表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/25

事情

 「これは?」見るからに電車のキーホルダーだが一応聞いてみる。「?キーホルダーだよ?いいでしょ」

「ああ、ありがとう。」どんな反応をすればいいのかわからない。別に俺は電車が好きなわけではないからだ。「歩夢は電車好きなの?」「そうだね。電車に乗れば全然知らないところに連れて行ってくれるから好きだよ。ここから出たら車掌にでもないりたいって思っているんだよね。」ここから出ることができるのか。この病室はなんだか物静かな感じとなんだか不思議な感じの二つが印象に残る。そんな部屋の外に出られるのかと心のどこかで思い聞いてみる。「歩夢はここを出たいの?」「出られるなら出たいな。言い忘れていたけど、僕のこの願いをかなえる力は君で最後なんだよね。」訳が分からない。寂しそうな声でそんなことを言われても俺が何をできるわけでもないのに。

 俺が困惑していることに気が付いた歩夢は事の説明をしてくれた。

「まず僕は、人の願いをかなえることができる。でもこれは生まれつき持った能力じゃなくて神様がくれたものなんだ。だからね、普通の人が使うと代償が必要なんだ。じゃあ何でこんなことをしているかって?それはね。この力をもらえる前は病気だったんだよ。医者にも治るかわからないって言われててさ。そんなある日夢の中で僕の病気を治す代わりに人の願いを叶えろってさ。だから僕は人の願いを叶えることをしているんだよ。それも、もう無理そうなんだよね。代償がさ、僕の何かを失いうことだから。こう見えていろんなことを忘れているんだよね。親の名前とか、家の場所とか。とにかくいろんなことが分かんないんだよね。それであと僕に残ったものと言えば自分の名前と好きだった電車くらい。だから僕のこと知ってもらいたくて電車のキーホルダーをあげたんだ。」言葉が詰まった。彼がこんな残酷な目になっているなんて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ