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これは、知っているのに知らない君と3年越しにまた恋をする涙の物語  作者: 雨夜かなめ
2章 3年ぶりの再会と多くの謎
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見覚えのある景色だったような...

「おそらくなんらかの形で脳に負担がかかり、一時的な失神のような症状だと思います」


医者はそう言った。


望月さんが倒れた後、救急車が来て、今は病室のベットで寝ているが意識はまだ戻っていない。


今俺は、望月代理で先生から今回の病状について説明を受けているところだ。


望月さんのお父さんは、仕事の関係で遠出していて到着には時間がかかるみたいだ。


「失神は、数分で目が覚めると聞いたことがあるのですが、望月さんは本当に大丈夫なのですか?」


「脳へのダメージが一般的な失神よりも少し大きく、一時的に脳の機能が衰えている状態ですね」

「命に別状はないので安心してください」


「脳、ですか...」


「とりあえず、望月さんが目覚めてから詳しい検査をして様子を見ましょう」


「わかりました」

「ありがとうございます」


「お大事にどうぞ」


そうして、病室を後にする。

少なくとも、今俺にできることは望月さんのそばにいる事だけだ。


望月さんがいる、病室のドアを開ける。

ベッドの隣に、椅子をおいて目覚めない望月さんを見守る。


さっきまで晴れていた天気は、今では曇天になって空には富士山の姿が見えないくらいに雲がかかっていた。


ただただ時間だけがすぎていく。


俺も、気持ちの整理がついていない。

望月さんが突然倒れた驚きと困惑。

そして、公園が壊されていく悲しみと、何もできない非力さへの絶望。


そんな感情が、俺の中でぐるぐると渦巻いていた。


昨日の出来事も、現実じゃない何かだったのだろうか。

あれは絶対に夢ではない確証はある。

夢にしては、感覚がはっきりしているし、鮮明に覚えている。


でも、俺たちの公園は、3年前から時間が止まったかのように変わっていないどころか、時代の流れを止めることはできず、俺たちの手の中にはもうなかった。


昨日の楽しかったことも、全部現実じゃない...?


俺の心は、望月さんが倒れ、公園が変化してと悲惨なこと続きで、そんなことを考えるくらいに悲観的になっていた。

俺の過去を否定するように、何もかも壊れてしまった気分だった。


『はぁー』


思わずため息が漏れる。

その後は何も考えず、『ザー』という雨音だけを聞いて意味もなく時間を過ごす。


やはり、時間は際限なく進んでいく。

現実はこんなものだ。

時間が止まるなんて都合の良い話はなかったのだ。

時間は、大切なものを奪っていく...


「うぅぅ...」


そんな時、望月さんが声を上げる。


「望月さん!?」


「こ...こは?」


「大丈夫か、望月さん!?」


「あれ、私...」

「確か、公園について、ラベンダー畑を歩いて、えっと...それから...」


「公園で急に倒れたんだよ」

「意識が戻って本当に良かった」


「倒れた?」

「うぅぅ...」


望月さんは、目を覚ますなり頭を痛たそうに抱える。

確か、医者が脳にダメージを負ったと言っていたはずだ。


「頭が痛むのか?」

「そうだ、なにか冷やすもの...」


頭が痛い時は、冷やすと良いとよく聞く。

辺りを物色して、冷たいものを探す。


「ありがとう湊音くん」

「もう大丈夫」


「とりあえず、これ飲んで」


そう言って、水の入ったペットボトルを渡す。


「ちょっと、起き上がれないから飲ませて欲しいな」


意識の戻ったばかりの望月さんは、意識がはっきりしていないのか少しふわふわとしていた。


寝ている望月さんの口にペットボトルの先を当てるようにして、水を飲ませる。


「ふふ、ありがとう湊音くん」


望月さんは、こういつも通り振る舞っているが、本人も何が起こっているか分からず混乱していると思う。


とりあえず、いまは話を聞く前に望月さんのことを最優先にするべきだ。


「体調はもう大丈夫なのか?」


「うん。少しぼーっとするけど大丈夫」


「頭は、もう痛くないか?」


「私は大丈夫だよ」

「心配性すぎるよ、湊音くん」


「心配に決まってるだろ。突然倒れたのだから」

「本当に良かった」


「ずっと近くにいてくれたんでしょ?ありがとう」


そんな慈愛の顔でこちらを見つめてくる望月さんを見て、心は少しホッとしたような気持ちになった。


大切な人が元気で目の前にいる。

それだけで、今は十分だった。


俺は一度病室を後にして、望月さんが目覚めたという旨を看護師さんに伝えにいく。


病室に戻ると、ベッドの背もたれにもたれ掛かる形で望月さんは、身体を起こしていた。


「身体、少しよくなったか?」


「うん」

「身体もさっきよりは軽いし、頭ももう痛くないよ」


「そうか。良かった」


意識を取り戻して、数十分だったからかだいぶ意識が戻ってきたようだ。


「それで、公園での出来事はどこまで覚えてる?」


体調も安定してきたところで、本題を切り出す。


「えっと、あんまり覚えてないんだけど...」


「大丈夫。覚えていることだけでいいんだ」


「ラベンダー畑のことはよく覚えてるかな」

「それ以降は、ごめんなさい。わかんないかも」


「意識が戻ったばかりなんだ、仕方がないよ」

「広場のことは覚えているか?」


「広場?」


「いや、なんでもない」


広場での出来事は何も覚えていない様子だった。


望月さんは、倒れる前に俺に対して口ずさむように『湊音』と言った。

湊音と呼ぶのは、俺の記憶の限り小雪と叶翔だけだ。


それに、涙を流しながら『私たちの公園』とも言った。

私たちとは、望月さんと誰を指すのだろうか。


もし『私たち』が指す相手が、俺だとしよう。

そうすると、この2つの発言から、俺のことを下の名前で呼ぶほど親しい人で、工事中の公園を見て涙を流せほど八木崎公園に思入れのある人だと予想できる。


俺の知る限り、そんな相手は小雪しかいなかった。


小雪と望月さんは何かしらの関係があると考えていたが、それはもう確証に変わた。


少なくとも、全くの他人というわけではなさそうだ。


「望月さんは、公園について何か感じた?」


「え、何か?」


「なんか綺麗だなーとか、なんでも良い」


今はとにかく情報が必要だ。

今までで一番、望月さんが小雪と関係している出来事が起きた。

今のうちにできる限り情報を集めたい。


「えっと、ラベンダーがすごく良い香りでした。次から柔軟剤はラベンダーにしてみようかなと思いました」

「こ、こんな感じでも大丈夫...ですか?」


「うん。大丈夫」

「あとは、何か感じたか?」


「後は...、そうだ」

「なんだか、懐かしいような来たことあるような感覚でした」

「名前すら知らない公園だったんだけどな...」


そう不思議そうに、望月さんは話していた。


「懐かしいってなんで?きたことなかったよな」


「私にもわからないです」

「なぜか、そんな感じがして...」


懐かしいなんて感情は、一度来た人の言う感想だ。

望月さんは、公園に来たことはないはずだ。

俺が公園の名前を出した時、全く知らないような反応だったはず。

なんらかの形で、一度公園に来たことがあるのか?


『コンコンコン』


そんなことを考えていると、ドアがノックされる。


「望月さん、検査の時間です」


看護師さんが病室に入ってきて、望月さんを呼ぶ。


「わかりました」


そう言って望月さんは、ベッドから身を下ろす。


「じゃあ、行ってきますね」


「うん、行ってらっしゃい。頑張って」


病室には、俺だけが取り残された。


とりあえず、望月さんが元気そうで良かった。

安堵で無意識に、胸を撫で下ろす。


望月さんが検査に行ってから、数分後ドアが開く。


もう検査が終わったのか?

早いな。


「あれ?望月さんもう終わったの?」


そう言って、ドアの方に振り返る。


「すまない。遅くなった」

「小雪は大丈夫か?」


「マ、マスター!?」


ドアを開けて病室に入ってきたのは、なんと小雪と喧嘩した時にお世話になったカフェのマスターだった。

"作者からのお願いです"


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面白くないけど最後まで読んだから、星ふたつ

頑張ってるから、星みっつ

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