懐かしい暖かさ
4月25日。
俺は、自分の部屋で起床した。
昨日は、確かに望月さんの部屋で寝た。
あれほど印象深い出来事を忘れるわけない。
もちろん、ドキドキしてしばらく寝られなかったわけだが、望月さんはずっと俺の腕にしがみついたまま寝ていた。
なので、寝ぼけてうちに帰ってきて、このベッドで寝た可能性は無くなった。
となると、また不可思議な現象が起きたわけだ。
一旦落ち着こう。
2日続きに不可思議な事が起きて、この手の謎にはなれてきた。
とりあえず、現状確認のために望月さんの家に行こう。
幸い今日は、土曜日なので学校は休みだ。
望月さんも、自宅にいると思う。
そうと決めて、足早にベッドから出る。
時間は有限だ。
身だしなみを整えて外に出る。
『ガチャン』
ドアがしっかり閉まっているか確認して、家を後にする。
外に出ると、今日も昨日に続き雨だ。
傘をさして駅に向かう。
富士山駅から電車に乗り込み、望月さん宅の最寄駅、河口湖駅に到着した。
望月さんの家は、河口湖駅から歩いて数分と、学校も近くて、駅も近いというかなり立地の良い場所だ。
そんなこんなで、望月さんの家の前に到着した。
玄関のインターホンを押す。
「はーい」
玄関越しに、望月さんらしき声が聞こえる。
『ガチャン』
玄関が開く。
「おはよう。望月さん」
今日のことについて話をする前に、とりあえず挨拶をする。
「今更何しにきたのよ…」
挨拶をするなり、嫌そうな顔でそう言ってくる。
「それになんなの、喧嘩したからって他人みたいな呼び方までして」
喧嘩って…
「小雪なのか?」
「小雪って、私はこの世に一人しかいないのだから当たり前でしょ」
今回は、望月さんではなくて小雪だ。
だったら、なんで小雪が望月さんの家にいるんだ…
「何よ…用がないなら帰ってよ」
俺は、望月さんの家に小雪がいることの驚きで立ち尽くしてしまっていた。
何やってんだ。
小雪が目の前に現れたのだ。
とりあえず今することは、謝ることだ。
「小雪!」
玄関を閉めようとする、小雪を呼び止める。
「昨日は、その、悪かった」
「あの時は俺が完全に悪かった。本当にごめん」
あの時は、一方的に怒りをぶつけた俺が完全に悪い。
今は、とにかく謝ることしかできなかった。
「とりあえず、入って」
小雪の跡を追う形で、小雪の家?に入る。
「そこ座っていて」
そう言って、指をさされたソファーに座る。
小雪は、台所で紅茶を垂れている。
周りを見渡すと、昨日泊まった望月さんの家とは、全く違うものだった。
壁には、俺の知らない絵が飾られていたり、ソファーの形も望月さんの家とは違っていた。
場所は同じだが、内装は全くの別物だった。
なんとなく、この謎について少しわかってきた気がする。
あとで、確認したい事がある。
帰りに駅弁でも買いに行くことにしよう。
そんなことを考えていると、小雪が俺の隣に腰かけて机に紅茶を二つおく。
雨のしとしとという音と、時計の音が部屋に響きわたる。
「小雪、昨日は悪かった」
小雪は、俺の方を静かに見ている。
「昔の約束、それに小雪を否定するようなことを言ってごめん」
「俺が馬鹿だった…」
こんな事では、許されないのはわかっている。
それほどまでに、俺は小雪を傷つけた。
だから、今はとにかく謝ることしかできなかった。
「本当だよ。もういきなりキレられて困っちゃうよね」
「いきなり姿を見せたと思ったら、他人みたいに接してくるし、すぐキレるし、本当になんなのって感じだよー」
小雪が笑顔で、俺の背中をバシバシと叩かれながら言う。
いたいいたい。
「私もごめんね。急に怒っちゃって」
「でも」と最初につけたして小雪が笑顔で言う。
なんでそんな簡単に受け入れられるんだ。
3年ぶりに再開して、理不尽に自分を否定されて。
なんで、なんで…
「ちょいちょい、なんで泣いてるのよ」
これほどまでに傷つけたのにまだ俺と一緒にいてくれるという、小雪の優しさに自然と涙が溢れる。
それと、3年ぶりに昔のように話せて嬉しかったのだと思う。
「本当に、許してくれるのか」
「俺は、取り返しのつかないことをしたのに…」
「本当にもう良いってばー」
「ほら、仲直りのハグ」
そう言って、小雪が昔のように抱きついてくる。
昔の、すぐくっつく癖も変わってない。
小雪は昔のままだった。
その優しさも、昔と変わらない懐かしい暖かさだった。
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