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これは、知っているのに知らない君と3年越しにまた恋をする涙の物語  作者: 雨夜かなめ
1章 僕の知らないキミ
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再会

「ストン」


持っていた鞄がすり抜けるように手から滑り落ちる。


「望月…小雪…?」


その名前が視界に入った途端、俺の思考はスマホの電池が切れるみたいに突然真っ暗になった。


その名前はここにあるはずがない。

クラス名簿に書いてあるその名前を何度も読み返す。


目を擦ってみたりもして何度も確認する。

何度も、何度も。


でも、何回見てもそこには望月小雪という名前があった。

あまりの予想外の出来ごとに状況が理解できない。頭の中は真っ白だ。


俺は、鞄をその場に放置したまま走りだす。

何も理解していない。理解していないのに俺の体は教室に吸い込まれるように勝手に動いていた。

今の頭の中は台風のようにぐるぐるしている。


それでも足だけはいち早く動き出していた。

本当に小雪なのか早く確認したい。


その一心で階段を1段飛ばしで駆け上がり正面玄関に向かう。


下駄箱につき靴を脱ぎ捨てて学校指定の室内履きも履かずに靴下のまま新しい地に踏み込む。

周りの人など気にせず水をかくように人の間を分けて廊下を走る。


「止ま……さい…!」


周りの新入生の声や教師が何かを言っているが、やけに籠って聞こえる。

周りの声も視線もどうでもいいくらいに俺は必死だった。


それに、やっぱり2組の教室までの距離は長かった。

いや、この時は余計に遠く感じただけかもしれない。


「1年2組」


自分が1年間お世話になる教室が見えてきた。

クラスの看板は新入生用に色とりどりな花で飾り付けがされている。


そんな、綺麗な花に目もくれずに教室のドアを思いっきり開ける。


「バン」


大きな音が教室に響き渡った。

周りの新入生が会話を止めこちらを一斉に振り向く。

教室内の生徒たちはいきなりの出来事に何が起こっているか分からず驚いた顔をしている。


そんな視線も気にせず俺は全体がいちばん見える前の教壇に立ち教室を見渡し小雪を探す。

一人一人顔を確認していく。全員知らない顔だ。

それはそうだ今日初めて会う人ばかりなのだから。


でも、教室の右奥。

窓際に1人ポツンと、自分の席に座りながら快晴で雲一つない富士山を眺めている女の子。


水のように指の間をこぼれ落ちそうなミルクティーのような薄い亜麻色の長い髪が春の暖かい風を受けてかがやいている。

その女の子だけは、他とは違い色づいているように見えた。


知っている顔だからだ。

過去に何度も見た顔を見つけた瞬間、俺は息を呑んだ。


小雪だ。


本当にあの小雪がいたのだ。

同姓同名なんて日本中いくらでもいる。

そう思っていた。


でも、この目で確認した、間違えるはずがない。

そこにいたのは正真正銘3年前突然姿を消した"望月小雪"だった。


「小雪。小雪だよな?」


俺は、教壇からその名前を優しく包むように大切に呼んだ。

先ほどまでの台風のような焦る気持ちは一切なくなっていた。

久しぶりにこの名前を呼んで顔を見て安心したんだと思う。

その名前を呼んだ時は、台風が去った後の太陽のように暖かい気持ちだった。

それと同時になんというか、言葉に表せないようなとてもしんみりとした気持ちでもあった。少し泣きそうだ。


多分、名前を呼ぶ声は少し震えていたと思う。

3年ぶりに会えた。


突然いなくなった事を別に怒ってはいない。

そんなことよりもとても心配だった。

理由を聞きたかった。


それに、小雪に対するこの気持ちをはずっと置いてきぼりだったから伝えたいこともたくさんあった。


ずっと、会ってゆっくり話したかった。

なんの話でも良い。

近所の猫の話とか、くだらない話でも良い。

一緒にいるだけで全部楽しいと思うから。

だって、小雪は僕にとって特別な人だから。


また出会えて本当に良かった、、、


そして、元気でよかった。



窓を見ていた小雪が俺の方をゆっくり振り向く。

澄み渡った薄い水色の瞳と目が合う。


「ごめんなさい。どこかでお会いしましたか…?」


「え..?」


数秒後…


俺の視界は真っ暗になった。


そこから後のことはあまり覚えていない。

でも、これだけは覚えている。小雪はまるで、


“別人のような気がした”

"作者からのお願いです"


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面白くないけど最後まで読んだから、星ふたつ

頑張ってるから、星みっつ

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