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これは、知っているのに知らない君と3年越しにまた恋をする涙の物語  作者: 雨夜かなめ
2章 3年ぶりの再会と多くの謎
29/54

4月24日、13:30。

スマホの画面にはそう表示されている。


今俺は、富士山駅から電車に乗り込み、学校の最寄りの河口湖駅に向かっている。


しかし、電車の走行音は愚か、雨音すら聞こえなかった。

それほどに頭は混乱している。


今朝、また一つ謎が増えた。


24日がもう一度始まったのだ。

ちなみに、俺の頭は正常だ。


昨日、24日は波乱の一日だった事を、脳は鮮明に記憶している。


そして睡眠をとり、確かに24日は終わりを迎えたはずだった。


しかし、今日の朝起きると、なぜか24日だった。

さらに、昨日書いた日記はまっさらに消えていた。


これで何個目の謎かわからないほど考えることが多い。

頭の中は、洗濯機みたいに、謎と謎がぐちゃぐちゃと混ざり合っていた。


しかし、今回ばかりはどうしようもない。


原因を探すことも、なぜ起こったかを考えることすら馬鹿らしいほど、ありえない現象が目の前に起きていた。


もう考えてもわからないことはしょうがない。


24日は、確かにもう一度始まっている。

確定したことは、どうやっても覆しようがないのだ。


とりあえず、今はすぐに解決できることに集中しよう。

今は、小雪と会うのが最優先だ。


1つずつ謎を解明していくのが現実的だ。


もう、ほんとに嫌になる。

解決しないままどんどん謎が増えていく。


「ブチ」


でも、逃げだしたい気持ちは山々だがやるしかないのだ。


河口湖駅に到着した俺は、学校までの道のりを歩き出す。


学校に着いたのは14:00くらいだった。


下駄箱で靴を履き替え、廊下を歩いき教室のドアの前に立つ。


「ガラガラ」


どうせ俺の姿は、見えない。

そう思い何の抵抗もなくドアを開ける。


「小雪、いるか?」


教室のドア付近から、小雪を呼ぶ。


「おい、矢野遅刻だぞ」


先生が、話しかけてきた…

見えないはずの俺に。


「え...」


唖然として、棒立ちになる。


「突っ立ってないで、早く座れ」


担任の先生が、俺に言う。

クラスメイトは、全員こっちに注目している。


昨日は、全員俺のことが見えていなかったよな…


見えたり見えなかったり。

1つ、2つ、3つと、どんどん謎が押し寄せてくる。


もう、何なんだよ…


その時、ほつれながらも細く繋がっていた糸が、『ブチン』と俺の中で切れる音がした。


「もう、訳わかんねーよ!」


そう叫んで、バックを置きっぱなしにして教室を飛び出す。


「おい矢野!」


教室からは、先生の呼び止める声が聞こえる。


そんな声も無視して廊下を走る。


そのまま何も考えず学校を飛び出す。

傘も刺さずに、雨の中一心不乱に走る。


何で見えているんだよ。

昨日までは見えてなかっただろ。


また謎が1つ増える。

でも、もうそんなのどうでもいいよ。


見えることは嬉しいはずなのに、今は全然嬉しくなかった。


予想外の再会、そして最低な自分、環境の変化、信頼していた人の失踪、訳のわからない現象。


そんなたくさんの謎に、心は疲弊しきっていた。

絶望と疲れで、俺はもうボロボロだ。


やるしかないのは重々理解している。


でも、脳ではそうわかっているが、心はそんなに簡単なものではない。


何もかもに絶望した俺は、何もない道の真ん中に立ち尽くす。


雨はそんな俺のことなど気にせず、理不尽にぶつかってくる。


この目の水が涙なのか、雨なのかわからない。


「湊音くん、湊音くん!」


そんな中、俺の名前を呼ぶ声が聞こえて振り返る。

小雪が傘も刺さずにこちらに向かって走ってくる。


俺はそんな小雪のことを無視して、頭を向き直して歩き続ける。


後ろから、「ぴちゃぴちゃ」と地面を強く蹴る音が聞こえる。


音が近くなって腕を掴まれる。


そんなことも無視して、目的もなく歩き続ける。


「ねえ、湊音くんってば。待ってどうしたの」


呼び止められて手を強く引っ張られる。


「もう、俺にかまわないでくれ…」


消えそうな声でそう言いながら、掴まれた手を振り解くように振る。


「辛かったよね湊音くん」


次の瞬間、雨で冷たかった背中が体温であたたかくなるのを感じた。


後ろから優しく抱きしめらる。

思わず歩みを止める。


「今日の湊音くん、私と初めて2人で話した時と同じ顔してた」

「酷く悲しい顔」


望月さんだ…


「私は、湊音くんに何があったのかわからない」

「でも、何か辛いことがあったんだよね」


抱きしめる力が強くなるのを感じる。


「辛かったよね」

「もう、休んでいいんだよ」


そんな優しい言葉、今の俺には不相応だ…


「俺は、何も頑張っていない」

「何もできてない。何も解決できてない」

「結局俺は、最初からわからないと思い込んで、考えることを放棄していただけじゃないか」

「責任を、起こった謎に押し付けていただけだ」

「逃げる道を必死に探していただけだ」


雨の音と、俺の大きな声が道路に響き渡る。


「そんなことないよ」

「逃げてもいいんだよ」


「逃げてきた結果が、このざまだ」

「どんどん謎が積み重なって、もうわけがわからない…」

「何も解決できてないのは、全部自分自身のせいだ…」


そうだ。

俺は、解決するふりをして逃げていただけじゃないか。


俺が、全部悪いんだ…


「湊音くんは、頑張ったよ」


そう言いながら、望月さんは、俺を胸で優しく抱くように抱きしめる。

俺は、されるがまま望月さんの胸に頭を預ける。


望月さんの胸からは心臓の音が聞こえる。


「よしよし。本当にがんばりました」


抱きしめられながら、頭を優しく撫でられる。


その言葉を聞いた瞬間、今までの心の傷が洗い流されて救われた気がした。

望月さんは、これまでの俺を優しく包み込むように認めてくれた。


「頑張った」それは、今一番言われたかった言葉だった。


そうだ。

俺は、誰かに頑張っているって認めて欲しかったんだ。

この、辛さをわかって欲しかった。


「一人で辛かったよね」

「今は私が、ずっとそばにいるから」

「甘えていいんだよ」


誰にも助けを求めることができない。

そんな状況で、ずっと一人で戦ってきた。


1人は怖かった…


「ずっと1人で怖かったよ…」


泣きながら情けない声を出して、望月さんを強く抱きしめ返す。


「頑張った。本当にがんばったよ」


望月さんは、それ以外何も言わなかった。

初めて会った時のように、背中をやさしくさすられる。


ボロボロの心が、望月さんの優しさで包み込まれるように治っていく。


雨の中、誰もいない道で2人抱きしめ合う。


「今日は、お家帰ろっか」


雨で冷たいはずなのに、俺の心はとても温かくなっていく気がした。


"作者からのお願いです"


おもしろかった、続きが読みたいと思われた方はブックマーク、評価をお願いします。


面白くないと思われた方も面倒でしょうが評価での意思表示をお願いします。

面白くないけど最後まで読んだから、星ふたつ

頑張ってるから、星みっつ

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