第50話 深き闇の森林(1)
1日空きました済みません。
森の偵察に出ていた「三つ葉」ファランクスのローズヒップとアークメイジのフリージアがベースに戻る頃。
ベースの周囲一帯には、マウントカウの焼かれた香ばしい香りが漂っていた。
「うわ。何この香り!」
「これ。ヤバい。はやく!はやく!」
これどうぞ。と犬人族の小柄なアビーから渡されたプレートとカップには、丈二とマリダ婆さん渾身の肉料理とスープ。
ちょっと固いのが、逆に遠征に来ていると思える「味のある」パン。
狩りと偵察でお腹ペコペコのふたりは、もう我慢が出来ないとプレートをガツク。
「ぬわ。こぉ…これわっ!!!」
「んぐぐぐ!!」
「「う~ま~い~ぞ~~!!!」」
高級食材マウントカウの肉料理である。
マリダさんの「ばばぁ悪魔風ステーキ」は、ヒレ肉特有の赤身と、しつこくない適度の脂身がじゅわ~と肉汁とともに流れ口ので広がる甘さ。
そして、玉ねぎの甘味と酸味にニンニクの風味、マリダさん特性ハーブの香りが際立つ、付け合わせのソースが悪魔級に絶品!
一方、丈二の「男の粗びきゴボウハンバーグ」も、脂身が少ないあっさりとした肉質に、こちらでは、殆ど食べられていない「ゴボウを香り」が立つまで焼いたハンバーグで、ゴボウにより臭みが消え、肉本来の美味さが口の中を駆け巡る。
「「はぁ~幸せ。」」
二人が料理にへろへろになっているのを見て、丈二とマリダ婆さんは、満面の笑みを浮かべ、再びハイタッチをして喜ぶ。
※ ※ ※ ※
「ちょっと狼さんのご主人様。何よあの料理!凄かったじゃない!」
食事を終えて、集会用の天幕に入ってきたローズヒップが丈二に言う。
「お粗末様です。ゴボウが食べれたみたいで良かったです。」
「ゴボウ?あの捏ねた肉に入っていた木の皮みたいなもの?」
「ええ。俺の故郷では好まれて食べる植物の根っこなんですよ。フィルム近郊でも見つけて使ってみました。体力とマナの回復効果もあるみたいですよ。」
「確かに。マナが大幅。回復した。」
アークメイジのフリージアは片言の言葉のように話す。
最もこれは彼女のロールプレイで、街の中ではきゃぴっとしていることは周知の事実である。
「へぇ料理に回復効果を併せるなんてやるじゃない!」
「ありがとうございます。今度居住区の端で呑み処を開くので是非御贔屓に。」
「あ。みたらし団子って、その規模で総合だったもんね。わかったわ!絶対に行くから一杯奢ってよね!!」
「もちろんです!」
フィルムの街の有名冒険者達に褒められ、丈二も冗舌になってお店の宣伝。
彼女たちが来てくれればそれなりの宣伝になる。
会話の流れから、彼女たちは多少でも興味は持ってくれたのかなと丈二は思い、ゴボウの回復効果を説明して良かったなと思う。
◇
食事の片付けやベース整備を終えた組合職員とカットレイ達が天幕に戻り、これで全員が揃う。
「それで、森はどうだったんだ?」
領主ラストルの右腕であるエルビスが、早速とばかりに彼女達に聞く。
「魔物への遭遇頻度が極めて少ない。そして異様なまでに静か。感想はそんなところね。」
ローズヒップが声のトーンを少し落として言う。
「珍しいな。あの森の魔物は強さもそうだが、どちらかというと、数の暴力が怖いのだが。」
組合長も首をかしげる。
「森の入り口付近では、ままあることあだろ。小屋までの道中、厄介なことが多いから魔物が少ないに超したことはない。」
エルビスも小屋の管理の任で数度来たことがあり、毎回魔物に手を焼いているとのことである。実はこっそり、アビーにエルビス観察させているのだが、今のところ不審な行動・言動はないようだ。
「それも一理ありますな。しかし警戒だけは怠らないようにしませんと。」
組合長がエルビスに言う。
「もっともだ。で、このベースを見るものを残すとして編成は如何する?」
ぶっきらぼうにエルビスが組合長に返す。
「組合としては、森を冒険者に任せて頂き、領主側のお付の方で、こちらを守って頂ければと。そちらは、危険な任務を避けて頂いた方が良いかと思っておりますが。」
敢えて、領主側の護衛を残す案を提案してみる。
「何を言ってるんだね? ベースの守りなんてものは、低ランク冒険者に任せればいいのだよ。こちらとはレベルが違うんだ。レベルが!」
エルビスが声を荒げる。
「ああ?なんやワシらが弱いような言いようやな。まぁええわ。その代わり人選は領主も組合長にも選ばせへんで?ええなおっちゃん。」
カットレイが輪をかけて、でかい声で凄む。その後ろでサニーが威圧する。
「な…なにを!冒険者風情が失礼な!」
カットレイとサニーの圧に押され、委縮しながらエルビスが小声で言う。
◇
『絵にかいたようなヘタレ貴族?』
『ダサMOBっすねぇ。』
八木ケレが呆れて言う。
『そう言ってやるな。彼は彼で、表面上清廉潔白のラスルトのお付で苦労している苦労人だ。今は、久々に目の上のたん瘤がいないんだ、多めに見てやってくれ。』
意外にも、組合長が彼を庇うのでカットレイがビックリする。
『何や、組合長はんは肩持つんやな? 意外やわ。』
『昔からのよしみでな。そこまで悪い奴ではない。』
『すみませんが、俺たちはラスルト陣営は全員疑ってかかりますので。』
丈二としては、ラスルトに加担する者すべてを信じないことにして、遠征に臨んでいる。
『あぁ。それは私も同じだ。彼の今までの人となりを言ったまでだよ。』
◇
「まぁお互いに落ち着いてくれ。ベースの護衛の人員は組合職員1名とみたらし団子に任せる。領主側の護衛は連れていく。それでいいな。」
「ふん。初めからそう言えばいいんだ。何時もお前はそうだ。」
何で貴族ってこうなんだろう。クレイジーでも仕事を的確にこなし、悪態をつかないラスルトの方が、まだマシなんじゃないか?と丈二は思うが、大人の対面もあるからなと、ここは割り切る。
「では、小屋に向かうが、護衛対象と冒険者を簡単に分けておく。神殿のお二方と私は『みたらし団子』と共に、領主側の方々は『三つ葉』と共にそれぞれ頼む。」
「先頭を『三つ葉』、後方を『みたらし団子で』、護衛対象の脇を『領主側の護衛』と、こちらも『みたらし団子』。みたらし団子の配置人選は、団長に任せる。」
「了解したわ。」
三つ葉の面々が頷く。
「こっちもOKや。」
カットレイも了承し、人選を行う。
「うちのチームからは、ベースに残るのがナッツとエイディ。後方をにいちゃんとサニーはん、アビーとベンジーはん。脇を固めるのが、左をミッツ、右にワシや。なぁ!それでええんやろ?」
カットレイは、わざとエルビスに向って言う。
「ふん。あの馬車は権威あるものだ。しっかり守らせろよ。」
エルビスが、少し汗をかきながら言う。
「はぁ?そんなん知らんがな! 見張りはするけど、危険だったら、そんなものは捨てて逃げさせるで? 命あってのやさかいな。」
エルビスが真っ赤になって、カットレイに何かを言おうとしたが、組合長がそれを予想してたかのように制止する。
これにて、会議は解散となり、程なく一向は、森に向って進む。
続きが気になる方、たまには見てもいいかな?と思った方。
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