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【28話】解決への道※レイマン視点


 私室に戻ってきたレイマンは執務机に座るなり、深いため息をついた。

 

 嘘をつき続けていた大罪人であるイリアスを処罰できたことは良かった。

 胸がスッとした。

 

 しかし、ローデス王国を包む現状は何も変わっていない。

 その変えようのない現実が、レイマンを苦しめていた。

 

「このままでは国は滅びる……。あああああ!!」


 絶叫しながら頭を抱えたレイマンは、ぐしゃぐしゃにかきむしる。

 

 もうどん詰まりだった。これ以上は手の施しようがない。

 ポロポロと涙が流れていく。


「レイマン様。ひとつ私に提案がございます」


 聞こえてきたのは側近の声。

 いつの間にか近くに来ていたみたいだ。

 

「ローデス王国は今、多くの災いに襲われております。これが起きた原因はなんでしょうか?」

「それは……あいつだ」

 

 涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げたレイマンは、側近を見上げる。


「神子であるリーシャが国からいなくなったからだ。そのせいで神子の力が消えて、こうなってしまった」

「その通りです。ならば話は単純だ。元通りにすればいい。リーシャ様をローデス王国へ連れ戻すのですよ」

「ずいぶんと簡単に言ってくれるじゃないか。確かにお前の言う通りかもしれないけどさ、それは無理だ。国外追放したリーシャが今どこにいるかなんて、僕には分からない」

「それが分かる……と言ったら?」


 ビクン!

 思いがけない言葉に、レイマンの体が大きく跳ねた。


「リーシャがとこにいるか分かるの!?」

「はい。隣国、バスティン王国にてリーシャ様を見かけたとの情報を多数掴んでおります。なんでも、国王であるフェイムス殿下の下で働いているとか」

「……よし! すぐにバスティン王国へ向かう!!」


 レイマンは勢いよく立ち上がった。


 居場所が分かれば、あとはリーシャを連れ戻すだけだ。

 そうすれば起きている問題はすべて解決。国は元通りになる。

 

(リーシャとは色々あったけど大丈夫だ。婚約破棄したことを後悔しているフリをしてもう一度やり直したいと言おう。そうすれば彼女は絶対に、頷いてくれるだろうからね!)

 

 レイマンは魅力溢れる第一王子。

 迫られたらリーシャは抗えない。必ず受け入れる。

 

 溢れる自信に包まれたレイマンは、勝ち誇った笑みを口元に浮かべた。

 

「連れ戻したあとは地下牢にぶちこんで一生幽閉してやる! 二度と外には出さない! 神子の力を発生させる装置として、国のために永遠に働いてもらう!!」


 ハハハハハ!!


 キンキン響く笑い声が部屋を埋める。

 絶望の涙は希望の笑いへと変わっていた。

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