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35日後に退職する私  作者: 東雲いろは
4/8

残り32日


「しまった、遅刻!

 ……って、もう関係ないのか」

 

 夢すら見ない深い眠りから急覚醒した私は、勝手に狼狽し勝手に安堵する。

 社畜だった頃の生活習慣は簡単には抜けないようだ。

 有給消化に入ったのに体内時計が勝手に起床を促してしまう。

 いつも家を出ていた6時を告げるスマホを見ながら寝床で溜息を洩らす。

 軽い倦怠感と眩暈。

 少し熱っぽい。

 いつもなら風邪薬を飲んで出勤するところだが、今は違う。

 少しばかり自分を労わっても罰は当たるまい。

 けど――


「疲れているのかな、私」


 昨日はあの後、総務に寄り退職に関する申請を行った。

 有給休暇の残りの確認と書類記載(未だに手書きだ)。

 保険関連の意向と手続き。

 退職金支払い(!)などについての署名各種。

 一時間くらいかと思っていたが結局半日が潰れてしまった。

 さすがに何もする気力が無く、帰宅するなりベッドにダイブした記憶を最後に意識が途絶えている。

 半日以上寝ていた事もだが、一日近く何も食べてない。

 この体調不良は精神的な負荷によるものだけではなく、もしかすると脱水症状も兼ねているのかもしれないな。

 身体は資本だ。

 しかも健康は掛け替えのない、お金では買えない代物だ。

 これから忙しくなるのに調子を崩しては駄目だろう。

 這々(ほうほう)の体で台所に向かうと水分を補給。

 時間が無い時や手間を掛けたくない時の最強メニュー、お茶漬けを流し込む。

 レンジでチンしたご飯パックの上に鮭フレークと刻み海苔、ワサビを乗せ市販で売っている白出汁と熱々のお湯を注ぐだけでまるで居酒屋レベルの味になる。

 忙しい時は朝夕これだった事もあったな。

 小腹を満たした私は歯磨きを行うと二度寝。

 外から聞こえてくる世間の喧騒を余所に、体力と気力の回復に努めるのだった。




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