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これは、知っているのに知らない君と3年越しにまた恋をする涙の物語  作者: 雨夜かなめ
3章 一人の人生に二つの人生
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二つの世界に二つの人生

8月2日。


目を開ける。

外は雨だが、窓からは陽光が差し込んでいた。

今日は天気雨というなんとも珍しい天気だ。  


そんな窓からの景色は昨日見たものと一緒だった。


「湊音、湊音が起きたよーーー」


鼻を啜りながら小雪が涙目で抱きついてくる。

その力は強い力だが、苦しくない程度の包まれるという感じだった。


奇跡が起きた。

こんなことが今まであっただろうか。

俺たち2人の、一緒にいたいという思いが入れ替わりの謎という鎖を断ち切ったのだ。


今回は睡眠と何か、その何かというトリガーを踏まないで済んだ。


小雪が俺の目の前にいるんだ。


「ああ、俺はここにいる」


「よかった、本当によかったよ...」


小雪は、頭を俺の背中にトントンと打ちつけてそう言う。


しばらくして抱きしめる力が、空気の抜けるように弱くなるのを感じる。

小雪は、安堵した顔ですぅすぅと寝息を立てて目を瞑った。


寝室の時計は、朝6時30分を指していた。

こんな朝早くに起きた俺にすぐ気がついたということは、小雪はおそらく寝ていないのだと思う。

多分、俺が消える恐怖と不安でずっと寝れなかったのだと思う。


「小雪だ。よかった、よかった」


小雪が寝たのを確認して、小声でそう呟く。


そんな俺も、小雪と同じ気持ちだった。

また会えなくなるかもしれないという恐怖、そして小雪をまた悲しませてしまう不安。

そんな複雑な気持ちが、頭の中で台風のようにぐるぐるとしていて、結局なかなか寝付けなくてこんな変な時間に起きてしまう始末だ。


でも、小雪は俺の目の前にいる。

その事実だけでそんな気持ちは安堵の気持ちで晴れ渡っていた。


そんな不安から解放されて、感情が昂ぶり涙がぽろぽろと寝具に落ちる。


不安でいっぱいだったのは、俺の方だった。


そしてそんな出来事があって、次に俺が目を覚ました時にはもう11時30分になっていた。


どうやら俺も安堵の気持ちでいつのまにか眠っていたらしい。


小雪は、寝不足だからかまだ可愛らしい寝息をたてて寝ている。

気持ちよさそうに寝ているところ申し訳ないが、時間も良いところだし、もうそろそろ起こさないといけない。


「小雪、もう昼だそろそろ起きないと」


小雪の肩を揺らしながらそう言う。


「ん〜、後ちょっとだけ、5分だけ」


「わかったよ、じゃあ後5分だけな」


眠そうな声で甘えてくる小雪が可愛くて、思わず口元がにやけてしまう。


そして5分後。


「小雪、5分たったよ。起きろ」


「後ちょっと、10分...」


「おい、どんどん時間を増やすなよ」

「起きないと布団の温もりに飲み込まれるぞ」


小雪の肩を大きく揺らしてこんどこそ起こす。


力が抜けているのか、頭を大きく揺らしているがお構いなしに肩を揺らし続ける。


「ん〜、湊音ー」


小雪がまた足を俺の体に絡めて抱きついてくる。


小雪は人とくっつくのが大好きで朝は弱くて特に意味もなくくっついてきた記憶がある。

この甘えモードになると、当分はコアラみたいに離れなくなるのが小雪だ。


学校の日にこのモードになると大変だが、今は夏休みで時間はいくらでもある。

いつもはよくからかってくる小雪がこうやって甘えてくるのは朝だけで新鮮なのでつい許してしまう。

こんな些細な出来事も小雪との思い出になる。

こんな日常もいいな、そう思った。


とは言うものの、俺も男なので可愛い女の子に密着されるのは普通に恥ずかしい。


「わかった、わかったから一旦離れてくれ」


それにさっきから、細くて華奢な身体に対して主張の激しい柔らかい胸が当たっている。


「だって、湊音とくっつくと幸せで溢れる感じがして好きなの」


「わかったよ。本当に後少しだけだぞ...」


そう言って、力を抜いて小雪に身を委ねて俺の体を自由にさせる。

そんなことを言われたら嬉しくて、ついつい許してしまう自分がいる。


先ほどの変な天気も、今では雨も止んで晴れ渡りいい天気だ。


結局、小雪はあれから20分ほど俺に抱きついたままだった。

これが毎朝続くとなると、いつ理性が爆発するかは火をみるより明らかだ。


そんな小雪を、無理やり剥がして今はテレビを見ながらソファーに並んでいつもの日常を過ごしている。


「今回は消えなかったけどさ、俺が消える時ってどんな感じなんだ?」


ふと気になり、小雪に垂れてもらった紅茶を飲みながらそう質問する。


俺は小雪と望月さんが入れ替わるように感じるが、2人目線だと俺はどのようになっているのか知らなかった。


今は幸せに浸って、謎についてはもうどうでも良いという感じだが、これからも2人が入れ替わる可能性は無いとは言い切れないのは確かだった。


今回入れ替わらなかったのは、睡眠以外のもう一つの何かのトリガーを踏まなかったおかげだ。

情報はたくさん知っておきたい。


「私もあまりわからないの」

「湊音は、いつも突然この世から消えるみたいに次の日にはいなくなっていた」

「だから今日はずっとそばにいようって思ったの。ずっと一緒なら、もし消えても消える原因が掴めるかもって」

「でも今回は、ずっと湊音のことを見張っていたけど消えなかった」

「消えなくて本当によかった」


要するに、2人が入れ替わるのと同じ感覚ということか。

小雪も、よくわからないが次の日には俺が消えている。

俺の場合も、よくわからないが次の日には2人が入れ替わっている。


今まで俺が消える時に小雪と一緒にいたわけでは無いからどのように俺が消えるかは不明だ。


小雪目線だと俺が消えているように感じると言う訳だから、2人が入れ替わっているという考えも今ではなんだか違う気がしてきた。

仕方のないことだが、どうしても自分の視点で考えが収束してしまう。


こう聞くと、小雪と望月さんはまるで別々の世界に暮らしているみたいだ。

俺目線で2人が入れ替わる時には、俺と会っていない方の望月小雪は俺が消えているように感じる。


それはまるで、2人が入れ替わっているのではなくて俺がそんな2人の世界を行き来しているようだった。


そんなありそうでありえない事を考えつつ、紅茶とお手製のクッキーを食べて、イギリスのような優雅な朝を過ごした。

"作者からのお願いです"


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