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これは、知っているのに知らない君と3年越しにまた恋をする涙の物語  作者: 雨夜かなめ
1章 僕の知らないキミ
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昼時の戯れ

バスに乗って30分くらいは、経過しただろうか。

そんな時、後ろに座っていた辻本つじもと先輩が頭上から話しかけてくる。


「2人ともお腹空いていないか?」


そんな事を聞いてきた。

頭上から話しかけられるとびっくりするからやめていただきたい。

ちなみに、お腹はすごく空いている。


「お腹空いています!」


望月さんが、待っていましたと言わんばかりに、勢いよく返答する。


そういえば、さっきからお腹が鳴っていたな。

乙女にお腹がなっている報告は、できないのでスルーしていた。

そんなにお腹が空いていたなら気を遣ってあげるべきだったな…


「1年がくる前に、駅で弁当を買ったんだがどっちが良い?」


そう言って差し出されたのは、

富士急行線でしか買えない駅弁「甲州名物豚味噌焼き弁当」と、普通のシュウマイ弁当の2つだった。


なんだこの、金の斧か銀の斧みたいな選択肢は。

こんなの豚味噌焼き弁当に決まっているだろ。

俺は、豚味噌が大の好物だ。


「私、豚味噌を食べてみたいのですが、湊音くんはどっちが良いですか?」


俺も豚味噌がいい。

でもここは、男を見せようじゃないか。


「豚味噌は食べたことあるから、望月さん食べていいよ」


嘘である。

食べたことないし、すごく食べたい。

レディーファースト。望月さんの笑顔の方が大切である。


「本当ですか!では、豚味噌をください」


望月さんは辻本先輩から、豚味噌を受け取る。

いいな〜


「じゃあ、矢野はシュウマイだな」


「あ、ありがとうございます」


辻本先輩から、シュウマイ弁当を受け取る。

シュウマイも嫌ではないが、豚味噌が食べたかったからか微妙な反応をしてしまった。


「ん〜、おいしい」


隣から味噌のいい匂いと嬉しそうな声がただよってくる。

望月さんが幸せならそれでいいんだ。


そんないい匂いと幸せそうな望月さんをみながら、シュウマイをつまむ。

シュウマイもなんだか望月さんに食べてもらいたそうな顔をしているように見える。

そんな顔をするなシュウマイよ。


俺は、シュウマイと同じ微妙な顔で弁当を食べる。

普通においしい。

でも、やっぱり豚味噌食べたい。


「えっと…湊音くんも豚味噌食べますか?」


あまりにも食べたすぎて、豚味噌をじっと見ていたらしい。

望月さんが気を遣って提案してくれる。


「ちょっと貰おうかな」


甲州名物、どんな味がするのだろう。


「はい。湊音くんあ〜ん」


差し出された箸から豚味噌を食べる。

うわ、すげーおいしい。

この前食べた学食の豚味噌とは全然違った。

山梨のブランド肉に、味噌の味がよく染み付いていて後味もすごく良い。

食べられてよかった。


「私のあ〜ん、昔はあんなに恥ずかしがってたのに、最近は全然へっちゃらな顔で食べますね」


豚味噌を美味しく食べた後、望月さんが急にそんな事を言ってくる。

なんか少し不機嫌だ。


「いつもしているから、慣れてしまったのかもな」


初めてあ〜んしてもらった日から、毎日していたから、当たり前になってきていた。

詩乃に上手い事誘導され、天然の望月さんはいつもあ〜んをする羽目になっていた。


「もっと恥ずかしがってもらわないと、やりがいがないです」


あ〜んにやりがいと言われても困る。

幸せなのには変わりないし、恥ずかしさもある。

でも、人間何度もやると慣れてしまうものだ。


そんな時、俺はいい事を思いついた。


「わかった。そのやりがいが俺にはわからない」

「だから、今日は俺もしてあげる」


あ〜んのやりがいを、望月さんの視点から知ることも大切だ。


「へ?いや、それは、だ、大丈夫です」


あわあわしながら提案を拒否してくる。

今回は、逃がさないぞ。

望月さんにも、この恥ずかしさを知ってもらおう。


自分の弁当のシュウマイを箸で掴み、望月さんの小さな口の前に差し出す。


「ほら、望月さんあーん」


「えっと…もう!」


勢いよく望月さんが、俺の箸のシュウマイを食べる。

望月さんは、顔を逸らして恥ずかしそうにしている。

そういえば、望月さんは責められるのは弱い女の子だった。


「望月さん恥ずかしいの?」


そんな事を知っている俺は、望月さんを少しからかう。


「そ、そんなことないですよ」

「シュウマイがおいしいので、景色を見て噛み締めているだけです」


今回初めてあーんをしてみてわかった。

やる側も結構恥ずかしいなと。

恥ずかしいと言うか、なんだか照れている望月さんを見て愛おしく感じている。


これがあ〜んのやりがいなのか?

相手が照れていると、自分がした行為で恥ずかしくなっていると言う独占欲みたいなものが湧いてくる。

やっぱり、俺は少し変態なのかもしれない。


結局、あーんのやりがいが、なんなのかは分からないが、恥ずかしいことだけは理解した。

望月さんはこれを平然とやっていたのだからすごいと思う。


恥ずかしくて、2人して背中を向け合う。


「みなとくんのバカ」


お互いの熱が引く頃には、シュウマイと豚味噌弁当はもう冷めていた。


冷たくなったシュウマイは、なぜか薄味に感じた。


"作者からのお願いです"


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