透明人間
考えをまとめて店を後にしたはいいものの、この後のことを何も考えていない。
小雪に謝りたいが、出て行ってから行方知らずだ。
そうだ。
とりあえず、消えた望月さんを探そう。
そうすれば、突然小雪が現れたことも何かわかるかもしれない。
もし、望月さんが見つからなくとも、詩乃や叶翔も学校に来ているはずだ。
みんなで望月さんを探した方が良いし、2人は望月さんの居場所について何か知っているかもしれない。
善は急げだ。
俺は、まず学校に向かうことにした。
喫茶店から、5分ほど歩いて河口湖駅に着いた。
駅の電子時計は、13時30分を指していた。
「ぐぅ」
俺のお腹が突然鳴る。
そういえば、お昼を食べていなかった。
お腹も空いたし、この前少ししか食べられなかった駅弁、甲州名物豚味噌焼き弁当を買おう。
「すみません。この、甲州名物豚味噌焼き弁当を1つください」
ショーケース越しの店員さんに、注文する。
しかし、特に反応がない。
聞こえていないのだろうか?
「あの。すみません」
大きい声で注文してみるが、やはり反応はない。
何なんだ?
仕方がないので、駅弁は諦めることにした。
「すみません、この弁当を1つ」
帰ろうと思っていたところ、すれ違いざまに来た別の人が、店員さんに話しかける。
「シュウマイ弁当が1つですね。少々お待ちください」
店員さんが、笑顔で接客をしている。
俺の注文は無視なのに…
俺は、気づかないうちに河口湖駅で出禁を食らうほどのことを、やっていたのかもしれない。
過去の河口湖駅での行動を振り返る。
特に何もしていないよな。
なんで無視されたのだろう…
まあいいか。
俺は「ぐぅぐぅ」となるお腹をさすりながら、河口湖駅を後にする。
そして、15分ほど歩いて学校に到着。
喫茶店から30分ほど経って、やっと望月さん捜索作戦の開始だ。
とりあえず、一番居る可能性の高い場所に行こう。
まずは、自分の教室を探すのが安定だろう。
今は、時間的に授業中なので、教室を探せば望月さんが居る可能性が高い。
望月さんの席に、小雪が座っていたのは謎だが、探すだけ探してみよう。
昇降口を抜け、学校の廊下を歩く。
また、途中登校だから教室では注目を集めるだろう。
1日に2回、地味に嫌なイベントが起こるなんて、今日はなかなかに最悪な日だ。
とはいうものの、ついさっきもやったことだ。
なんの抵抗もなく、ドアを開けて教室の中に入る。
やはり、クラスメイトは授業に集中しているのか、俺には目もくれない様子だ。
今は、生物の授業中みたいだ。
先生が、黒板に難しい記号をたくさん書いている。
あれ?生物の先生にあんな人いたか?
見覚えのない先生だった。
でも、俺は、授業は適当に流しているから、先生の顔などいちいち覚えていない。
俺が知らないだけだろう。
とりあえず、一度席に座って授業を受けながら探すことにしよう。
そんなことを考えて、いつもの席に向かう。
「あれ?」
いつも座っている席には、なぜか別の生徒が座っていた。
確かに俺の席はここのはず…
新幹線の席を間違えるのはわかるが、学校の席を間違えるなんてことあるのだろうか。
「あの、ここ俺の席なんですけど…」
そう聞いてみたが、特に反応はない。
駅での出来事といい、今日はやたらと無視される。
さっきの騒がしい駅とは違って、教室は静かで聞こえていないなんてことはないはず…
生徒は、俺のことなど気にせず黒板をノートに写す。
「おーい」
少し腹が立ったのでイタズラしてやろう。
俺は、黒板が見えないように、生徒の前に立ちはだかる。
しかし、その生徒は俺のことなど気にせず板書を続ける。
え?
なんでノートを書き続けられるんだ?
俺が立っているから黒板は見えていないはずだ。
俺の腹を見る形で板書を続けていた。
ふと生徒のノートを覗く。
そのノートを見て、違和感を覚える。
ノートに書かれていた内容は、黒板の内容としっかり同じものだった。
俺が黒板を見えないようにしているのにも関わらずだ。
その生徒は、そう、まるで俺が《《透明人間》》になったかのように、見えていないような様子だった。
どうなっているんだ。
『ブチ』
"作者からのお願いです"
おもしろかった、続きが読みたいと思われた方はブックマーク、評価をお願いします。
面白くないと思われた方も面倒でしょうが評価での意思表示をお願いします。
面白くないけど最後まで読んだから、星ふたつ
頑張ってるから、星みっつ
こんな感じで大丈夫です。
どんな形でも評価をくださるとうれしいです。




