表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/36

7. 1

 それからも夏という季節を踏破する勢いで芽美は歩き続けた。


 カンカン照りの空の下を。厚くたちこめた雲の下を。大粒の雨がふりしきる中を。


 排気ガスをまき散らかす車が、自転車が、芽美の横を何台も通り過ぎていった。老若男女、数えきれない人とすれ違った。


 すれ違う人々の視線は概ね二種類に分けられた。一つは、無関心。そしてもう一つは――。


「お前も俺のように変人だと思われているみたいだぞ」


 花屋の前を通ると、彼にたまに声を掛けられた。


「いい加減やめたらどうだ」


 苦言めいた助言を芽美は無視し続けた。するといつしか、彼は店の外に出てこなくなった。ただ、店内から彼の視線を感じない日はなかったが。


 母はもう何も言わない。ただ、芽美に毎朝おにぎりを持たせるようになった。ちょっとしょっぱい塩おにぎりはコンビニのパンよりもおいしいし、力が湧いた。


「芽美ちゃん。これ使って」


 ややあって、芽美は景太からウォーキングシューズをプレゼントされた。カナリアイエローが目にも鮮やかなシューズは芽美の足にすぐになじんだ。



  *


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ