第9話「届かない剣」
「ーーーーそろそろ行くか」
「うん……ねえ、ダリアス?」
「ん? なんだ?」
そして墓作りを終えてダリアスが墓の前で座して両手を絡ませて手を合わせて目を閉じて祈りを捧げるガルナに向かって言った。
するとガルナは目を開けて立ち上がるとダリアスの方へ目を向けて口を開く。
「私と戦って」
「私と戦えって……あぁ、わかった。だが、少しだけだぞ」
「うん……ありがとうダリアス」
その言葉に一瞬、目を見開いて驚くダリアスだったが真剣な表情を崩すことなく見据えるガルナが本気だと理解すると頷き、承諾した。
「良いんだな? 本当に」
墓場で行うにはやや狭いと感じたらしく二人は場所を移し、村の中心、広場に移動にした。
移動して、ある程度の距離を取ってから向かい合う。あらためてダリアスは厳しい眼差しで再確認する。
「……お願いします」
「わかった……どこからでもかかってこい」
「っ……! やああぁぁあああ!!」
ダリアスは大して構えてもいない。単に銀色の剣を抜いて、その剣を握ったままにガルナを見据えてるだけだ。
その視線にガルナは少し怯みながらも声を上げながらダリアスに向かって走り出して縦に黒剣を振るった。
「バレバレだぞガルナ! それでは今から自分はあなたを斬りますと教えてるようなものだ」
「きゃっ……!? で、でもっ!(どっ、どうして?! さっきは体が軽くーーどうやって動けばいいかわかったのに!)」
ダリアスは自身の剣でガルナのその黒剣を受け止めてーー押し返した。
ガルナはその押し返された衝撃で尻もちをついてしまう。
そしてガルナは違和感を覚えた。先ほど、ゴブリンたちの前で黒剣を握ったときの感覚をまるで感じないことに。
更に黒剣の扱い方が体の使い方が手に取るように理解できたのに今はそれがまるでない。
その違和感の正体は今のガルナには理解できなかった。
「どうしたガルナ! 立て! それではゴブリン一匹倒せぬぞ!」
「ま、まだまだあああ!」
それでもガルナはあきらめなかった。
しかしガルナの一撃はどれもヒットすることなく、ダリアスの剣で受け止められるか躱されて終わる。
「そろそろ終わりにするか……ガルナ」
「で、でも!」
「お前の気持ちは理解できる。だが、頭に血が上ったままに続けても得られるものはないだろう」
「…………うん、ごめんなさい」
それからガルナは幾度となくダリアスに立ち向かってときに受け止めて押し返され、ときに切り払われて、またあるときは足払いで転ばされたりと散々の結果となった。
「もう遅いから村で一夜を過ごすか」
「夜はやっぱり危ないの?」
「あぁ……夜は特に魔物が凶暴化するからな」
「そっか……」
ガルナ自身、村人たちから外には魔物がうろついてるから一人で行ってはいけないと何度も言い聞かされてきた。
だからこそ想像して少し身震いする。
これからまた魔物の戦うかもしれないということに。




