動きやすい旅人用の服に着替えて傍らにあった黒剣を両手に抱える。大事そうに抱きしめるように。思い出すのは昨日の戦いの記憶。ダリアスとの記憶。
「大丈夫か? ガルナ」
「大丈夫……私、やれるよ」
「……わかった。だが、無理だと思ったらすぐに逃げるんだぞ」
ダリアスはガルナを見つめて問い掛ける。
一度、ゴブリンたちを退けたと言ってもたった一度だ。それがマグレでもおかしくはない。
なぜならガルナが倒したゴブリンは最下級モンスターだ。
そう考えるとガルナはある意味ではラッキーだったと言える。
だからこそガルナの覚悟を問う。
次に遭遇する魔物はゴブリン同様の最下級モンスターとは限らないのだから。
ダリアスのそんな問いにコクリと頷くガルナ。
ダリアスの考え以上にガルナの覚悟は決まっていたようだ。
「……よし! ではいくぞ! オレについてこい!」
「ええっ! 蹴るの!?」
「先手必勝だ。いくぞ!」
ダリアスは深呼吸をすると教会の扉を勢いよく蹴り破る。
まさか蹴り破るとは思わなかったのかガルナは驚いたがダリアスは顔色一つ変えずに声をかけると走り出したその先には――――リザードマンの群れとそれに囲まれている水色の髪の少女と負傷した女性がいた。
そのリザードマンはトカゲのような風貌で赤い鱗の肌をしていた。
腕は二つ、足も二つ。その体を人間のように立っていた。その身には鎧を着用し、兜を装備し、金属製の靴までも履いている。
そして利き腕によって左右の違いはあれども皆、一様に剣や斧をその手に握っていた。
「リザードマンだと……!? せいっ!」
「ダリアス!?」
「ぐおっ!? なに! ニンゲンの剣士だと!? まだ生き残りがいたのか!」
ダリアスは一瞥すると迷いなく剣を抜いて駆け、群れの中の一体――ではなく三体同時に斬りかかった。
ガルナはそんなダリアスの様子に慌てて走り出す。
「急げガルナ! 少女を守るのだ!」
「そんな急に言われても―――うっ!? 体が熱い! 体が――動く!」
「なっ! 早い! いいぞガルナ! ゆけ!」
ダリアスの言葉にガルナ自身も続かなければと背中を押されるように黒剣を鞘から抜くとガルナの全身にぞくりと電流が流れるような煮えたぎるような熱が駆け巡る。
気付けばガルナは走り出していた。
その脚はダリアスよりも早く駆ける。
それを見たダリアスも驚く。ガルナの目は赤かった。充血ではない真紅の瞳に変わっていた。それが黒剣によるものであることはガルナは理解していた。




