残り34日
「いざ辞めるとなっても、中々面倒なものなんだな」
PCに映る退職についてのアレコレを検索した結果を前に溜息をつく。
でも――これは自分で決めたことだ。
自分で決断し始めた物語なんだ。
なら少しずつでも前に進めて行かなければならない。
不慣れな手書きで、どうにか退職届を書き上げる。
こんな紙切れ一つで長年勤めた会社との縁が切れる。
将来に対する不安。
生活に対する焦燥。
先程決めたばかりなのに、自分の判断は誤りだったのではないかと心揺れる。
けど……最早後には引けない。
既に賽は投げられたのだから。
しかしいきなり退職届を持っての訪問は失礼というか最早テロだろう。
まずはアポイントだな。
昨日に引き続き覚悟を決めると会社へ連絡する。
部長から一報があったのか総務からの返答は担当者不在の為、今日は有給対応にするので改めて明日出社して欲しいとの返答。
壮大な肩透かしに思わず気が抜ける。
まあ、得てして現実はこんなものなのかもしれない。
締まらない結果に脱力しながら今日は英気を養う事にする。
そういえば積み上げたままの漫画やゲームがあったな。
どこか曇った心のままそれらに手を出すも……
残念ながら内容はあまり頭に入って来なかった。