ボックス
ここはどこだ?俺はあの白い空間を歩こうとしてそれで…ああ落ちたのか。浮遊感があったということはたぶんそうだろう。上には箱みたいなものが見える。はて、困ったもんだ。
時間もないし、動き方もわからないときた。
「そこの君、もしかして落ちて来たのかい?」振り返ると白髪の茶色いタキシードを着た老紳士がいた。
「はぁ、たまに君みたいなのがいるんだが君はどっちかな?」
俺が声を出す前に後ろから聞きなれた声がした。
「落ちたよ。ベッドの上から。でも不思議だね、見慣れた景色からこんな白い空間になるなんて」
歩だ。歩が後ろにいる。会えたもう一度会うことが出来た。嬉々として振り返ると空間が吸い込まれるように歪曲した。
「おい大丈夫か?」
「あれ、歩とじいさんは?」気が付くとムーさんとメーさんが心配そうな顔で目の前にいた。
「おまえ不運だな。外に出た瞬間にボックスに当たるなんて」
「ボックスって?」
「説明してなかったな。ボックスっていうのは記憶だ。人が寝ている時に、その日有ったことを整理してくれた物を圧縮したもののことだ。」
「薫くんがいたとこもボックスだよ」
「お、ちょうどあそこのボックス同士がぶつかるぞ。ああなるとカオスな夢を見ることになるからな。例えば高校の友達と大学のときの友達が話してる。みたいな本来あり得ないなことだな」
なるほど、じゃあ俺が見てたやつもぶつかったものだったのか。




