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残り30日
「どれもこれも琴線に触れないな」
プリントアウトした多量の求人票を手にベッドに横たわる。
せっかくの有給休暇中だというのに身体が休めない。
定時に起きてご飯を食べ引き継ぎ作業をし、一日を終える。
これでは何のために退職を決意したのか分からない。
酒もタバコも博打もやらないし、そもそも興味が無い。
休みを有効活用できない自分に我ながら呆れ返る。
「明日は休日出勤か」
日中部長から催促の電話が来た。
業務関連の後任者が決まったから引き継ぎをするので出社しろ、というもの。
スカイプを用いて手順書を~と説明するも口頭での作業が望ましいの一点張り。
非効率な旧体制にうんざりする。
何だか疲れた……今日はもう寝てしまおう。
ベッド脇に求人票を寄せた私は、甘美な微睡みへ身を委ねるのだった。