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これは、知っているのに知らない君と3年越しにまた恋をする涙の物語  作者: 雨夜かなめ
3章 一人の人生に二つの人生
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来年の話

「おまたせ」


「湊音、この水着、ど...どうかな?似合ってる?」

 

着替え終わった小雪が、もじもじとしながら更衣室から出てくる。

気になる小雪の水着は、深みのかかった水色のビキニで、露出が高く恥ずかしいのか白いレースの上着を羽織っていた。

いつも髪を下ろしている小雪だが、今回は後ろにまとめてポニーテールにしていた。

露出の高い水着だから、いつも見えないうなじが露わになった心臓が高鳴る。


「すごく似合ってる」


「ほんと?サイズが合わなくなったから買い替えたんだけど、これにしてよかった」


「確かに昔のサイズはもう入らないな」


「なによー、太ったってこと?」


「いや、そういうわけではないんだけど...まあ、とにかく可愛いから大丈夫だ」


レースからのぞいている胸は、昔の水着のサイズでは収まらないだろう。


「湊音が気に入ってるならいいんだけどさ」 


それと、さっきから他の男どもが小雪の水着姿をちろちろみていて気になる。


「よし、じゃあいくか!」


周りの男たちを犬のように威嚇しつつ、小雪を連れて海に向かう。

小雪の飼い犬は俺だからな。


「あ、その前に日焼け止め塗ってほしいな...」


小雪の手を引き海に向かおうとしたとき、そう言われて日焼け止めを差し出される。


「えっと、自分でぬれないの...?」


「ぬれない...塗ってよ」


日焼け止めを無理やり手渡される。


「今日、だけだからな...」


そう言って、近くのビーチパラソルの下に移動する。


今日の小雪は、珍しく強引だった。

でも俺が変に意識してるだけで日焼け止めを塗るだけで、小雪も他意はないと思う。たぶん。


「じゃあ、塗るぞ」


「うん...」


ピーチパラソルの日陰にうつ伏せに寝転ぶ小雪の背中に日焼け止めを塗っていく。

女の子らしい身体の柔らかさを手で直に感じる。


小雪の背中はすべすべとしていて、日焼け止めを塗れているか不安になるくらいだった。

脇腹から手のひらを回して、お腹まわりにも日焼け止めを塗っていく。


「まだ、太ももの内側塗ってないよ」


一通り塗り終えたと思ったやさき、小雪がそういう。


「ここくらい自分で濡れるだろ...?」


「今寝そべってるからむりかも」


どう考えても無理のある言い訳だ。

そこは、意図的に避けていた場所だったが今日の小雪は許してくれないみたいだ。


他の部位よりも慎重に日焼け止めを塗っていく。

小雪の大切なところに指が触れるか触れないかの距離にも、しっかり塗っていく。


「はい...終わったよ」


小雪にそう言って、日焼け止めの蓋を閉める。

体に塗るだけなのに神経を使って海に入る前から少し疲れた。


「まだ残ってるところあるでしょ」


「残っている場所?」


体全体にしっかり塗ったし、残っている場所はもうないはずだが...


「ここ、まだだよ...」


そう言って小雪は、肩のビキニの紐ほどき始める。


「そこは自分で塗ってくれー」


そう言って、小雪が紐をほどき切る前に日陰を走って後にする。

まだ塗っていないというより、塗れるわけないだろうが。


「私も勇気出したのに...もう、みなとのへたれ」


走り去る前にそう聞こえたが、多分気のせいだ。


そんなこともあり、それからは海で満足がいくまで遊んだ。


小雪は泳げないみたいでずっと浮き輪で海にぷかぷか浮かんでいたけど、すごくたのしそうだった。

小雪は笑っていたが、浮き輪がひっくり返って少し溺れていたのを見た時は流石に焦った。この時初めて、小さい時に水泳を習っていてよかったと感じた。

子供っぽいけど、奢りをかけて砂の城を作って遊んだりもした。

最終的には俺が負けたが、金を持っていないので結局小雪の奢りになった。本当に情けない。

でも、小雪に買ってもらい食べさせてもらった海の家の焼きそばは世界一美味しかった。

それで、小雪のコミュ力で初対面のカップルを誘ってビーチバレーもやった。彼女さんの胸をチラ見したのが小雪にバレてすごい目で睨まれた。男だからつい見てしまったが気をつけよ。

それと、バナナボートにも乗った。小雪のお腹は柔らかかったけど、言うと怒られそうなので言わないでおいた。

こんな感じで、小雪がやりたいことは全部やれたと思う。


そうして気がついた時には、水色の綺麗な海は夕日でオレンジ色に染まっていた。


今は、二人並んで砂浜に足を伸ばしながら座っている。


「あー、楽しかった」


「だなー、もう夕方だ」


やけに時間が早く過ぎたように感じたけど、そのくらい楽しかった。


「え、本当だ」


「江ノ島いまからでも行くか?」


「いきたい!いきたいけど、帰れなくなっちゃうし私はもう大満足」

「海も楽しかった。海の家のご飯も美味しかった。砂に埋まった湊音の写真も撮れた。これだけあればもう十分」


「そっか。小雪が満足ならよかった」


「本当にありがとうね」


「うん。どういたしまして」


海を堪能しすぎて江ノ島には行けなかったのは残念だが、海を全力で楽しんでもう俺たちは満足だ。


「また来たいなー」


「じゃあ次、来年だな」


「それって、来年もずっと一緒にいてくれるっていう告白ですかー?」


揶揄うようにニヤけた顔で小雪がそういう。


「ち、ち、違うよ」

「また来年一緒に行きたいってだけ、深い意味はない」


「あはは、冗談じゃんか。湊音焦りすぎー」


ほっぺをつんつんされる。


「本当に、焦るからそういうことを冗談でも言わないでくれよー」


告白は、まだ心の準備ができていない。

ヘタレな俺だから少し時間が欲しい。


二人で綺麗な海を眺め、オレンジ色に照らされた青春を過ごす。


「来年もこようね」


ずっと海を見ていた小雪と目が合う。


「ああ、来年な」


薬指を交える。


キラキラと夕日の色で輝いた小雪はとても神秘的で、天使のようだった。


こうして、小雪との思い出のページがまた1つ増えた。

来年もまた来れると良いな。

"作者からのお願いです"


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頑張ってるから、星みっつ

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