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11.コモスポート

 盗賊退治をした翌日に村を離れて二日目、ようやく街が見えてきた。


「奥に見えるのがコモスポートの関所ですわ!」

「へえ、あれが……」

「結構大きいのね」



 コモスポートは森を抜けたらすぐに見える位置にあった。共和国の首都であり、国名そのものを冠するこの街はそれだけ大きく、人もたくさん住んでいる。

 元はただの港町だったらしいが、かつて英雄の時代にここを首都と定め、海の向こうの大陸との交易を一手に担うようになり、栄えたのだとか。

 

「家に帰るまでがお仕事、ですの。もう少しだけ同行していただく事になりますわ」

「ああ、まだ護衛依頼は終わっていない。十数年前に王家を打倒する革命が起き、波紋は今も残り続けている。決して治安がいいとは言えないから、ダイチとヒトミは十分警戒したまえ」


 神妙な口調でミトが忠告する。海が見える街といえば聞こえが良いが、決して平和とは言えないのだろう。


「……革命があって何がどう争っているのか、理由を知りたいわね」


 ヒトミがミトに問う。


「争っているのは革命派と、革命が起きるまで爵位を持っていた元貴族派だな」


 現在コモスポートでは革命によって爵位制度は廃止されたが、元貴族達は資産や人望があるため議会に出席出来るのだ。革命主導派にとって面白くない話だが。


「そして、その矢面に立たされているのが貿易商だ。これまで交易は国家によって管理されていが、革命派は自由な交易を求めたのだ。反発する元貴族派とのせめぎ合いがいつも行われていて、目まぐるしく法規制が変わっている」


 商会の者にとって、他人事ではないのだろう。ファスタは静かに、でも神妙な面持ちで聴いている。現状に憂いを抱いているかのようだ。


「他国との交流も増え、それに伴う治安の悪化。そして海には巨大な怪物も現れた。過去最大の不況が襲うこの国が、どうやって治安を維持できようか」


 ミトはそう語った。「話が長くなったな。すまない」と言い話を終える。


「ううん、忠告ありがとう」

「……つまり、どういうことだ?」


 ヒトミは納得したらしいが、俺にはさっぱりだ。


「はあ、これだけ説明してもわからんか」

「元貴族と革命を起こした人達が争っているって事だけわかった」

「最初だけじゃないか! これだから脳の小さいオスは……」


 見かねたファスタが助けに入る。


「あまり外国と貿易したく無い元貴族と、いっぱい貿易したい人達が争っているって事がわかれば十分ですの」

 

 ああ、なんとなくわかってきた。

 革命があって、その改革の一つとして自由貿易を掲げているんだ。

 それで元々利権を持っていた人が反発している、と。

 

「大学生だったならこのくらいすぐにわかんないとダメじゃない」


 理解を深めていると、ヒトミに水を刺される。

 しかし、話の意図がわからない。


「いや、なんの話だ?」

「私達大学で出会ったわよね。ダイチも学生だったんじゃないの? ほら、確か教室の中でもビラ配ってたって噂じゃない」

「……なあファスタ、俺達はよそ者なんだけど街に入れるのか?」

「わたくしが保証人になりますので安心してくださいまし」

「保証人になってくれるなら安心だな。忍び込まずに済む」

「ねえ、私のこと無視してる? ダイチは大学に忍び込んだ不審者だったって訳じゃないわよね?」


 俺達は身元を保証するものを全く持ち合わせていないからある程度の覚悟をていたのだが、不法入国などせずにいられるのだ。


「ダイチ。無視しないで答えて? ダイチは学生なんだよね!? 不法侵入してないよね!? ちょっと怖くなってきたんだけど!」

「うるさいなあ……」

「まずは質問に答えなさいよ!!」


 ――――――


 なかなかに厳しい検査があるのだろうと思っていたが、ルミマール商会の紋章を守衛に見せるなりスムーズに事が運んだ。

 俺達は仮滞在証を貰い、この街に立ち入る許可を得た。

 これは身分証明が足りない場合に発行されるものだ。

 仮ではないものを取得するには教会など全世界的に活動する機関からの証明書や、あるいはコモスポートに帰属する組合からの証明書が必要になる。らしい。


「仮滞在証は有効期限がありますので、どこかの機関にお願いして身分を証明していただくことになりますの」

「へえ、ちなみにどこがお勧めなのかしら」

「わたくしのお父様は商会ギルドに所属していますが……、我が国の商会ギルドは先ほども言っていたように不安定で今はあまりお勧めできませんの」


 眉を落として言うファスタに、ミトが明るく振る舞う。

 

「冒険者ギルドなんてのはどうだ? 冒険者のための組合なのだが、この国に限らず各国のギルドが連携しているから、冒険者証はどの国でも有効に使える。仕事をしないと取り消されるがな」

「なるほど、世界で通用するのは便利だな」

「ちなみに、冒険者ってどんな事をするのかしら」

「モンスターの討伐とか、護衛依頼とか、腕っぷしが求められるものが多いな」

「やっぱりそうなのね……うーん、私はパスかなあ。不安定でも商会ギルドにしようかしら」


 ヒトミは血とか見たくないって言ってたし、荒事は苦手なのだろう。事実、戦えるとも思えない。

 

「俺は冒険者ギルドに登録する。せっかくの怪力なんだ」

「やったじゃない。学校に忍び込む職無から冒険者に格上げね」

「まだ言っているのか……ていうか、無職ってなんで知ってるんだよ」

「最初に鑑定したじゃない、仕事してないって」

「やめろ、思い出すな、丸裸にされてる気分だ」


 ヒトミはおいといて、冒険者稼業はこの国で金を稼ぐ手段としても期待している。命を賭けるんだし、給金も多そうだ。

 それに、俺は海に出て世界が平面である事を証明したい。海にいると噂の怪物を倒す依頼があるかもしれない。

 

 これから行う事を考えているうちに、目的地へと辿り着く。


「私の屋敷が見えてきました!」

【要約】革命について


1.昔コモスポートに英雄の血を引く王様がいて、貴族が幅を利かせてた。

2.十数年前に革命が起きて王政は終わり。自由な貿易がスタート。

3.それでも貴族の影響力はある。議会はバチバチ。治安もちょっと不安定!


以上!

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