星空の下で二人
「…くん、…音くん」
何か聞こえる。
「湊音くん、着きましたよ」
望月さんの、呼ぶ声で目が覚める。
太ももに預けていた、頭を起こす。
「おはよう。望月さん」
「よく寝ていましたね。よかったです」
安心していたのか、ぐっすり寝られた。
「うん。ありがとう」
お礼を述べておく。
みんなでバスを下車する。
バスから降りるといつもとは違う雰囲気だ。
お馴染みの富士山はなく、いつもの自然あふれた感じとは違う。
俺はインドアだから、都会の喧騒に飲まれそうだ。
望月さんは、駅の周りにあるショッピングモールに目を輝かせていた。
「あの、お店行ってみたいな」
望月さんが、そんな事を小声で言う。
「帰りにでもいってみるか?」
多分こう言う解釈で合っているだろう。
「いいのですか。行きたいです!」
やっぱり、帰りに寄っていいですか?と言う意味だったらしい。
「私、都会って初めてきました」
望月さんが、そんな事を言う。
"やっぱり、覚えていないよな"
八王子駅は、昔小雪と訪れたことのある思い出の場所でもある。
あの時は、2人だけで行って、親にこっぴどく怒られたっけな。
そんな思い出も、もう昔のことだ。
今ここにいるのは望月さんなのだから。
もう、関係のないことだ。
そんな、昔の思い出に浸っていると美術大学の図書館行きへのバスが到着した。
みんなでバスに乗り込む。
バスに乗って10分ほどだろうか、図書館に到着した。
バスを降り図書館を目の前にする。
それは、圧巻だった。
まるで、その場所だけ1世紀先の未来にたどり着いているみたいだった。
白を基調とした壁に、アーチ上のガラスが張り巡らされていて、なんとも現実の建物ではないように感じる。
素人でも、多くの建築家が試行錯誤して完成させた建物なんだと実感する。
それほどまでにすごい建造物であり、日本中どこを探してもこのような建物は見つからないと思う。
「これは、すごいな」
いつも元気な感じの辻本先輩が、間の抜けた感じでそう言ってくる。
その目は、とても真剣で感動し。
この人は、図書を愛してるんだなと再認識する。
「そうですね」
一言だけ返す。
俺も、見入ってしまっていた。
望月さんも、真剣な顔で眺めていた。
3人で、図書館の前に棒立ちで外観を眺める。
「そろそろ中に入るか」
そう提案する。
「そうですね。今日は記事を書くのがミッションです」
早速、図書館に入館する。
みんな見たいところが多かったので、各自、分かれて散策することになった。
まずは、1階にいってみる。
1階は休憩スペースになっていて、暖色のランプがあり落ち着いた雰囲気だ。
湾曲で長いテーブルで学生の人が勉強をしていたり、寝るスペースもあった。
都会に位置しているにも関わらず、窓からは綺麗な緑の景色が広がっていた。
自然に囲まれていてリラックスできる空間だった。
規格にとらわれない、今までにない図書館という感じだ。
2階の、蔵書図書のコーナーもある程度見学した。
ある程度散策して満足した俺は、見終えた後の集合場所に向かう。
望月さんが先に到着して、1人地面に座っていた。
「望月さん」
名前を呼んで手を振る。
手を振りかえしてくれる望月さん。
俺も横に並んで座る。
あたりはすっかり暗くなってきていて、図書館の暖色の光がなんともロマンチックに見える。
「辻本先輩は?」
「まだ見学しているみたい。私が先行きますって言っても無視されちゃいました」
「あの人は、とことん本が好きなんだな」
人は見かけによらないものだ。
「今日は、いろいろありましたね」
望月さんが今日を振り返るようにそんな事を言ってくる。
「そうだな。本当にいろいろ」
「ほとんど、俺が望月さんに頼りきりなだけだったがな」
「ふふ、そうかも」
「こんな、だらしない所ばかりで恥ずかしいな」
「今日は、私がいないとダメダメな湊音くんでしたね」
「でも、人に頼ることができる、それも湊音くんのいい所ですよ」
「それに、湊音くんの安心した顔すきだから」
「そ、そうか。ならいいんだけど」
「これからも、とことん私に甘えていいからですよ」
望月さんが、少し笑い混じりにそう言う。
「恥ずかしいから、からかうのは勘弁してくれ」
その後は、しばらく黙って2人で夜空を見上げた。
望月さんとは肩が触れそうなくらい近い。
今日、いろいろあったおかげか抵抗はあまりなかった。
「星、綺麗だね」
自然に囲まれたキャンパス内からは星がよく見えた。
「そうだな」
ロマンチックな雰囲気に酔う俺たち。
自然と、お互いの小指は触れ合っていた。
何も言わずに望月さんの手を握る。
望月さんは、一瞬びっくりしていたがすぐに優しく握り返してくれた。
2人で手を繋いで、満点の星を見上げる。
まだ、俺たちは友達同士。
でも、俺の心は友達とは違う感情を抱いていた。
俺は、望月さんのことが"好き"なのかもしれない。
手を繋いでいて、こんなにも安心するのはそういうことだと思う。
「月が綺麗ですね」
望月さんが、夜空を見上げながら言う
「ああ、綺麗だ」
俺も、空を見上げながらそう返す。
俺は、綺麗な月を眺めながら、これから望月さんのことを真剣に考えていきたいと思った。
自分にも素直になれるようにしたい。
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