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これは、知っているのに知らない君と3年越しにまた恋をする涙の物語  作者: 雨夜かなめ
2章 3年ぶりの再会と多くの謎
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無慈悲に崩される思い

俺たちは家を出て、昨日と同様に河口湖駅からバスに乗り込む。


そして、1時間くらいバスに揺られて、八木崎公園に到着した。

運賃を払って、バスを後にする。


俺たちは、思い出の広場に向かうためにラベンダー畑を歩く。


辺り一面に広がるラベンダーは昔と変わらず、富士山も相まって美しかった。

俺たちの公園は、やっぱり3年前から時が止まるように変わっていなかった。


望月さんは、ラベンダー畑に見惚れているのか、やけにぼーっとして辺りをしきりにきょろきょろしている。

何を考えているのか掴みにくい、喜悦と困惑が混ざったような、なんとも言えない表情をしていた。


そんな中、望月さんが突然立ち止まる。


「どうしたの?望月さん」


途中まで気づかず歩いていたので、後ろを振り返る形で望月さんにそう問いかける。


「い、いえ。なんでもない…です」


望月さんは、困惑していた。

なんでこの行動をとったのか自分でもわからないと言う。

身体が勝手に歩みを止めた、そんな反応だった。


「大丈夫か?」


「はい」


そう言って、俺の隣に望月さんが駆け寄ってきて並んでまた歩き出す。


しばらく歩いて、思い出の広場の前に到着した…

しかし、目の前には目を疑うような光景が広がっていた。


俺は今、目の前に起こっていることが理解できずに、尻もちをつくように倒れる。


どういうことだ…

なんで、なんで昨日と違うんだ。


広場への入り口は封鎖されていて、立ち入り禁止の標識が貼られていた。


その横には現実を叩きつけるように、工事中の看板がたくさん置かれていた。

その看板には、『公園整備を新しく整備しています。』と強調されて書かれていた。


柵の向こう側を見ると、ヘルメットを被った工事の作業員がショベルカーに乗って作業をしていた。


現実を受け止められず、視界がぐるぐるするように脳が混乱する。


俺は、昨日と違うということよりも、小雪との思い出の詰まった公園が壊されていくことが耐えられなかった。


俺の足は、自然と柵を乗り越えるように動いていた。


「やめて、やめてくれ!」


柵の中にいる作業員の肩を掴み、大声で呼びかける。


困惑した作業員を転々として、全員に抗議するように『やめてくれ』と同じ言葉を何度も繰り返す。


「なあ、なんでこんなことするんだよ」

「やめてくれよ、お願いだから」

「なんでもするから…」


指示をして工事を仕切っている人に泣きつくように崩れ落ちながら、そう言い続ける。


「な、なんだよこいつ」

「仕事なんだから仕方ねーだろ?」

「悪いが作業の邪魔だから退いてくれ」


その従業員は、俺のことを冷たくあしらいながら振り解くように引っ張る。


「本当になんでもするから…」

「俺たちの思い出を壊さないでくれよ…」


「ちっ、しつけーな」

「おい、こいつをどかせ」


その指示を聞き、周りから従業員の男たちが集まってきて、俺を引き剝がすように引っ張る。


「ふざけんな」


怒りが溢れ出し、小さな声でそう言う。


「あ?」


「ふざけんなよ」

「お前らにとったら、ただの公園に見えるかもしれない。この広場も、ただの芝生に見えるかもしれない」

「でもな、この公園に思い出がたくさんあって、大切な場所だって人もたくさんいるんだよ!」

「楽しい思い出、悲しい思い出だっていろんな人の感情が詰まってる」

「人の思いもなにも知らないくせに」

「命令されたら、なんだってするのかよ」

「仕事だからって、お前らにこの公園をとやかくする権利はねえーんだよ!」


従業員に引っ張られるのにあらがいながら、怒りを吐きつける。


「ちっ」

「早くそいつを外に連れていけ」


俺に散々言われたのにも関わらず仕切りをする従業員の男は、舌打ちをして俺に背中を向けて下を向きながらそう命令する。


俺は引っ張られながら、放り出すように柵の外に追い出される。


「なんで、なんでだよ…」


床に八つ当たりをするように拳を振るう。

手には、だんだん血が滲んでくる。


なんで世の中は、こんなにも理不尽なんだ。

思い出なんて、権力者の気分で簡単に壊される。


怒りをぶつけ思い出の公園の外に追い出された俺には、ただ眺めることしかできないどうしようもない現実と、何もできない自分の非力さに絶望感だけが押し寄せてくる。


「ごめんな少年」

「ボスも、おんなじ気持ちだと思うんだ」

「許されなくてもいい。それだけ伝えたかった」


そう言って、俺のことを追い出した従業員の一人が、俺の血が滲んだ手に優しくハンカチを巻いてくれる。


顔を上げると、すごく複雑な顔でその男は俺を見ていた。


「俺も、作業の邪魔をしてしまってごめんなさい…」


「いいんだ。少年は悪くない」


そう言って、従業員は俺を背に柵の中に戻っていく。


『はぁー』


大きなため息をついて立ち上がる。


もうここにはいられない。

思い出が目の前で壊されていくのは、辛くて、辛くて見ていられない。


この事実を受け入れるのはいつまでもたっても無理だろう。

そんな今、俺は現実から背を向けることしかできない。


「望月さん、ごめん。帰ろう」


そう言って、望月さんの手を引っ張り公園を後にしようとする。

でも、望月さんはその場にずっと立ち尽くしていた。

呼びかけても反応がない。


何かおかしいと思い、望月さんの様子を窺うように戻る。


そんな望月さんは、なぜか涙を流していた。

ひたすら柵の向こうの広場を眺めて、その場から動かなかった。


「どうした…?」

「大丈夫か?望月さん」


「私…たちのこうえん?」

「みな…と?」


『バタン』


望月さんは最後にそう言い残し、目の前の俺にもたれかかるように突然意識を失った。


「望月さん?おい、望月さん!」

「救急車、誰か救急車を」


大声で助けを求める。


その声を聞きつけたのか、さっきの従業員の男が走って駆け寄ってきた。


「少年、どうしたんだ?」


「救急車を、救急車を呼んでください」


「え?」


「早く!」

「望月さんが急に倒れたんだ」


「わ、わかった」


「望月さん!望月さん!」


口に、手をかざす。

とりあえず、息はしているみたいだ。よかった。


必死に呼びかけても、肩を揺らしても反応はない。

今は、公園がどうとか言っている場合じゃない。


望月さんは、意味深なことを言い残しなんの前触れもなく倒れ、完全に意識を失っていた。


"作者からのお願いです"


おもしろかった、続きが読みたいと思われた方はブックマーク、評価をお願いします。


面白くないと思われた方も面倒でしょうが評価での意思表示をお願いします。

面白くないけど最後まで読んだから、星ふたつ

頑張ってるから、星みっつ

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