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これは、知っているのに知らない君と3年越しにまた恋をする涙の物語  作者: 雨夜かなめ
3章 一人の人生に二つの人生
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初めての景色

8月6日。


最近は入れ替わりが全く起こらなくなった。

俺のそばにはずっと小雪がいてくれた。


結局、もう一つのトリガーが何かはわからないが結果的には良い方向に向かっているということだ。

いつも通り過ごしていこうと思う。


そして今日は、前から約束していた海に行く日だ。


「海に行くぞー!」


「お、おうー?」


「湊音テンション上げてこー!」


「上げてこー?」


小雪が拳を上に掲げて気合を入れる。

俺も腕を無理やり引っ張っられ手を上に掲げる。


現在時刻は朝7時ちょうど。

今日の小雪は寝起きもよく、くっついてこなかったので朝の準備はすんなり終わった。

ちなみに、最近は毎朝のルーティーンかのように俺にくっついてきて、嬉しいが少し大変だ。

何より、今日の小雪はいつもよりテンションが高かった。


それもそのはず、小雪が海に行くのは人生で今日が初めてらしい。

俺たちの住んでいる山梨県は内陸で近くに海がない上に、河口湖周辺は山に囲まれていて海に行きにくかった。

父親が忙しかった小雪は海に行く機会がなかったみたいだ。

俺も海に行くのは久しぶりだから楽しみだ。


と言っても、朝っぱらからこのテンションにはついていけないのでなんとなくで小雪に合わせておく。


「江ノ島にしゅっぱーつ」


小雪がそう言って、鍵を閉め家を後にする。

外は仕組まれたかのようにも思えるほどの晴天だ。

そういえば、最近はずっと晴れていたな。

天気予報アプリは、予測不能という初めて見るアイコンで埋まっていたが、海に行く日に晴れていてすごく運が良い。


今日の目的地は江ノ島だ。

ここ河口湖から江ノ島までは、電車で3時間30分ほどかかるので過去に類を見ないほどの長旅になるだろう。

山梨から海に行くのは時間がかかると覚悟していたが、予定を決めた我ながら、なかなか馬鹿なことを計画したと思う。

まあ、どの海に行くにしても山梨から海のルートはどうせ3時間以上はかかるのでどこに行っても同じだ。


小雪は、動画サイトで江ノ島のブログ動画を見つけてずっと行きたがっていて、そんな江ノ島に一緒に行けるのだから3時間くらい我慢しようと思う。


「今日の服、似合ってる」


河口湖駅への道を歩いてる時にそう言う。

朝からずっと思っていたけど、恥ずかしくて中々いえなかったがやっといえた。

今日の小雪の服は、白っぽい花柄のシーアシャツに明るいグレーのスカートで、とても女の子を感じる服装ですごく好みだ。

家では見られない化粧もしていて、いつもと違う大人っぽい小雪に胸の高鳴りが抑えられない。


「でしょー、湊音が好きそうなお姉さん風の服を選んでみたんだ」


小雪は、くるりとその場を回って今日の服を自慢する。風邪でスカートがふわりと可憐に舞う。


「ああ、すごく可愛いよ」


「え...ありがと...」


俺の言葉に少し驚いた様子で、もじもじしながら小雪が恥ずかしそうにそう言う。


その様子を見て、つい本音が漏れてしまったことに俺も恥ずかしくて俯いてしまう。

それほどまでに今日の小雪は、とにかく可愛かった。


あと、某ネズミのランドの耳のカチューシャが似合いそうだなと思った。

この夏、某ランドも一緒に行きたいな。


小雪とやりたいこと、行きたいところが沢山ある。

時間はあるし、たくさんの思い出を小雪と作っていきたいと思う。


そしてそんな戯れの中、河口湖駅に到着してお供の駅弁を買い電車に乗り込む。

今では、駅弁の店員さんも俺のことが見えているみたいで普通に弁当を購入することができた。 

前まで散々無視されていたから急に誠実な接客をされると不思議な気分だ。

まあ、もういろんな人に無視されるのはごめんだけどな。


ちなみに、代金は小雪が払ってくれた。

小雪の家に暮らすことが決まって、自分の家に荷物を取りに行ったが何故か銀行のカードもお金も全て消えていた。

だから今は、小雪に養われないと生きていけないヒモ状態だ。

皿洗いや、小雪の世話でお返ししたいと思う。

もちろんお金が見つかったら還元していくつもりだ。

小雪は、何食わぬ顔で俺にお金を沢山渡してくるので、お金の面で甘えてしまうのは男としてよくない気がする。ダメ男になる前にこの問題はなんとかしなければ。


玄関の鍵も閉まっていたし、泥棒が入ってきた形跡もなかったから盗まれたわけではないと思うが、原因不明でとても不思議だ。

それにこの服も買った覚えがないが家にあったものだ。まあ、小雪がとても気に入っている様子なので良しとしよう。

今日の服は、俺の家にあった服の中から相性の良いものを小雪が決めてコーデしてくれたものだ。

服には詳しくないので、選んでくれるのはとても助かる。

小雪に釣り合うような男になりたいので、もっと自分磨きの勉強をしようと決意したのだった。


そんなこんなで家を出てから3時間くらい経っただろうか。今は江ノ島に向かうため、江ノ電の始発駅である藤沢駅に到着したところだ。


俺は3時間もぶっ通しで電車に乗って少し疲れていたが、小雪はキラキラした目で到着した緑色のレトロな雰囲気の江ノ電に乗り込んでいた。


「湊音、湊音、江ノ電からは綺麗な海が見られるんだって」


そう言って隣の座席に座って目を輝かせている小雪が、家でずっと見ていた動画サイトの江ノ島のブログ動画を開く。


「あ!でもやっぱり実際に見てからのお楽しみにしよ」


そう言って、小雪は再生ボタンを押す前にスマホの電源落とす。


「えー、なんだよ」


「ごめんごめん。でも、実際に見た方が絶対綺麗だよ!」


「まあそれもそうかもな。楽しみだな」


「うん。楽しみ!」


小雪は、本当にいつも以上に元気で笑顔いっぱいだった。

そんな小雪を見ていると、俺も子供の頃のような心で始まってもないこの旅を楽しく感じる。


そんなやりとりをしていると、江ノ電がついに出発するみたいだ。


ガタゴトと江ノ電に揺られる。

江ノ電は、普通の電車より歴史が長く揺れも少し大きいが、これもこの電車の良さであり江ノ電を実感して電車に詳しくない俺でもテンションが高くなる。


小雪はずっと窓に張り付いて、少しソワソワしながら外を眺めていた。

小雪に、もししっぽがあったら、ぶんぶんと横に振っているだろうな。


『次は、鎌倉高校前、鎌倉高校前』


電車に乗り込んで数分後、そんなアナウンスが聞こえてくる。


小雪が言っていた、綺麗な海が見れる場所というのはまだかなと思い窓を眺めていると、住宅街を抜けた電車の広げた窓からは今までのレトロな街並みの景色とは一変して、太陽に照らされ輝く海が目の前の窓一面に広がる。


「すごい綺麗」


「綺麗だ」


二人でそんな窓いっぱいに広がる海に見惚れてしまう。

いつもは、真逆の山という大自然に囲まれている俺たちは、海という別の種類の大自然に感動を覚える。

いつも近くで見えている富士山も、海の地平線の先に小さく見えている。

富士山と、綺麗な海を一緒に見れるこの景色は脳裏に焼きついて小雪の一生の思い出になると思い、初めての海がここでよかったと思う。


俺たちはそれから何も言わずに、電車に揺られどこまでも続いていそうな果てのない美しい海を眺める。


『次は七里ヶ浜、七里ヶ浜』


そんな景色を眺めていたら、あっという間に目的の七里ヶ浜駅に到着した。


「小雪、小雪さーん」


「は、ここは?」


「七里ヶ浜駅についたぞ」


電車のアナウンスすら聞こえないほど、景色に見惚れている小雪に声をかけて七里ヶ浜を降りて、七里ヶ浜海岸に向かう。


まだ、海についていないのに小雪はずっとウキウキという感じで足取りが軽いみたいだ。

七里ヶ浜海岸近くの、高校沿いを歩いて海に向かう。


この高校は、学校から海が見えるわけだから、毎日この海が見れるのはすごく羨ましい。

まあ、俺たちの高校からは富士山が見えるわけだからどちらも良い景色なのであまり贅沢は言えない。


そんな高校近くの道を歩いていくと、先ほどより近い距離で海が目の前に広がる。


「海だ、本物の海だ。いこ湊音」


「おう」


小雪に手を引かれ、階段を降りる。

砂浜のサクサクという感触を靴越しに感じる。

小雪は、その感触をとても不思議がって楽しんでいる。


「ねえ、湊音」


「ん?なんだ」


「私、ここに来れてよかった」


「少し早くないか、これからもっと楽しむんだろ」


「ふふ、そうだね」

「でも私、この景色を湊音と見れたたけですごく幸せ」

「本当に、連れてきてくれてありがとう」


「俺も幸せだ」

「こちらこそ一緒に来てくれてありがとうな」


手を繋ぎながら、地平線の向こうにどこまでも続く海を眺める。


「よし小雪。海、全力で楽しむぞー!」


「お、いいねー湊音。楽しもー!」


朝とは違うテンションで二人でえいえいおーという掛け声で海を全力で楽しむ合図をする。


「とりあえず着替えにいくか」


そう言って、海に入る準備をするためそれぞれの個室更衣室に向かう。

  

「湊音、覗かないでよ」


「覗きたいけど、ここにきて警察行きはごめんだ」


「もう、えっち」


そんないつも通りからかってくる小雪に、久しぶりに勝負してみるが、その勢いでとんでもないことを言ってしまった気がする。

小雪はあまり気にしていないどころかニコニコしていたのでよかったが、俺も海を前にしてだいぶ浮かれているみたいだ。

そんな冗談も交えて更衣室に入る。


そして、水着に着替え終わって更衣室を後にする。

小雪はまだいないので着替え中みたいだ。

男の俺は、ズボンを履くだけだからすぐ着替えが終わるが小雪は女の子なので色々と大変だろう。


そういえば小雪はどんな水着を着るんだろうか。


頭の中でいろんな小雪の水着姿の妄想が浮かぶ。

うん。どれも可愛いな。

あと、絶対えっちだ。


そんな妄想をしていると、小雪の入っていた更衣室のドアが開く。


"作者からのお願いです"


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面白くないけど最後まで読んだから、星ふたつ

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