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これは、知っているのに知らない君と3年越しにまた恋をする涙の物語  作者: 雨夜かなめ
1章 僕の知らないキミ
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俺と小雪の話

「プルル、プルル」


辻本先輩に電話をかける。


「どうした1年?」


「どうしたじゃないですよ」

「俺たちの帰りのバスは??」


わざとではと疑ってしまうほど抜けているところがある。


「あ...悪い」


「帰りのバスは考えていなかった…と」


「本当にすまない。後日交通費は払う」


これ以上文句を言ってもしょうがない。

今度、責任は取ってもらうとしよう。


「わかりました。失礼します」


スマホの赤いボタンを押して電話を切る。


「やっぱり、バス取れてないみたい」


「あ、そうなのですか…」

「ど、どうしましょう」


望月さんは、遠出に慣れていないから不安な顔をしている。

ここは、男の俺がなんとかしなければ。

か弱い女の子の望月さんを、エスコートしなければ。


「バスが無いのはもう仕方がないから、電車で帰るしかないな」


スマホの電車アプリを開いて、帰り道を調べる。

まずい、スマホの充電がなくなりそうだ。


帰り道の電車を調べて暗記する。

スマホは途中で使えなくなるだろう。


「ここから、2時間くらいみたい」


「終電は大丈夫そうですか?」


現在時刻は20:30。


「終電は全然大丈夫」


会社員の帰宅ラッシュも時間的に巻き込まれないと思うから、安心して良さそうだ。

あんな所に望月さんを入れることはできないからな。


「とりあえず、早く電車に乗ろうか」


なるべく早く帰るに越したことはない。


「はい…」


すごく不安そうだ。


手を繋いで望月さんの心を落ち着ける。

それに、はぐれたら大変だ。


少し顔が明るくなった。

よかった。


改札を通ってホームで電車を待つ。


10分もしないうちに、大月駅行きの電車が来た。

この時間帯に大月方面に行く人は少ないのか、電車にはまったく人がいなかった。


子鹿のように、か弱い女の子の手を握りながら、2人で電車に揺られる。


夜の都会というまったく知らない環境。

それに、予定が狂いなにもわからない状況。


望月さんは、女の子だし本当に怖いと思う。

何か心を落ち着ける話ができたらいいが、俺にそんなコミュ力は無い。


とっておきな話題、何かないか?

頭をパソコンのファンのようにフル回転させる。


そうだ。

俺は、向かいのドアから景色を見ながら口を開く。


「ねえ、望月さん」

「少し昔話をしてもいい?」


「え?」


下を向いていた望月さんが、こっちを見る。


「俺と小雪の話」


望月さんになら小雪の事を話してもいいと思える。

そのくらいに、望月さんは俺にとって特別な存在になっていた。


それに、これは望月さんに話しておくべきだ。

本人が、一番知りたがっているはずだ。


「聞きたいです」

 

昔、望月さんにそっくりで名前まで一緒の幼馴染がいたんだ。


小雪は、ある日突然現れた。


俺は、いつも通り公園で1人遊んでいた。

そしたら、小雪が突然話しかけてきて引っ越してきたから、一緒に遊ぼって言ってきたんだ。


お互いぼっち同士ってわけ。


俺も昔は色々あってさ、1人でいたい気分だったから、小雪を跳ね除けていたんだけど、ずっとしつこいくらいに迫ってきて、仕方がないから遊んでやることにしたんだよ。


結局すげー楽しくて、毎日遊んでいたし捻くれていた俺も、今でも変わってないかもしれないけどましになったんだ。


本当にいろんな経験をした。

八王子にも本当は小雪と昔来たことあるんだよ。


毎日がとにかく楽しかった。


でも、ある日小雪は突然姿を消した。

俺になにも言わず、なんの前触れもなく。


それからは1度も会っていない。


だから、高校に入学して望月さんの名前を見た時、すごいびっくりした。

小雪かと思ったよ。


3年ぶりに小雪に会えたと思った。

だから、あの時、望月さんのことを小雪って呼んだんだ。ごめんな。


でも、名前も同じで見た目も俺の知っている小雪そっくりだったから、他人のような望月さんを見たときは、何事かと思った。


でも今ここにいるのは望月さんだ。

小雪じゃない。


だからもう小雪のことは忘れる。

今は、望月さんとの日々がひたすらに楽しいから。


望月さんは、俺の話を真剣に聞いてくれていた。


二人だけの車内に、電車の走行音だけが響く。


望月さんがゆっくりと口を開く。


「小雪さんと私が同じ名前で、見た目も似ているのには何か関係があるのかもしれない」

「湊音くんとは、高校で初めてお会いしました」

「昔にあった覚えはやっぱりないです」

「なにもわからない。でも、これだけはわかります。小雪さんが突然消えて辛かったこと」

「小雪さんは突然いなくなったかもしれない。でも、思い出はずっと湊音くんの中に残っています」

「だから、小雪さんのことを忘れるなんて言わないでください」


「次、会った時会わせる顔がなくなりますよ」


望月さんが、優しい顔の中に悲しみも混じったような顔でいう。


「あはは、そう…だな」


俺の頬には、雫がしとしとと流れていた。


思い出したくない過去を人に話せて、雨上がりのような晴れた気持ちだった。


望月さんを慰めるためにした話なのに、結局、俺はまた望月さんに助けられている。

情けないな。


初めて小雪の話を他人にした。


今となっては辛い記憶だったからなるべく思い出したくはなかった。

でも、小雪との思い出は、辛い記憶に対して、楽しい記憶がたくさんある。


望月さんに言われた通り、心の中で大切に保管していきたいと思う。


初めて話せたのが望月さんでよかった。

そう思った。

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