表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/36

2. 2

「……どういうこと?」


 競歩めいた彼の足に合わせて半ば駆け足で追いかけ続けた芽美だが、三十分後には目を白黒させていた。理由は二つ。一つは当然というかなんというか、日ごろの運動不足がたたってついていくだけでも相当大変だということ。そしてもう一つは――。


「なんでまた同じ場所を歩いているわけ?」


 あれから彼は病院の敷地沿いの歩道を進み、角を左に曲がり、また左に曲がり、さらに左に曲がり――彼を最初に発見したコンビニの前へと戻ってきたのである。


「なんなのよもう……!」


 道を間違えたのか。落とし物か忘れ物でもしたのか。それとも尾行に気がついて敢えて同じ場所に戻ってきたのか。特に最後の可能性についてはあり得るが、彼は背後を一度も振り返らないから、それはない。……そう思いたい。


「こうなったらとことんついていってやるんだから……!」


 意地だけで彼の背中を追いかけ続ける自分はよっぽどの暇人だと芽美は思う。コンビニで買ったスムージーはすっかりぬるくなってしまっているが、そんなことはもう気にする余裕もなかった。


 ただ、意気込みだけはよかったものの、限界はあっけなくやってきた。


「だめ、もう無理……」


 同じコースの三周目に突入し、彼が病院の前を通過したところで――戦線離脱。芽美の足はふらふらと病院へ向かっていった。何かの勝負をしていたわけでも願掛けをしていたわけでもないのに、妙な敗北感を味わいながら。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ