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35日後に退職する私  作者: 東雲いろは
1/8

残り35日


「分かりました。

 ならば――退職をさせて頂きます」


 度重なる理不尽な叱責。

 失態の言及が遂に人格攻撃に及んだ際、何かの糸が切れた。

 貴方の拘りは誰も幸せにしませんよ。

 上司に啖呵を切って辞めた先輩の顔が脳裏を過ぎる。

 私が辞めれば職場の皆に迷惑を掛けるかもしれない。

 けど――もう限界だ。

 このままでは遠からず私の心が死ぬ。

 死んでしまう。

 終わりの無いサービス残業と成果を残しても罵られる日々。

 以前から考えていたけど……退職をしよう。

 覚悟を決めて告げた私の言葉に部長は驚いているようだった。

 先程まで浮かべていた厭らしい笑みを消し、眼を見開いている。

 だが何かを思いついたように引き攣った顔で話し掛けてくる。


「何を言ってるんだ、お前は。

 ここを辞めても行く宛てなんかないだろう?

 無能なお前が、すんなり再就職できると思うなよ」

「そうかもしれません。

 世間は就職難という事も理解はしております。

 でも――ここにいて心も体も壊すよりは無職の方がまだマシですから」

「なっ!」

「今日は有給を使い早退させて頂きます。

 明日には退職届を持って参りますので……

 それでは短い間ですがお世話になりました」

 

 慇懃無礼な一礼を深々とし、踵を返す。

 同僚たちの驚きを背に、私はどこか晴れ晴れした顔で会社を後にするのだった。








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