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章エピローグ BARとJAZZとワッフルと①

この章のエピローグです。

「サニーさんと女子会するために、ワッフルを作ってみたら、ギルドの採用試験に合格してしまいました。」

 丈二が若月から報告を受けた内容はこれであった。


「何や。にいちゃんがBARに来いゆうんで来てみたら、ワッフルが美味しくて若月ちゃんを採用しただけやで?ついでに、チーム名もワッフルにするんやで!えやろ!」

 丈二がカットレイから報告を受けた内容はこれであった。


「ご主人様申し訳ありません。我慢ができず先にワッフルをいただきました。あまりにも美味しくて味を堪能していましたら、若月様がギルドに入ることになっていました。」

 丈二がサニーから報告を受けた内容はこれであった。


 そして今、彼はワッフルを食している。

 彼の秘蔵のジャムを垂らし、残り少なかったバター、小麦粉と重曹を使ったワッフルを。

 値段はそこそこになってしまうが、売れ筋のスコッチエッグに使う卵と小麦粉を使ったワッフルを。


 粉まみれになったキッチンで…。

 美味しい美味しいとそれを頬張っている…。


 店の入口には「本日お酒オンリー&半ギルド貸し切り」と書かれた紙が貼られている。

 別に、食材はある。だが、なんか疲れた。理由はそれだけだ。


 どの道、今日は緊急でチームメンバーを招集しており、店に来てくれた客には、軽めの料理しか出さないつもりでいた為、いっその事、それでいいやと決めた。


 本当は、少しだけ怒ろうかと思ったが、若月の作ったワッフルで幸せになっており、まぁいいかと怒ることを止めた。


 ※ ※ ※ ※


 日が沈むころ、店の明かりが灯りだす。

 丈二も魔道ランタンに魔力を流し、明るすぎず雰囲気のある程度の暗さを保った程度に店をライトアップさせる。


 開店と同時に数組のお客が入ってきて酒を頼む。

「何だ。今日は酒だけの日か。とりまエールをキンキンに冷やした奴で2つ。」

「すみませんね。今日は本職の冒険者会合の日なんですよ。」


「わかってるって。恒例行事に野暮を言う客はここにこねえよ。」

「ありがとうございます。エール2つお待たせです。あと迷惑掛けちゃうんでこれを。」


 マスターは、この日の戦利品であるGボア肉を魔法で乾燥させた干し肉と軽く炙ったものを提供する。


「お。ありがとなマスター。ボアか?」

「ふっふっふ、今日狩ったGボアです。後でギルドの会合で出す奴の余りで悪いですが、試食も兼ねてで。後で感想教えてくださいね。」

「まじかぁ!酒より高いだろこれ!」


 客とのやり取りを楽しんでいる丈二を見ながら、若月も紅茶に果実酒を入れたお酒を嗜む。


 照明による効果もあり、ゆっくりと回るお酒を楽しみながら目をつむると、野太い弦楽器の音色がブルーススケールで流れてくる。そこにスネアドラムのリズムが乗り、ピアノが踊りだす。

 先程までの話し声も流れる旋律のアクセントとなり、大人の空間を構成する。


「これは…JAZZ?この世界でもこの旋律とこの雰囲気を堪能するのですね。」


 これが、このお店の毎日の光景なのだなと若月はそれを堪能する。


 この世界にもアンプラグの楽器が多数あり、その殆どが元の世界と同じである。曲の構成や流行は違うものの、音楽理論はしっかりしており、ビアーレスと呼ばれるブルーススケールをアドリブで回す手法がJAZZそのものであることから、丈二は定期的に自分の店での演奏を楽隊にお願いをしている。


 客からの2回目の拍手が終わった後、丈二が客に向かってひと言断りを入れた。


「今日はうちのギルドの会合の日です。この雰囲気で楽しんで頂くお店の提供はここまでとなります。お酒はそのまま注文して頂いて大丈夫ですが、少し騒がしくなりますので、ご承知おきください。」


 演奏を含めてのこの断りは、この雰囲気でお酒を飲むことを楽しみに来ているものが大半である客層に対しての彼からの配慮。


 ※ ※ ※ ※


 BARカウンターには、丈二に代わりフィズという女性が入りお酒を出している。

 彼が居ないことも多いこのBARでは彼女が店を回すことも多い。


 マスターである丈二が、若月やカットレイのテーブルに座り、若月は辺りを見渡す。

 そこには、若月を含め総勢8名の冒険者が集まっており、好きな酒を飲んでいる。中には先ほどのJAZZを演奏していたスリーピースも居て、このギルドのメンバーなのだなと彼女は思う。


 集まったメンバーの確認をして、「チーム(仮称)みたらし団子」の団長カットレイが立ち上がる。

「こんで皆揃ったようやな。明日からの狩りの日を前に臨時会合ですまんけど、よろしゅう。」


「それはいいけど。その可愛らしい子は誰なの?」

 ピアノを弾いていた美人のエルフが若月に気が付き言う。


「この子は昨日から冒険者になった若月ちゃんや。ツブ猫のお世話係でにいちゃんに雇われてたところをワシが勧誘した。ワッフルが凄いんや!ええやろ!」


「「ワッフルって何やねん…。」」

 虎と狼の獣人が呆れて突っ込む。


「そんなんは、食ってみればわかるっちゅーことで、ひとつめの報告は若月ちゃんをチームに迎えたい。それでワッフルを毎日食べるんや。完璧や!」

 熱く燃え盛る目の炎と裏腹に、彼女の口元の涎が酷い。


「いやいや。冒険者なんでしょ?スキルとか実力とかそっちを教えてよ。」

 ドラムの愛くるしい顔をした犬の女獣人が聞く。


「え?そんなん。知らんで?」


「「「「はぁ?何でやねん!」」」」


 チームの会合はいつもと変わらずカットレイの暴走から始まる。

読んでいただきありがとうございました。

次回も章エピローグの続きで、その後に閑話を挟んで新章を始めたいと思います。


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